218日目 巨大な影と対になるモノ
それから数時間後、ハルトたちが目覚めると逆さを向いていたメルトが気持ち悪いと言ってどこかへ消えて行き。
血の気が戻り着替えてやって来ると・・・・ちょうどタイミングよく船乗りが朝食をもってきており。
ハルトたちは受け取りながら後どのくらいで到着するのかと問うと――――――
「あと、10分で到着なこの状況で朝飯って・・・・
なんだろ・・・余裕があるんだか無いんだか。
島に付いたら建物があるところに向かえって言ってたが・・・・大丈夫なのかスゲェ心配なんだが。」
「何せあの物音だったからな。
だが、クリシュナの力があればきっと守り切っているだろう。
それよりも相手がどんなのかすごくワクワクドキドキ気になるのは私だけか?」
「そりゃそうですよ・・・戦闘特化なのは魔王だけなんですから・・・モシャモシャ・・・・それにクリシュナは私たちを呼び集めるくらい戦闘メンバーが足りないのですよ?
生きて帰れる保証もない依頼を受けることになるなんて・・・・本当に今回の依頼だけは大外れもいいとこです。」
「でも依頼を達成したら報酬ががっぽりもらえるのよ?
それともキルりん報酬がいらないのかしら??
でもそうだとしたらキルりんがいなくなった分は私が全部貰ってあげるから心配しないでいいわよ!!!
ホント、儲かっちゃって困っちゃうわあひゃひゃひゃひゃ!!!」
挑発するかのように語るメルトにイラっとしたキルりんはパンを手に取ってそれ以上喋らないようにと口に捻じ込み。
てをバタバタとさせて苦しむメルトを置いて食事を済ませたハルトたちはそろそろ時間だと言って移動すると――――――――
「お客人、グッドタイミングです。
クリシュナ様がお待ちになっている島はここにございます・・・・
あと、我々はこの特別な狼煙で迎えに来ますので帰る際にはこれを焼いてください。
それではご武運を――――――」
「そんじゃ・・・張り切ってクリシュナを探しに・・・・うおぉぉ!?!?
――――――――――な、何だこの揺れは!?」
「ハルト見ろ!!!あそこに巨大な影が見えるぞ!!!
それと1人の人のような影もだ!!!」
「きっとあそこにクリシュナがいるのでしょうね。
ほら、メルトはいつまでパンをもごもごさせている気ですか?
食事の時間は終わりましたよ?」
「ゴクンッ・・・・だ、誰のせいでこうなったと思っているのよ!!!
あと少しでパンに殺されるところだったじゃないの!!
で、急に走り出してどこに行くのよ!!!ちょ、ちょっと待ってよぉ!!!」
やっとパンを飲み込んだメルトは人影と巨大な影に大きな地響きのした方に走り出したハルトたちを追いかけ。
走りさったことを確認した船乗りたちは船を出向させて島から離れた。
「ゼェゼェ・・・・地響きが少しずつ強くなってきているが・・・・この島は凸凹して走りにくいな。
魔王は何か感じたか?この辺りに何か・・・・神的な力とか?」
「神の力も言ってしまえば魔力だから魔獣のモノかどうなのかわからないが。
格段と近づいてきていることに間違いはない。
それに耳をすませば戦う物音が微かに聞こえるぞ・・・・こっちだ。」
「えぇ!?ちょっとは休ませなさいよ~~~本当に魔王は体力だけはバカみたいにあるわねぇ・・・・本当にヤになっちゃうわ。」
「ですが、早く家に戻りたいのであればテキパキやるのが1番です。
ですからクリシュナと力を合わせて依頼の目標を仕留めちゃいましょう。」
そう言ってキルりんはメルトの手を掴んで魔王を追いかけると。
そこには巨大なイカのような見た目の巨大生物と1人の女性が戦っていた。
「うっわ~~~でっかいイカねぇ~~~ねぇ誰かアレは何か知らないの??
