268日目 銀光石の指輪
魔王はハルトの言葉に期待しながら待っていると。
ハルトは魔王に思いの丈をぶっちゃけ・・・いい歳になって誕生日でわがままを言わないようにと叱りつけると。
魔王は魔王で特別な日にわがままをいって何が悪いかといいとこ育ちの魔王ならではの返答が返って来るや・・・
ハルトは魔王にそっとあるものを見せた。
「お前はクリスマスの日にこれを書いたヤツと同じ末路を歩みたいのか??」
「何を今は私の誕生日の話が先だろ!
それにクリスマス・・・・ん?
私の今年のクリスマスプレゼントは胸のおっきくなるグッズがいい・・・です・・・・あぁ・・・・もしかしてこれは・・・キルりんのものか??」
「ちょっとメルト・・・私はすぐにやらないといけない対象物がいるみたいなのでサーチアンドデスってきますね♪!!!あはは!!!今日は血の雨を本当に降らしてさしあげますよ!!!ハルトォォォォ死すべし!!!!」
その刹那、魔王の読みあげた切実な願いの書かれた紙を提供したハルトに一筋の光の一閃が入ると。
ハルトの体が斬り裂かれており・・・その後方ではキルりんがにやりと笑みをこぼしてナイフを舐めとっていた。
「イタタタ・・・キルりんはいないと思っていても現れるな・・・
あれか??お前はゴキブリの仲間なのか??」
「誰が悪の根源と同じですか!?
私は地獄耳なのですよ!!!ハルトでも誰でも私に対して吐かれる暴言は大体の確率で耳に届きます。
今回の件も魔王が読み上げた時点でハルトが提供したネタに違いないとナイフで裁いたのですが・・・・おかしいです。
いつもならもっと綺麗にバラせているはずなのですが・・・・
もしかして魔王・・・ハルトを庇って魔法でもかけたりしていませんか??」
「やはりアサシンスクールに通っていただけの事はあるか・・・
そうだとも!!!今は私がハルトと親密な話をしていたところなのだ!!
キルりんに横取りされてハルトを殺されても困るのでな!!!
えっと・・・だから・・・別にハルトを助けたわけじゃないからにゃ!!!」
「本当にジッと観察もできないのかしら・・・・
だけどあらかたの事情も分かった事だし・・・酒場でシュゴビーでも飲んでハルトたちが回収に来てくれるまで待って様かしらね。
さぁ~昼から飲むわよぉ!!!あひゃひゃひゃ!!!」
飛び出して行ったキルりんを置いてメルトは酒場へと向かって行き。
魔法でハルトに攻撃が深く入らないと悟ったキルりんは寝込みを襲うと言ってその場を去り・・・・無言のまま佇む魔王と傷を撫でるハルトだけがそこに残される形となっていた。
「んで・・・俺を助けてくれたのには感謝するが・・・・
俺は明確には魔王に何をしたらいいんだ??別に誕生日なんて俺たちの中じゃそこまで意味のある行事でもなかっただろ??
去年もその前も俺たちはずっと働いてたしさ・・・・」
「そうだとも・・・だからこそ今年くらいは・・・私が生まれてきてよかったと。
私と生まれた日を祝って欲しかったのだ。
誰かの為に仲間の為にと身を粉にしてきた私に1日だけ本当にワガママをさせて欲しい・・・」
魔王のしんみりした言葉にハルトは悩むように頭をかき・・・無言のまま歩き出し。
その後を魔王は何も言わずについて行くと・・・・・
「なら・・・何を魔王に贈ればいいのか俺にはわかんねぇから・・・
一緒に探そうぜ・・・魔王が欲しいモノをさ・・・おい聞いてるか??」
「お、あぁ聞いているとも!!!う、ウムそうだな!!!ハルトならばそう言ってくれると思っていた!!!
それにこのオシャレそうなアクセサリー店はハルトにしては中々のチョイスではないか!!うむ気に入った!!さっそく気に入るものがあるか見て回ろうか。」
魔王はそう言ってハルトを連れまわしながら店内を見て回り。
ネックレスやイヤリングを見たりつけたりとしながらあーでもないこーでもないと言いながら最後に指輪が展示してあるショーケースの前にやって来た。
「へぇ・・・ここにはダイヤモンドがないのか。
見た所どれも俺のいた世界にはない宝石ばっかりのようだが・・・・」
「ダイヤ??そんな宝石があるのか??
いや、そんな事よりもこの虹色に輝くニジイロカネのリングはいい作りではないか??
店主、この指輪を試着してもよいだろうか??」
「そのニジイロカネの指輪は高級品でケースから出すことができないんですよ。
強盗に盗られでもしたら大変ですからね。
それと同じサイズのモノであれば・・・この銀光石の指輪が確か同じですよ。
さぁ・・・これです。」
魔王は少しだけ残念そうに見つめながら銀光石の指輪を指にはめてハルトにどうかと尋ねた。
「私はこのニジイロカネの指輪が良かったのだが・・・高いらしいからこの銀光石の指輪にしようかと思う。
で、これはどうだろう??似合うか??」
「誕生日プレゼントに指輪を贈るとか・・・結婚するわけでもないのに大層なプレゼントだよなぁ・・・魔王がそれでいいのなら俺は構わない。
それと・・・まぁあまり装飾品を身に付けてない魔王ならその銀光石が似合うんじゃないか??
――――――――――派手過ぎないしこれにするか。」
「そうですかそうですか!!!それならば・・・・・」
店主はハルトの言葉を聞いてすぐに綺麗な箱を取り出し。
魔王から指輪を回収して梱包し・・・ハルトは店主に支払いを済ませると魔王に誕生日の祝いの言葉と共に贈り。
魔王は言葉にならない声で感謝して受け取り・・・ハルトをぎゅっと抱きしめていた。
「そんじゃ帰るか・・・・」
「そうだな・・・このまま遊んでいるわけにもいかないしな。
家でキルりんとメルトが私たちの事で変な妄想をしていなければよいのだが・・・・」
「何を失礼な・・・私だって魔王の為に誕生日プレゼントを選んでいたのですよ??
さぁ魔王・・・私からの誕生日プレゼントを受け取ってください!!!」
「何だこの大きな箱は・・・まさか中に爆弾とか殺傷系のアイテムとか入ってないだろうな???」
ハルトはキルりんに問うが、中身を言ってしまってはサプライズにはならないと言い返され。
その言葉に対してハルトはさらに言い返し・・・サプライズで誕生日の日にケガをするのはシャレにならないと言うと。
キルりんはそれならばと魔王に箱を開けさせることにした―――――――――
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