390日目 全てが崩れ去る時


 瓦礫と化した家の中からハイネ司祭と魔王を助け出しせっちゃんはメルトを逃げないようがっしりと掴み何か自分たちに言う事があるのではないかとキツイ視線を送りつけるとさすがのメルトも今回の件に関して無視できないと感じたのか魔王たちの目を見ずに小さな声で謝ると・・・魔王たちはため息をついてがっかりとしていた。



「全くメルトは本当にこういう時も素直ではないな。

悪いときは悪かったと言えるのが大人だと思うのだが?」

「本当だよ、イライラしたからって私たちもろとも消し飛ばそうとするとか論外だよね。

危うく私の大切なアイテムが燃え散るところだったじゃないか。

でも・・・少しだけこの世界でのトリックがわかってきたかな。」

「家の中に入っている人は権限がはく奪され外にいるモノに夢を自在に操る権限が与えられるって言ってた仮説の事?

だけど本当にその仮説が正しいとしたら今のメルトは好き放題に何でもできると言う事だよね??」

「せっちゃんたちもそこまで答えが出てたのかさすがだな。

俺も色々と考えてはみたんだが・・・家の中というよりもアレじゃねぇか??」

ハルトは徐に一向に傾かず真上に上ったままの太陽に指を向けると・・・魔王たちは不思議そうにハルトに質問をしていた。



「どうして太陽が関係あるのだ??

だが、考えてみればそうとも言えるのか・・・・

家の中か外にいたのではなく太陽の光を浴びた順列で権能が与えられると言いたいわけか??」

「あぁ、それにあの太陽が一切傾いてねぇのに対してあっちから太陽光が反射しているのに気が付いてな。

それにだ・・・・あの太陽には光は出ているが眩しくもないし暖かくもないんだ。」

「言われてみればそうだ・・・太陽に触れても雪が解けないのも謎だな。

どれだけ現実じゃないにしろ物理の法則がおかし過ぎる。

コレは何かあの太陽に細工が??」

「んなのはどうだっていいのよ!!!

今は私がエライのなら私が全部ぶち抜いたげるわ!!!

魔法が使える私は最強よ!!!あの太陽ですら粉砕じゃ!!!!」

と、メルトは話をせず太陽に向けて魔法をブッパすると距離的に当たるはずのない太陽に魔法が直撃しそこから何かがこぼれ出してきていた。



「うわぁぁ!?なにこれ!?気持ち悪い液体が流れ出てきたわよ???

私また変なことしちゃったかしら??」

「お前はいちいち問題を起こさねぇと気が済まねぇバカヤロウなのか!!!

それにこの液体はどう見ても触っちゃいけない色だろ・・・・

なぁ魔王、魔眼でコレの性質とかわからないか??」

「ずっとしているのだが一向に見えないのだ。

きっとメルトに権限が移ったことによって私の力に制限が加わったのかもしれない。

だがこの液体とあの太陽に何か因果があるに違いないのだが全く持って今は理解ができないな。」

「ん?私の目の錯覚かな??あの太陽・・・当たった部分に目のようなモノが出てない??」

ハイネ司祭がまた意味の分からない事を言い始めただとか女体成分が切れただとかすごい言われ方をし始めだし。

自分は真面目に答えているしシラフでそんな症状は持っていないとハルトたちに必死に伝えるとハルトたちは仕方なくハイネの言っている方を睨みつけるとその傷口のような部分に目のようなモノがギョロリと現れており。

流れ出しているのはどうやら涙のようであり・・・会話ができるのかとハイネ司祭は恐る恐る話しかけた。



「あ、あのぉ・・・すみません太陽さん・・・話せたらでいいのですがこの世界について何か知りませんか?

というよりも脱出方法とか夢から覚める方法を知っていたら是非とも教えてほしい。」

「傍から見ると完全にヤバイ人じゃない・・・・私人がいなくてもなんだか巻き込まれたくないから少し下がってるわね。

って、どうしてアンタたちも付いてくんのよ!?あっち行きなさいよ!!!アンタたちもそこそこにヤバめでしょうが!!!」

「誰がヤバめじゃボケ!!!俺は魔王みたいにサキュバスでもないし一番普通の一般ピーポーじゃ!!!」

「また私のことをサキュバス呼ばわりしたな!!!夢の中だと言えど私をサキュバス扱いするハルトに鉄槌を下す!!!」

「ふ、2人とも落ち着いて!!!ハイネ司祭に返事が返って来てるみたいだけど??」

せっちゃんの言葉にハルトたちは同じように耳を澄ませると太陽の方から微かな音量で話しかける声が聞こえ。

その内容と言うとこの夢の世界は太陽の自分が作り出した幻想と現実の間にある虚無の一部だと答え。

ここから抜け出すことは可能だがその方法は一切語らず・・・ハルトたちも願うように問うと太陽は虚ろが崩れ去る時にのみ世界から目覚めると言い残しそれ以降いくら話しかけても応じようとせず。

メルトたちは悩みに悩まされイライラの頂点に達し辺り構わず魔法をブッパし始めていた。



「お、おい!?こんなところで無闇に魔法をブッパすんじゃねぇよ!!!

他の家が襲ってきたらどうすんだ!?ぁあ!?」

「だってしょうがないじゃない!!!こうでもしないと私のイライラが収まらないのよ!!!

それにあの太陽もすかして何も言おうとしないで本当に嫌になっちゃうわ!!!

こうなったら答えを言うまで魔法を撃ち込み続けてやるわ!!!

例え私の魔力が尽きようともね!!!

おりゃおりゃおりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!!!!」

「何というか夢の世界でもメルトは変わらないね・・・・

だけどこのままこうしているわけにもいかないから本当に本腰を入れて考えないと。

だけど・・・全てが崩れ去る時ってどういう意味だろ??」

「夢か希望の事を指しているにしても今のこの世界にそんなものがあるようには思えないな。

私たち自身の事を指していて殺害をするような意味でもなさそうだ。

だから他の方法だとおもうのだが・・・・魔法の音で全然集中できぬな。」

「はいはいメルト、魔法ブッパの時間はそこまでにして。

太陽がびくびくして体中から変な液体をドバドバ出してるしさ・・・・」

太陽はナイス判断と言いたげにハイネ司祭に後光が指し、それと同時にハイネ司祭はメルトが放った魔法の流れ弾によってできた地面の抉れたか所を覗くとそこにはとんでもない異変が起こっていた。

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