306日目 貴族のお嬢様と付き添い


 受付嬢は泣きながらも報酬の方が気になるのか・・・・受付嬢を見ているメルトに見守られつつ金額の発表をすると。

生け捕りの報酬からはかけ離れた数値にメルトは再びハルトに突っかかるが片手で押し込められ。

ハルトはこれでボランティアは終わりかと問うと、受付嬢は少し考え。

街の近辺で魔獣や害獣の異常発生が起こらなければコレで終了になるとにっこりとした笑顔で語ると、キルりんは魔王とせっちゃんの腕を握って食事に行こうと言い出し・・・ハルトもその意見に賛成し泣きじゃくるメルトを引きずって酒場へ向かうのであった・・・・・




「うぐぐぐぐ・・・・・報酬1人頭23万ゴールドってどんだけボランティアに回してんのよ!!!バカーーーーーー!!!今日はこうなったらヤケ酒よ!!!じゃんじゃんシュゴビーを持ってきて!!!」

「オイオイ、メルト・・・お前昨日の一件でスカンピンになった事を忘れたのか??

―――――――少しくらい貯金と言うのをだな・・・・」

「まぁいいんじゃないか?ギャーギャーと騒ぐ方が店にとっても迷惑になるのならシュゴビーで眠らせてから引きずって帰れば全てに迷惑なく収まるというものだ。」

「ですが、これで調査の依頼が終わりですか。

意外と早く終わっちゃいましたね~暴魔を狩らなければもう少しは調査に行けてたと思うのですが・・・・タイミングが早すぎだったでしょうか?」

「そんなことはないと思う。

街や村のみんなが不安になる事を考えればいいことをしたんだと思う。

これで明日から私たちはバラバラな行動になっちゃうけど。

また何かあったら呼んだり呼ばれたりしてもいいかな??」

せっちゃんはシュゴビーに触れずに語ると、ハルトたちはもちろんと語り。

メルトはと言うと・・・報酬の高い依頼に呼んで欲しいとブツブツ言い始め。

全員が納得した所で初めてせっちゃんはシュゴビーに口を付けてごくごくと飲み始めた。



「にしてもだ・・・明日から依頼をどうしたものかだよな。

まだ依頼が出回ってると良いんだが・・・そろそろ冬の季節だろ?

害獣とか魔獣はそろそろ冬眠の頃だし・・・・俺たちも身支度はしておかないとだ。」

「そうだな、冬用の毛布に暖炉の木の備蓄に調理用の食材。

どれも買い込んでおく必要がある・・・と、言う事は明日は依頼と買い出しか?」

「そうですねぇ・・・そろそろやるべきことをしておかないと時期的に大変ですし私は賛成です。

―――――――――メルトはどう思いますか??」

「お買い物??そうね・・・・そうよ!!!お買い物よ!!!

お金はこれだけしかないけど・・・備蓄のシュゴビーがすっからかんなのよ。

だからコレでありったけのシュゴビーを買って寝かせておかないと!!!

それとおつまみも少々・・・・あひゃひゃ・・・」

メルトは少しだけ元気が出たのか明日の買い物に救われ・・・ほどほどに食事を済ませたハルトたちとせっちゃんは酒場で別れると自分たちの根城へと戻り眠りについた。




そして、翌日の朝・・・・ハルトたちは朝食を済ませた後にすぐにギルドへ向かい依頼を探すが。

やはりと言うべきか時期的に害獣や魔獣の討伐や捕獲の依頼が圧倒的に少なく。

あったとしても危険度の高い内容とハードさにうんざりし。

今日のやるべきことが朝から崩れたこともあってハルトたち一行は街へ買い出しに出かけることとなった。



「それじゃこれから食材とか色々買うんだが・・・・いらないモノは買いません。

ショゴビー等の娯楽アイテムは自分の有り金で買う事。

異論は認めない・・・以上だ。

それを了承した者のみ同行していいが・・・・どうなんだ??」

「べ、別にハルトの貯蓄に興味なんてないし!?

私にはこのお財布に沢山のお金が合うんだからこれで好きなだけシュゴビーを買うから全然気にしなくていいわよ!!!」

「とかなんとか言って・・・昨日の報酬分しか入っていないしょぼくれたがま口財布を見せられても愛想笑いしか出ませんよ?

それに比べて私はたっぷりと貯蓄してますので!!!あぁ~これも銀行に預けていたおかげです・・・今日はどんなサプリを・・・・」

「まだ危ない薬品に手を出す気か??

そんなドラッグに身を染めるよりも健康的な生活をだな・・・・

いや、それよりもハルトが先に歩いてしまってるから早く追いつこう。」

メルトたちの意見を聞かずにそそくさと1人で歩いているハルトに追いつく3人は食材や暖炉の木材を買い込み・・・持ちきれなくなった際に家へ戻ってから再び街へ買い出しへ向かうと。

どこからともなく声が聞こえてきた。



「あ、こんなところに・・・・さまぁ~~~~」

「ん??なんだこの前の子か、今日はどうしたんだ?付き添いの人も一緒にさ?」

「ん?さっき妙なものが聞こえたんですけど・・・様??ハルトに様??

一体ハルトはどんな羞恥攻めをして調教したのよ!?

こんないたいけな子供に何て卑劣な変態男なの!!!」

「見損なったぞハルト!!!私たちのしあないうちにこんな幼き子を相手にしていたとはな!!!」

「あれ?そのペンダント・・・・もしやこの辺りに住まうの娘さんですか??

――――――――――えっと確か・・・何て言いましたっけ・・・」

「ベッヘル・アムル・シュトローメ家にございます。

申し遅れましたお嬢様はベッヘル家の長女であり次期跡取りとなるお方。

ベッヘル・アムル・レウィーラ様でございます。

それと私は付き添いのメイドのマリーダ・ロア・・・マリーとお呼びくださいませ。」

メイドこと付き添いのマリーがレウィーラの事を話すとキルりんもそれだと思い出し・・・そこからどうしてこんな街へ、しかもハルトの事を様付きで話すのかと問うと。

レウィーラはハルトから離れて先日の出会いの日の事を語り出した。



「そう、アレは数日前・・・私が屋敷の外を見たいと言ってマリーと出て行った事が始まりだったわ。

その日は星も隠れてしまうほど黒い雲があったのだけれど私には心強いマリーがいたから平気だったのだけれど。

街に不慣れな私とマリーは道に迷ってしまった際に妙な格好をした連中に声をかけられて私の手を男性方が無理矢理に掴んた所・・・・このハルト様が私を助けに来てくださったのです。」

唐突な話に魔王たちはこのハルトが人助けとはどんな下心があるのかと不安げな顔をしつつレウィーラの話を聞いていると。

途中から付き添いメイドのマリーがここからは私がと言って話を引き継いで代わりに説明をし始めた。

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