222日目 クリシュナの礼儀


 メルトはクリシュナの言葉から本当にどんなもの、どんな願いでもいいのかと問うと。

クリシュナは大きな胸に手を当てて「任せろ」と大きく語り。

メルトはとんでもない願いを口走った。



「それじゃ・・・ハルトのいた地球とかいう星を元に戻してよ。」

「ん?メルトにしてはまともな願いだが・・・・クリシュナ??おい、どうしたんだ??」

「んん~~まさかそのような莫大な命と崩れ去った惑星の再生を望むとはねぇ。

神の力でもできる事とできない事があって。

メルトの願いはもはや私の位では叶えられない域の願いだ。

ましてや最上位の神でも不可能に近い事だ・・・・

そこまでの願いを持っていたとは驚きだ、よしわかった・・・メルトたちがハルトを手放したくないっていう気持ちは確認できたし。

もう私はにしたいとは思わない。」

「そ、それじゃ・・・・やっとこの無意味なやり取りは終わりって事でいいんだな??

よっしゃ!!!一時はどうなる事かと思ったがやればできるじゃんか!!!

メルト??おい、どうしたんだ??」

「え?ハルトは分かんないの??ハルトの星はもう絶対に元に戻らないのよ??

本当にハルトの為に地球を元に戻してあげようとしたのに何で私ががっかりしないといけないのよ!!!

本当に人の事を考えないクソハルトは能天気でいいわね!!!フンダッ!!!」

「まぁまぁ・・・クリシュナからハルトを無事に守ることができただけ良しとしましょうよ。

何でも叶えられると言っても限度ある中の何でもという意味が世の常。

本当に自由にどんな願いでも叶えられる神なんていない事もわかりましたし。」

「ハルトぉぉぉ~~~これで私たちは離れ離れにならなくて済むのだな!?

う、うぅぅう本当に良かったぁぁぁ~~~」

魔王は感極まって涙をボロボロとこぼして泣き出し、それを見ていたクリシュナはいい掛詞の続きを空気を読まずに続けて語り始めた。



「話はまだ終わってないよ!!!ハルトを下僕にしたいとは思わないけど!!!

ハルトにときどきちょっかいをかけに行かせてもらうかな!!!

神でも人でもないハルトが魔王たちに振り回されてズタボロになっていくのを見ているのもあれだし。

少しくらいなら私がハルトを鍛えてやっても文句は言われないと思うんだ。

で、ハルトは私がちょっかい出すのはどうなんだ??嫌なら少しだけ寂しい気持ちもあるけど。」

「そうだな・・・ん~魔王みたいにほぼ毎日のように筋トレだ稽古だの言わなかったら時々でも顔を見せに来たらいいさ。

お茶とかでないからその辺は覚悟してくれよ?

神だからとかそう言う事を言うのも無しだ、俺たちは年齢だとかどうとかで上下がないからな。」

「そうだぞ!?私なんてハルトよりもお姉さんなのにもかかわらずこのように舐められているんだ!!!

クリシュナにこの屈辱は我慢できまい・・・・ん?クリシュナ??」

「え!?何やってんの!?クリシュナが両膝をついて土下座の態勢になってるわよ!?

それにこんな状態をクリシュナの眷族たちにでも見られたら私たち血祭りにされちゃうわ!ほらハルト!!早く止めさせるか立たせてよ!!!

私たちまだ死にたくない!!!まだ報酬金の出る魔王も倒せてないしまだまだいっぱいお酒も飲みたいのにぃぃぃぃ~~~」

「こういう時でもまだお酒の話をしますか??

