342日目 雪山からの生還


 雪山を移動してからというものの・・・害獣や魔獣やらの鳴き声や足音は聞こえず生き物がいた気配もないまま綺麗な雪道を歩くハルトは本当にこのまま歩いていて魔王たちに出会えるのかと不思議に感じていると、木に引っかかっていた大量の雪が落ちる音にビビり・・・慌てて振り返るがそこにはただの雪山しかなく。

ハルトは再び前進するために前を向くと先ほどまでなかったモフっとしたモノと接触していた。



「・・・・・・・・・・」

「こ、これって・・・・俺の幻覚だよな??い、イエティ・・・何てこの世にいるはず・・・いや、ここは俺の知ってるのほほん地球じゃない・・・

つまり・・・ガチモン!!!マズイぞ対処方法が頭にない状態でソロバトルは超危険だ・・・ここは逃げるか??逃げるしか命を守る方法が思い浮かばねぇ・・・・

武器は持っていなさそうだがあの腕から察するに掴まれたら終わりだ。

ゴクイ・・・・ヨシ、目を合わせずにそっと逃げよう。

そっと・・・・そっと・・・・ん?前にも何かがいるのか??なんかと当たったような・・・・え?モソ??」

「・・・・・・・・・・・・・」

ハルトは手探りで当たった正体を探るが、その毛並みといい感触と言い間違いなく後方にいるイエティの仲間だと言う事を察すると。

この場は振り返らずにけもの道を進むだけと道なき道へ方向を変えて飛び出すが足が地面から浮いており全く前進できずその原因を探っていくとイエティがハルトを子猫を持つように掴みあげられていた。



「ぎゃぁぁぁあぁぁ!?マジでどうする!?俺を捕まえてお前たちはどうするつもりだ!?

俺を剥いで食う気か!?そうだろ!?お前たちはどのゲームでもそう言う食人キャラだったからな!!!」

「あの・・・・私たちベジタリアンなのですが??」

「・・・・・・・・・・・・」

1人慌てふためくハルトにボソッと1体のイエティが人の肉を食べない言葉をつぶやくとハルトはバタバタさせる足を止め・・・ベジタリアンと語った方を向いてそれじゃどうしてこのような事をしているのかと問うと―――――――――



「ウホホ・・・・」

「こういう事です・・・ここは私たちイエーティ族の縄張りで人間さんが向かおうとした方はトラップの仕掛けてある道でその手を離せば見事人間さんは即死します。

これも私たちイエーティ族が人を避けるための処置なのでお気になさらず。

では違う方向から聞こえる人間さんの近くまでお運びしますのでそのまま我慢してぶら下がっていてください。」

「あぁ・・・えっと・・・そりゃどうも・・・・」

ハルトは言葉の話せないイエーティには触れず言葉を巧みに扱うイエーティに感謝の言葉をかけるとハルトをぶら下げたままイエーティはその強靭な足からなされる跳躍で飛ぶと・・・木を飛びぬける勢いでジャンプしており。

ハルトは礼儀正しいイエーティの言葉を信じて本当に狩りてきた猫のように小さくなって待つとものの数分で声の聞こえると言った場所に到着し・・・・・



「ここで待てばすぐに他の人間と合流できるはずですので・・・・

最後にコレだけお許しください。」

「ウホホッ!!!」

「ガハッ・・・・・まさかの・・・・痛恨の一撃かよッ・・・・ガクッ・・・」

ハルトは最後の仕上げとばかりに気絶させられ・・・次に何かの声が聞こえたと思い目を見開き起き上がると。

そこには魔王たちが心配そうに見つめていた。



「大丈夫かハルト??ケガとかないか??

本当にすまなかったな・・・すぐに駆け下りて助けようとしたのだが害獣に襲われていてすぐに助けに行けなかったのだ。

だがこうやって再開できたのも縁というものだろうか・・・・」

「魔王は何を言っているのですか??

戦闘を一番喜んでいたのは魔王じゃないですか。

それに・・・ハルトの体から少し獣の匂いがしますが・・・・何かと戦闘でもしました??」

「けがはないが・・・えっと、落ちたと同時に見つかった白いきつねみたいな害獣とさ。

さっきまでここにとかいう白いサルがいたんだが・・・・見ていないか??」

「はぁ!?イエーティ族ってイエーティでしょ??あんなのとっくに滅んでいなくなってるはずよ??

やっぱり獣にやられてハルトは頭がおかしくなって幻聴に幻覚まで見てるのかもしれないわよ??

心配してみれば獣にやられてたなんて・・・・本当にハルトは駄目ね。

んじゃ・・・ハルトも回収できたことだし戻りましょ。」

と、メルトの言葉にすぐに戻っていいのかと問うと。

メルトは討伐した害獣ともう一枚の魔獣の討伐した証明書を見せつけており。

その紙には賞金の高い魔獣が書かれており・・・害獣を狙って連鎖的に現れたのを魔王が倒したと言う内容と言われ遅かった理由も明確に納得したハルトは再び雪にもたれるようにして倒れると魔王はハルトを背負いそのままギルドまで戻ることとなった。



それからしばらくして・・・ギルドに戻ったハルトたちは清算を済ませて報酬を受け取ると。

メルトはその報酬の70パーセントを自分の借金返済に勝手に入れており。

メルトの借金が減ったことに喜ぶのは分かるが手元に残った報酬袋の悲しさたるや・・・それはもう何とも言えないと言った表情でハルトは報酬袋を覗いていた。



「はぁ~~~ケモノに襲われて信じてもらえないイエーティ族に助けてもらって生き延びたが・・・生きた心地がしねぇ・・・・むしろ報酬的には死んでるだろ!?

何だよ1人5万6千ゴールドって・・・・」

「だってしょうがないじゃない!!!を減らすための依頼だったんだし?それに私が借金を抱えると言う事はあの家も差し押さえされちゃうかもしれないってことなのよ!?

だからココは協力して借金の清算をするのが賢明じゃないのかしら??」

「物は言いようと言いますが・・・・自分の犯した罪を仲間の報酬を使ってまで帳消しにしようとするとはやはり只者じゃありませんね。

――――――――――――――が板についてます。」

「貧乏神とはなかなかの称号だな。

神とは言っているのだから相当ランクが高い称号だろ?

だがあの家を差し押さえられては今後の生活が大変だから報酬を使ってでも返済するのはいいが・・・もう少しもって行かれてしまう量を調整しないか??」

魔王たちはあーだこーだと議論を繰り返したがメルトの口の上手さが悪い意味で発揮し。

キルりんも魔王も言いくるめられて魔女の操り人形と化し・・・ハルトは本当にメルトを解雇してやろうかと脳裏に浮かび上がっていた。

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