340日目 宴会の終わりとハードな日々


 メルトの土下座からこれからの借金を返すためのプランを考えていると。

日は想定よりも傾いており・・・メルトは自分の為に悩んでいるハルトたちに恐る恐る声をかけ。

そろそろ宴会を行いに酒場へと行かないかとコレ以上ないと言うほど背を低くして問いかけており。

これからの生活に不自由がないとも限らないこの状況に対してメルトは何も考えていない様子のままであった。



「お前な・・・今の状況から普通なら宴会を開いてる場合じゃないんだぞ??

その金も借金を返すために置いておいた方がいいくらいだって言うのに・・・・

――――――――もう一度だけ確認の為に聞くがよ??マジで宴会を開く気か??」

「あったぼうよ!!!私がこの世で借金と戦うためにはエネルギーとなる酒が必要よ!!!つまりたっぷりと補充する必要性があるから宴会なの!!

まぁクロバチ討伐に関わった全員は止めにして私たちだけの小規模宴会でいいわよ!!」

「それは宴会というよりも身内内の外食では??

それにせっちゃんくらいは呼んだ方がいいと思いますので私が呼んできましょう。

ですからハルトたちは先にいつもの席で待機しててください。」

「そう言うことらしいから私たちは先に酒場で待機してよう。

キルりんなら時間厳守でキチンと戻って来てくれるだろうしな。」

と、話は宴会を小規模で行うと言うこととなり。

キルりんはハルトたちよりも先に家を飛び出してせっちゃんを迎えに出向き。

ハルトたちは寒さが強まる夜道を歩いて酒場で席に着くとせっちゃんとキルりんは待ったと言う時間もないくらい早く到着しそのままプチ宴会が行われた。



「あひゃひゃひゃ!!!もっとよぉ!!もっとジャンジャン持ってきなさいな!!

今日は宴会だからたっくさん飲むわよぉ!!!」

「あぁ・・・このままじゃイカンだろ・・・メルトの借金でどうして俺たちが悩まにゃならんのだ。

これも全部メルトが元凶だしやっぱりメルトを解雇して1人で生かす方がいいんじゃね??」

「外野の私が言うのもあれだけど。

この状況でメルトを1人にすると私の方か教会に来るかもしれないから止めて欲しいなぁ・・・なんて・・・」

「あぁ~そうですね。

メルトは彷徨いだせば手当たり次第に拠点となる寝床を探し出す行為に走ると思われますのできっとせっちゃんたちに迷惑をかけるかと・・・・」

「同感だ、メルトのあの動きは血肉を求めるグールのようだからな。

シュゴビーがあればさらに動きは機敏になるとくればグール以上に厄介かもしれないな。

それに関係のない教会やせっちゃんに他の冒険家たちにスルーされた場合メルトはこの国をあの魔法で滅ぼしかねないからどのみち野放しは生きた魔導書を捨てるようなものだろうしやらない方が賢明だろう互いの為に。」

シュゴビーをちびちびと飲みながらハルトたちはシュゴビーをグビグビと飲み干すメルトに焦点を当てながら話し合い。

やはりと言うべきかメルトのリードをしっかりとつかんで誘導しながら借金を返済するしか方法がないと言う結果に崩れ落ちるハルトにせっちゃんは借金を返済するのならこの危険な時期の害獣や魔獣を狩ればある程度の返済はできるのではないかと言う提案に耳を傾け。

例えばどんな依頼をこなせばいいのかと問うと・・・・・



「ん~~例えばスノーコングの群れの撃退とかかな?

30頭辺りで群れをなすスノーコングを撃退で7000万だが雪の色とかで見分けがつかずいつの間にか自分が雪の中に消えていくハンターや冒険家が後を絶たないらしいが・・・・ハルトたちのPTだったら余裕じゃないのかな??」

「いやいやいや!俺たちのPTこそ無茶だろ。

よく見てみろよ・・・この魔力の装甲と剛腕にサキュバスな服装が売りの魔王に毒殺アイテム作りにアサシン術が取り柄のキルりん。

後は借金女王のメルト・・・どう転んでも30頭倒す前に校舎の雪になるのが落ちだろ。」

「私は雪対策もばっちりできますので重宝すると思いますよ??

アイテム作成にも個人差はありますが私のアイテム作成はピカイチだと自負しています!!」

「私は剛腕でもサキュバスでもない!!こんな可憐な魔王はそう相違ないと思うぞ?

剛腕というが私の力は魔力揺らいで筋力的な意味合いじゃないからな!!

それに私だって魔力で作る防寒用の服装はしっかりと肌を露出させないようにしている特別中の特別だぞ!!

いつもの格好でも平気なのだがハルトには刺激が強すぎると言う事だから考えに考えてやっと完成したのだぞ!!!えっへん!!」

魔王の子供っぽい部分までをハルトは聞き流し・・・せっちゃんに他の少人数でやれそうな依頼は他にないのかと問うと。

やはりこの時期だと依頼が少ないらしくギルドに直接足を運んで確認するまでは分からないと言われ・・・・ハルトはせっちゃんに感謝の言葉を述べてから踊り舞うメルトを樽の上から降ろし席に着かせた。



「あれれぇ~~どうしたのぉ??私はまらまらのめるわよぉ??ヒック・・・・」

「うッ・・・これは中々に呑んで出来上がってますね。

久々に酒臭いメルトが出来上がっていて帰りがとても不安になりました。」

「メルトもこの様子だし今回の宴会もこのくらいでお開きかな??」

「そう言ってくれると助かる。

でもなんだろ・・・一番深刻に悩むべきこいつが一番気楽にしてることに腹立たしくて雪で目覚めさせてやろうかと考えてる自分がいるのだが?」

「まぁ今日くらいはこのまま連れて帰ればいいんじゃないか??

明日からは雪の中を駆けずり回ってでも害獣に魔獣と戦う日々になるのだからな。

これまでの暖かな生活から急変する戦闘と借金返済の日々・・・ん~これが苦労な人生というものなのか~~くぅぅ~初めての経験に胸が躍る!!」

魔王は何にワクワクしているのかと不思議に思いながらも会計を済ませたハルトはせっちゃんと別れて家に戻り。

ひんやりとした床にメルトを転がしてまた明日とハルトたちも解散すると、明日からのハードな生活の始まりに魔王と違ってハルトは生きた心地のしない心境で目を閉じて眠りにつくのであった―――――――――――

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