338日目 うろ覚えの古い古代呪文


 ブラックライトの群れを数時間かけて討伐しきると体をびたんびたんと跳ねさせて何かを訴えるメルトが見え・・・どうしたのかとメルトを起こし口に当てていた布を取ると全力で呼吸をし始め後数秒でアズラえるの所に行ってしまうところだったとマジ顔で答え・・・辺りの状況からか無事にブラックライトを殲滅したことを知りすぐに縄を解くようにと語っていた。



「メルトはこういういざっていう時に使えないマッチの折れた部分のようですね。

いつになれば自分から戦う意志を見せてくれるのか本当に不思議でたまりません。」

「いやコイツが本気で戦うのは自分の為であってそんな夢みたいなことはいつ起こるかわかったもんじゃねぇぞ??」

「ふふ、へへへ・・・あひゃ・・ひゃひゃひゃひゃ!!!言ってくれんじゃないの!?2人とも!!!いいわよ!!この次に出てきた魔獣でも害獣でも私が1人で相手してあろうじゃないの!!!

それで私の今日の業務は終わりよ!!!それでいいわね!!!」

「私は構わないが大丈夫なのか??冬場を動き回る害獣や魔獣は春から秋までよりタフで強いものが多いのだが・・・・メルトがそこまで熱く語るのなら私も応援しよう!!強さの証明は女でも男でも必須だからのう!!!」

魔王は強さの証明と言う話を移動中も1人でぺらぺらぺらぺらとしており。

毒草を採取している際にも話していることからついにキルりんが怒鳴り・・・集中できないからその辺で終わるようにと言われるとシュンとして毒草を集め出した。



「さっきのアレはちょっと言い過ぎだったでしょうか??

幾らなんでも話しが長すぎるのと止まらないマシンガンなトークにイライラしてしまい怒鳴っちゃいましたが・・・・」

「いやキルりんの気持ちもわからんでもない。

俺もあと少し長ければガツンと魔王に言ってやるところだったからな。

それにしてもメルトが1人で戦闘とか・・・逃げ出すとかしなけりゃいいんだがな・・・・」

「ちょっとそこぉ!!!毒草があるんだから話してないで集めなさいよね!!!

私と魔王にだけ作業させるつもりかしら!?」

と、先程まで縄に縛られて窒息しそうだったメルトが上から言い出したが状況的にハルトとキルりんが手を動かしていないのは事実であることからメルトの言った通り手を動かしつつメルトが1人で戦闘ができるのかという話で盛り上がっていると。

森の方から足音と共に巨大なキメラが飛び出してきていた。



「おぉ~~アレは魔獣を幾度となく組み換え変化させ融合させた悪魔の所業によって生み出されたキメラではないか。

まだ根絶されずに生きていたとはな。」

「えっと、俺の見間違いじゃなけりゃアレって相当ヤバいボス系のように見えるんだが・・・・メルトさんはさっき言ったよな??

次の相手は自分一人でやってやるってさ??だったらこいつを頼んでもいいって事だよな??」

「じょ、じょじょじょじょじょ・・・・上等よ!?

私レベルにもなればあれくらいのワンコ1体くらい速攻でひき肉にしてハンバーグにしてやるわよ!!」

「あれ以上混ぜたら本当にカオスなキメラになってしまいますので可哀そうなことはしてあげないでください。

それに・・・あの体中の傷から見ると相当な戦いを得て来たのでしょうね・・・・歴戦のキメラというべき強敵ですよきっと!!」

魔王とキルりんは妙に目をキラキラとさせて座って見ており・・・ハルトはその2人の隣に立って観戦することにしいつ戦いが始まるのかと思い見ているとメルトが先に動きを見せた。



「先手必勝!!!悪いけどコレで終わりにさせてもらうわよ!!!

―――――――――――――風の刃でぶった切ってあげるわ!!!!」

「ガルルルルル!!!!!」

「あのキメラ!!!サーカスにでも入ってたのか!?空中で華麗な一回点で避けたぞ!?」

「あぁ実に見事な回避だ。

それに比べてメルトと来たら・・・こらぁ~もっとしっかりと相手を見て攻撃をするのだ!!!それじゃ何発浴びせようと回避されてしまうぞ!!!」

「そうですよ!!!それでも偉大な魔術師メルトなんですか~~~

やっぱり街の異名であるトードマスターメルトの方がお似合いなんじゃないですか!?」

2人の言葉に目にモノを見せてやるとメルトは再び動かないキメラに狙いを定め次の魔法を放つが・・・それは炎の魔法でキメラは自身の口から炎の魔法を吐き出して相殺して見せ。

さらに魔王とキルりんのヤジが強まり・・・メルトはとことん納得がいくまでやってやるとブチ切れていた。



「なぁ・・・魔王とキルりんはさっきからなんだ??

こうやって見てるとお前ら二人もキメラ側にしか見えないんだが。」

「そりゃメルトですが。

いままで酒と金の力でだらけていた結果がきっとこんな不出来な結果になったのだと思いリハビリですよリハビリ。

ここで本来のメルトの腕に戻すことができればクロバチのような大きな事件の時に活躍でき私たちももう少しは楽に行動できるかと思いまして。

―――――――――魔王もそうですよね??」

「ん~どうだろうか。

あのダラダラ生活を主にしているメルトが魔王を狩ると言っていた時は面白い人間だとは思っていたが・・・実際は本当に酒と金に弱い脆弱な人間だったのか。

それともここで一皮剥けた真の魔術師の力を見せるのか・・・それはメルト次第だがその結果によりここから先の進路が決まるかもしれないなと私は思っている。」

久々に魔王はしっかりとした意見を語り、凛とした視線はメルトを射貫き・・・そのメルトはと言うとどうすれば目の前のキメラをぎゃふんと言わせつつ木端微塵にできるのかと考えてると。

昔、母から教わった古代魔術の一部を口走り・・・・



「ガルルルルルルッ!!!!!」

「さっきまで大人しくしていたキメラが先に!?

メルト!!!早く次の手を撃て!!!出ないとマジでやられるぞ!!!」

「マルドゥーク・・・マルドゥーク・・・サハイェ・・・サバトゥ・・・・

ウェイン・・・アバサァートゥ・・・メリュトーリシカ・・・・

アルグウイ・・・ディア・・・セグメク・・・アザトゥトゥ・・・

最後のなんだったっけ・・・・えっと・・・確かぁ・・・《《メサイア)》だったっけ??」

「何だこの光は!?メルトは無事なのか!?」

「あの魔法は今まで聞いたことがない今まで使ってきた古代呪文の中で最強最悪で凶悪的な一撃な魔法ですね・・・・だってあそこの山に《《穴)》が開いちゃってますよ??」

メルトのうろ覚えの魔法に警戒したキメラであったがその威力は想像を絶するもので・・・魔王たちもそのまばゆき光に目を閉じる事しかできず。

再び目を見開いた先にはキメラが骨だけになっており・・・先の山には大きな風穴が綺麗にぽっかりと空いていた。

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