323日目 メイドとお嬢様再び
魔王の作った地獄の料理を食べ終えて一日が終わった翌日の事。
天気になり街へ繰り出すハルトはぶらぶらと歩いていると、最近知り合ったあのレディとメイドに尾行されていた―――――――――
「ハルト様、本日はどこにお出かけなさるので?
私はハルト様とならどこへでもお供いたしますわ!!」
「ハルト様いえ・・・この輝きに満ちたレウィーラ様を無視しているそこの男。
止まるがいいでなければ今ここでその首を華麗に刎ね―――――――」
「今日は天気がいいから外に出て来たのはいいが・・・なんて日だ厄日か・・・
で、何だ??俺はこれから街をぶらぶらっと歩いて時間を潰すだけなんだが??
それに稽古とか習い事があるんじゃないのか?」
ハルトは立ち止まってレウィーラにではなくメイドのマリーに問いかけると。
ワイヤーのようなモノをしまい・・・レウィーラの代わりにと話し始めた。
「本日の稽古や習い事は全て済ませておりますのでレウィーラ様はお暇を持て余しておられです。
屋敷でお茶をするのも寝ているのも退屈と私と共に街で歩いているだけにございます。
ですから本日のレウィーラ様はオフというものにございます。
――――――――お判りいただけましたか??」
「ダメよマリー、メイドがそんな鋭い目つきをしては。
マリーはキレイなメイドさんなのだからもっとニコニコしていて。
ごめんなさいハルト様、えっと・・・お邪魔だと言う事は十分承知しておりますのでハルト様のお邪魔にならないよう心がけますからこれからご一緒してもよろしいでしょうか??」
「あのメイド・・・目つきが良くなったのはいいが殺意がヤバイぞ・・・
断ったらレウィーラの目の前で首が刎ねられそうだし・・・・
仕方ねぇ・・・今日はあのバカもいないしいいぜ、今日はトコトン遊んでやるよ。」
ハルトは本日のフリータイムをレウィーラの為に使うと語ると、付き添いのマリーの殺気は薄れ・・・再び手に握られていたワイヤーがしまわれると。
レウィーラはあまりにも嬉しさにハルトの腕を掴みどこに連れて行ってくれるのかとワクワクした表情で見つめると――――――――
「そうだな、ひとまず街を歩いてみるか・・・元々はそう言う流れで来たからな。
――――――――――マリーもそれでいいか??」
「はい、私はレウィーラ様の影ですからお気になさらず。
レウィーラ様の行くところが私の行先なので。
ですからハルト様が妙でいかがわしい場所へレウィーラ様を連れ込もうとした場合・・・・本当の悲劇が起こる事を覚悟してください。」
「わ、私がハルト様に!?そ、そそそそそそれは・・・・つまり・・・ハルト様が私にプロポーズを!?あわわ!?ハルト様!?急に歩かれてどうなさったので???」
マリーの会話とレウィーラの誤解を解くのが面倒となったハルトは有無を言わさずに2人を街に連れ出し・・・教会や街のギルド辺りを通り。
道具屋にバザールを抜けて歩き続けると、ハルト行きつけの屋台が立ち並ぶ場所に出てくるとレウィーラは初めて見る光景に目を輝かせていた。
「ハルト様ハルト様!!!あのものは何ですの!?
あれとあれも見た事ないわ!!マリーマリー!!街って私の知らないモノで溢れているのね!!」
「そうでございますね・・・あまりこういう場には連れて来たくはなかったのですがハルト様の観光案内にも限度というものがあると言う事を忘れておりましたので私の計算ミスです・・・申し訳ありません。」
「おいおい、ここは俺の知りうる中で最高にいい店だぜ??
安くてうまいの最高セットだ・・・ちょっと待ってろよ。
―――――――――おっちゃ~~んいつもの3つでトッピング大盛でよろしくぅ~」
ハルトは2人を置いて近くにある店に買い出しをして戻って来ると、その手には紙袋が3つあり・・・レウィーラとマリーに1つずつ渡して中を開くと・・・
「ん~~すごくいい香り!!ハルト様、これは何という食べ物なのですか??」
「俺の世界で言うホットドッグ・・・って、わからないよな。
ここの言い方だとソセージサンドだ。」
「ホットドッグとはハルト様の住まわれていた世界は犬を喰らう野蛮な世界なのですね。
ですが・・・コレは匂いからして食欲をそそられます。
これはどうやって食べるものなのですか。」
ホットドッグの件はすぐに解決させたハルトは冷めないうちに食べた方がいいと言いつつガブっと自分のサンドに噛みついて見せ、レウィーラは見よう見まねで小さな口で可憐にパクリとひと口かじると初めて食べた味と美味しさにひと口もうひと口とペースを上げて食べだし。
マリーはと言うと・・・すでに食べきった様子で口につ言っていたソースを指で取ってぺろりと舐めてレウィーラの口元を綺麗にし始めた。
「マリーはすごい速さで食ってたが・・・・2人ともこれはウマイだろ??
これでもまだ体に悪いだとか下品な食べ物だとか思うか??
まぁ所詮俺たちは高貴な貴族とか王族じゃないから口に合わなかったら美味しくないって言ってもらってもいいんだけどさ。」
「ここはそうですね・・・ハッキリ言いましょう。
私はこの味は割とアリだと思います。
体に悪いという概念は捨てきれませんが・・・庶民の味もとても豊かで心がホッとします。
――――――――レウィーラ様、ソースがお口に・・・・」
「あ、ありがとうマリー・・・・んんッ・・・・ふはッ・・・
私はハルト様の事や皆さんの事を庶民とかそう言った風には思っていません。
生まれが例え貴族であったとしても王族や人間じゃなくても・・・・私は生あるすべては平等だと思います。
だからあまり深く考えなくて大丈夫です・・・・それに私もマリーと同じでコレがすごく気に入りました。
香ばしいソースとぷりぷりなお肉にシャキシャキな野菜・・・・
どれも素晴らしく美味しいと私は断言します。
屋敷の料理長にも見習ってほしいくらいですフフッ・・
本当にハルトさんは・・・・私の知らない事をたくさん知ってて羨ましいです。」
そのレウィーラの笑みの中には屋敷で習った以外のことは本当に何も知らないんだなと感じたハルトはサンドを食べ終わったレウィーラの手とマリーの手を握って他にも色々なものを見せたいと言う事から駆け出し・・・レウィーラもその力強く握るハルトの手の嬉しさを噛み締め、できるだけ強く握り返していた――――――
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