ですが私もとばっちりで死ぬのは嫌ですのでハルト・・・頼みましたよ?」

ハルトは急に土下座をし出したクリシュナを立たせると。

どうして土下座なんてし始めたのかと問えば。

クリシュナは屈辱的な事なら耐えられるとサラッと言い返すが、クリシュナも自分の欲の為なら何でもするのだと危険視したハルトたちはひとまずこの場から避けるようにと部屋に戻って行った。



「はぁはぁ・・・なんだよ・・・ここの世界の神は本当に何でもするんだな・・・・

あぁ~早く安全なウチに帰りたいぃ~~」

「それは同感ですが考えてみれば島に来た時間も約1日でしたのでまたこれから1日をかけて街に戻るわけですが。

このまま何事もなく時間が流れればいいのですが・・・・」

「大丈夫よ!!クリシュナもハルトにちょっかいを出す程度で無理矢理何かをさせるようなことはしないとかなんとか言ってたじゃない!

それに私たちは完全に視野の外側にいるから私たちは完全に安全よ。」

「そうだな・・・クリシュナの目的はハルトの様だから私たちは特に何かあると言った事もなさそうだからハルトは不用意にこの部屋から出ない方がいいかもしれないな。

クリシュナとばったり遭遇してしまえば何が起こるかわかったものではないからな。

―――――――これもハルトと共に安全に街へと帰るためだ。」

魔王たちはそう言ってじゃんけんをし始め・・・勝ったものからシャワーを使い。

ハルトを最後にシャワーをし終えて部屋で寛いでいると。

船乗りの1人が夕食ができたと言って呼びに来ており。

いつものように持ってくるのではなくクリシュナと一緒に食べることになっていた。



「ハルトに御一行をお連れ致しましたクリシュナ様。」

「あぁご苦労だった。

すぐに食事の準備を頼む。

さぁハルトたち!!適当に席についてくれ。

これから超豪華な料理が出るから楽しんでって欲しい。」

「ねぇねぇ・・・これって何かの罠だったりするんじゃないのかしら??

普通はこんなこと私たちのような人間にするはずないじゃない??

もしかして毒を入れて私たち全員を殺すとか・・・・じゃないでしょうね??」

「怖いこと言うなよ・・・・クリシュナも一応は神なんだ・・・

そんな簡単に人を殺したりするはずないだろ?

でも、何もないって考えるのも怪しいが・・・・魔王たちはどう思う?」

「安心してください!!私はこれでもアサシンですので毒が入ってるかないかくらい見た目と匂いで何とか見分けがつきますので。

ですがそれを知って力づくで私たちをやろうとして来る場合は魔王に任せます。

私はそういうものには強いですがバカ力に対抗できる筋力や体ではないのでそういうものにはそそう言った力を持つ魔王にしか頼めないので。」

「ちょっと待った・・・私の力をバカ力呼ばわりした件についてなのだが・・・

ハルトたちも私のこの力を前々からそう呼んでいたが・・・言いふらしたりしていないだろうな???」

ハルトたちは魔王の言葉に真顔になり・・・・言葉の返しようがないことから料理はまだかとか適当に話を流していると。

クリシュナの言っていた通りの豪華な料理が運ばれ、キルりんはそれらに対して見た目と匂いで毒があるか確認を行った。



「クンクンクンクン・・・・ん~どれも普通で毒の気配が一切ありません。

ですから全部食べられますよ?」

「ハッハッハ!!!さっきの話の後だからな!!疑われていても当然だ。

だが、私は欲しい物を無理矢理奪うような蛮族的解決は望まない。

多少自分の財力に物を言わせるときは合っても力を欲の為にフリ回さないから安心してくれ。

さぁ熱い食事が覚めてしまうからいただくとしようじゃないか!」

「クリシュナがそう言っているんだ・・・だったら少しくらい信じないとな。

それじゃいっただきます!!!」

「おっしゃ!!!ハルトがどうなろうと私の知った事じゃないからどうでもいいけど毒が入ってないのならこっちのもんよ!!!

で、お酒はないのかしら??シュゴビーとか??」

そう言ってメルトは船乗りにシュゴビーを持ってくるように頼むと。

クリシュナも同じようにお酒を飲むらしく、船乗りに注文して持って来させていた。

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