368日目 食材の交換条件


 ニコニコと大丈夫と語るジャージーにそれ以上の内容を深く聞くと自分たちも巻き込まれてしまうと察したハルトたちはすぐさま教会を後にし出てくると。

メルトの事は教会側に任せておいて先ほど使用した朝食と魔王の料理で使用した材料の調達に向かう事となり。

魔王たちと共に人気を避けてバザールではなくいつもの酒場へと足を運ぶのであった。



「よぉハルト、こんな昼間にどうしたんだ??

メルトがいなくなってからめっきり来なくなっていたが・・・せっちゃんに乗り換えか??」

「はぁ??店主勘弁してくれよ。

俺がそんなに多趣味に見えんのか??そう言う風に見えてんのなら眼と脳を見てもらった方がいいぜ。

そんな冗談はさておいてだ・・・料理に使う野菜なり食材を買いに来たんだがあるか??」

離れた場所から顔を覗かせるキルりんたちに聞こえないよう店主と話し合う中・・・キルりんたちはまた別の話題で盛り上がっており。

店主との話が終わったのかハルトが戻ると話題になっていた内容をハルトに問うた。



「先程の女子バナでとある話をしていたのですが。

ハルトは赤白黄ならどの色が好きですか??」

「何だよ急に・・・色を答えてなにがわかるんだ??」

「いいから色を答えるといい。

それに内容がわかると考えに考えて選んでしまって面白くないだろ?」

「ちょっとしたゲームのようなモノだから気軽に選んで。」

ハルトは女子の時々始める意味の分からないゲームに巻き込まれ・・・頭をかきながら白と答えると魔王たちは顔を見合わせてなるほどと納得していた。



「答えたんだからその内容を教えてくれないか??

そもそもこういう謎な事をしても何にもないだろ??時間の無駄だとは思わないのかよ・・・・全く・・・あとさ――――――――」

「いえ、コレはハルトが何人の女と付き合った事があるかという内容を判定するためのゲームでして。

赤なら1人黄色なら複数人そして白なら・・・付き合った事もなければ恋人がいた事もない無であると言う事です。

この結果からハルトは本当に童貞を突き通す真の男の中の男だということが分かりました。」

「やはりハルトは女子との縁そのものが無かったと言う事か。

これは悲しいな・・・そういうわけで私のモノになって永遠の関係をだな。」

「魔王さんが暴走し始めたけどいいのかな放っておいても・・・・」

一人目をつぶってペラペラと語り出す魔王を置いてハルトは地味に当たっている事と怒りが溢れ出したことによって冷静さを欠如していたのだが。

メルトがいない分だけ吐き出す先がキルりんにしかない事があり自身の脳内で鎮火させ・・・冷静になると2人にとある問題が生じていると言って店主の元へと連れて行き説明を始めた。



「食材の事なんだがよぉ・・・この店には幾人もメシが作れずに困る者から温めてくれる女がいねぇからとやってくる子犬のような冒険家やハンターたちがいるわけだ。

だからそいつらの分の食材を確保して出せるのはこんくれぇなんだが・・・この食材を倍以上に増やす方法があるんだが俺の話に乗らねぇか??」

「と、言う事らしくて呼んだんだがどう思う??ってことだ。」

「つまり・・・食材はこのいもっころ5つとニンジーン3本ですか。

ほほぅ・・・こんなにも柔らかいせっちゃんにこれだけしか出せないと??

店主はそうやって食材のなさをアピールしつつ体を売って食材を稼げと言う事ですか??」

「キルりん??店主さんの言ってる事と大きく内容が違うような・・・・

私・・・体を売ってまで食事をするのならいっそ死・・・・」

せっちゃんは死んだ目をしつつ刀を抜こうとした瞬間ハルトはその強い力の入った手を止めさせながら店主に誤解を晴らすように続けて説明をするように伝えると。

店主も焦ったのかあたふたしつつ説明に入った。



「誤解をしてくれるなよ??俺は別にそんなゲスいことを言っているんじゃねぇんだ。

ただの食材の交換でハルトたちが俺の欲しい食材を持ってきてくれたのならその倍を支払うって言っているんだ。

つまり・・・この寒い雪山でとある害獣を狩って持ち帰って来て欲しいと言うわけだ。」

「それならそうとハッキリ言ってくれればいいんですよ。

でなければこの店は血の海と化しカウンターにはせっちゃんの生首がいらっしゃいませをする地獄のような空間になり果てていましたよ。」

「だけどこの雪山にそんな害獣がいたかな??」

「雪の中の害獣にロクなヤツがいないのは知ってるが・・・店主の言っている害獣はどんなヤツだ??」

ハルトは恐る恐る狩る対象を問うと、店主は1切れの肉をトレーに置いてみせ。

肉の説明をしつつ最後の方で店主は害獣・・・ホワイトボアーと言うと。

キルりんとせっちゃんの表情が険しくなり・・・同じようにして店主の顔も険しくなっていた。



「お、おい・・・どうしたんだよ・・・さっきまでの空気じゃないが・・・・何か問題があるのか??そのホワイトボアーが何かあるのか??」

「いいえ、ハルト・・・・このホワイトボアーは超プレミアムな雪の季節にしか現れないボアーでその肉はとろけるような甘さと味で子供から大人までを簡単に服従させることのできる合法的神聖な肉の持ち主なのです。」

「で、そのホワイトボアーは雪山にいるのだけれど中々見つけることのできない稀少中の稀少・・・・

それに今まで生きてきて私もそのお肉は食べた事がなくてそのお肉が食べられるのなら命を奪われてもいいと思うほどなの・・・ジュルリ。」

「人の話を全力でスルーしていると思って聞いてみればホワイトボアーか。

フフ、それはいい・・・私も久々にホワイトボアーのステーキでも口にしたいと思っていた頃あいだ。

何、魔王なのだから高級な食材を食べたことあるに決まっているだろ??」

魔王の言葉にキルりんはテーブルを叩き付け・・・魔王だけずるいと言ってせっちゃんと共に力を合わせてホワイトボアーを確保し食べないかと提案を持ちかけるとせっちゃんもその話に乗り・・・店主の話はその肉と食材の交換だと言うが2人はその肉が食べられるのであれば食材は必要ないときっぱりと断り捨て。

ハルトを引きずって貪欲なままに寒い寒い雪の山へと足を踏み入れて行くのであった。

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