私あんなにもデカイ魚介類は見たことがないわ。」
「わ、私も見たのは初めてです・・・・さすがにこの大きさは規格外もいいとこ。
生物学的に大問題な個体ですがそれよりもあの巨体の攻撃を受けても平気そうにしてるあの女性も私は不思議に思います。」
「ん??あッ!!!そこにいるのはハルト??
やっと来てくれたんだね!!!待ってたよ!!私が依頼主のクリシュナだ。
それとこの目の前にいるのが私たちが狩る目標の子分であるグラーフクラーケンだ!!大きさが厄介だけどやたらこれ美味しいのよ?」
「マジか・・・この美人な人がクリシュナなのは分かったんだが。
この目の前のコレで子分って・・・・親玉はどんなのが出てくるんだよ・・・・
今すぐに帰りたくなったのは俺だけか??」
ハルトの問いとは裏腹にクリシュナは笑いながらクラーケンの攻撃を槍で受け流しつつ腕を切り落としていき。
クーラーケンが逃げようとした時、クリシュナは神の力とも言うべき威力の技をクラーケンに見舞い・・・・海底がさらに深くなったように思える程に陥没し。
クラーケンの飛び散った破片がべちゃべちゃと天から降り注いでいた。
「いやぁ~いい戦いだったねぇ!!
それじゃ私たちの宿においで。
あと、これ持ってきてよ・・・・本当に焼いたら最高なのよ?
いっぺん騙されたと思って食べて見てよ!ね?ねぇ!?」
「わ、わかったからそんなに顔を近づけないでくれ。
あとさ?俺がこんなデカイのを運べると思ってんのか?
無理だろ・・・牛何頭分だよコレ・・・・・」
クリシュナにクラーケンの足を運べと言われたハルトだったが。
引っ張ろうとしても微動だにせず、逆に生きのいい足にハルトは捕まり・・・ぐるぐる巻きになったところでクリシュナが呆れた顔をしながら片手でクラーケンの足を掴むと。
そのままついてこいと言って足を引きずりながら案内した―――――――――
「はぁはぁ・・・・マジで圧死するとこだった・・・・
人の体だったらマジでヤバかったぞ・・・・アレ・・・」
「へぇ~本当にハルトって噂通りの死なない体なんだ~
ふ~ん・・・へぇ~~でも、力が無いのが玉に瑕ってところか。
男は力が合ってなんぼなのにね?」
「本当にまったくその通りだ。
ハルトはもっと鍛えて私を超える強さを手にして欲しいものだ。
それでなければ・・・その・・・ごにょごにょごにょ・・・・」
「え?ナニ??何を言ってるの??
あ~もう・・・魔王がわけわかんなくなっちゃったから置いといて聞くけど。
他の連中はいないの??前日の通信時には人が他にもいたような気がしたのだけど・・・・人影も何もないじゃない。」
「言われてみればそうですね・・・ここに来てから今の所クリシュナ以外に人に合っていませんが・・・・他の方たちはどこに行ったのですか?」
メルトとキルりんの問いにクリシュナは真顔になり、それからそっと海の見える方に歩いて行き。
そっとクリシュナはしみじみと「母なる海へと帰って行った」と言い出し。
その言葉に納得がいかなかったハルトたちはさらにどういうことなのか説明させた。
「だから海に帰って行ったんだって!!何?もっと詳しく??
ん~~さっきのクラーケンの親玉に食べられただけだよ。
それにアイツらはいいヤツだった・・・・
私が夕食のメインを横取りしたらすごい顔で見てきた奴もいれば一緒に酒を飲み交わしたのもいたな。
気が付けば私1人で戦っていたというわけだ。
だって戦ってる最中自分のこと以外見えないんだからしかたない!!」
クリシュナの答えにハルトたちはクリシュナに身を任せればやられると感じ。
自分の身は自分と仲間で守り合おうと結束を新たにしていると。
クリシュナはエプロン姿に早変わりしていた。
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