213日目 ホムンクルスの最後


 メルトの言葉に魔王は大剣で攻撃を仕掛けると、ホムンクルスは体をうねらせて避け・・・・

人のような見た目の手で魔王の首を掴みあげると、華奢に見えたホムンクルスからは想像もできない力で魔王は吹っ飛ばされていた。


「ま、魔王!?マジかよ!?個々のホムンクルスってのはなんつーバカ力なんだよ!!!

あいつの対抗策とかないのか?あと・・・・キルりんはどこ行った!?」

「わたしならココです・・・・ぶはッ・・・・

流石に危険だと判断したのでアサシン流の逃げ方で茂みに扮しておりました。

で、あのと言うのは何なのですか?

あんな得体の知れない生物なのかどうなのかわからないモノは初めて見ました。」

「アレは人が手を出しちゃいけない分野よ。

神自身にも許されていない技を模造した人が人を作ろうとするとできるモノと言ったらいいのかしらね。

もちろんそれを作ろうとすれば法律で一発人生アウトよ。

それに・・・アレを作るって言う事は少なくともヒト1人以上の命は失われるの。

まぁこんなキチガ○な事をするヤツらって言ったら殺人を平気でしてる魔女狩り同盟の連中でしょうね。」

「いや、今はそんな事よりもコイツをどうやれば倒せるのか教えて欲しいのだが。

攻撃を仕掛けているのだが器用に避けられてしまう・・・・グッ・・・・

・・・・――――――――」

魔王の目がギラリと光り、すごく嫌な予感がしたハルトは魔王にこの場には生身の人間がいることを語りつつ。

朝食の際に話した内容を思い出させると・・・・・



「にゃッ!?そ・・・そんなこと今さら言うんじゃにゃい!!!

じゃ、じゃぁ!!どうすればいいのだ!!!

この状況だと暴君だとかサキュバスだとか言ってる場合じゃないだろ!!」

「魔王の言いたいこともわかりますが・・・・それをすることによって私たちは完全に炭になっちゃいますよ?

それよりもメルト・・・何かアレの弱点とか知らないのですか?

魔法が効くとかハルトに秘密をチラつかせれば言う事を聞かせられるとか。」

「おまッ!?俺の何を知っているって言うんだ!?

吐け!!!今すぐ吐きやがれ!!!そんな人を陥れようと語る口はこれか!!!」

「ん~ハルトを好き勝手に操れても何のメリットもないから興味ないとして。

そうね・・・弱点弱点・・・・確かホムンクルスは水と材料として使われたモノの記憶に依存して弱点が決まるって母さんから聞いたことがあるけど。

こんな草原に水もなけりゃソイツの嫌な思いでなんて知るわけもないし・・・・マジでヤバイわね・・・・

ここは私だけでも逃げ――――――――――」

メルトが回れ右をした瞬間、ハルトとキルりんはメルトの肩を掴んで止めると。

ハルトは魔王にちょっとした思い付きができないか案を投げかけた。



「おい、魔王!!!魔王はキュバスの中の王なんだったらを見せることとかできないか??」

「だ、誰がサキュバスの女王だ!!誰がッ!?

それと悪夢を見せることなど魔王の私ならば朝食前だ!!!べ、別にサキュバスだからできるとかではないからなッ!!!

―――――――――――ナイトメアドリーム!!!!」

「ぐぐぎゃッ!?!?」

魔王の手から放たれる漆黒の光に包まれたホムンクルスは動きが次第に鈍くなり。

段々と動かないようになると。

寝ているのかどこからかいびきのような音と共に背中から鼻風船のような者が出ていた。



「コレでいいか?で、さっきの話の続きだが・・・・私は何度も言うようにサキュバ――――――――――」

「で、寝たわけだがコイツの悪夢は弱点なのかってところだが・・・・

こそ作戦で行けると思うか?」

「私に聞かれても困るわよ。

だって私も話に聞いただけでどんなものかも見たのも初めてなのよ?

それに・・・こんなキモい生物なら私は二度と関わりたくないわ。」

「ですね・・・この見た目で動きと言いニオイと言い・・・どれも人のようで人ではない。

まさに魔術が生み出したといった所ですね。」

メルトたちがホムンクルスから距離を取って話し合っている最中・・・

ホムンクルスのに気が付いた魔王が剣を構えてハルトたちを呼び付けると・・・ホムンクルスは急に魔王へと飛び出して行き―――――――――



「おぉ~~~あなたがこの魔法を!?

本当に感謝します・・・・この体は私のモノであって私のモノではないのです。

そう・・・体が寝ている時だけ自分で動かすことができるのです。

それにしても本当に久々です・・・・で、1つお願いしたいことがあるのですがいいですか?」

「まさか・・・顔もないのに話ができるとは・・・・想定外だったが。

話ができると言う事は解決する方法があるって言う事だ。

何を願いするのか知らねぇが・・・魔王たちにできる事なら何でも言ってくれ。」

「お、おい!私たちを生贄にするとはハルトはどういう神経をしているんだ!!!

私たちは仲間だろ!!!それに私を汚す前にを先にだしたらどうなんだ!!!」

「ちょっと!!!魔王になに簡単に仲間とか言ってからうらぎっちゃってんのよ!!こうなったらキルりんに・・・・あれ?キルりん???

キルりんめぇ~~~わねぇ!!!!!」

ハルトたちのドタバタ騒ぎに置いて行かれたホムンクルスはコホンと咳をすると。

話題を元に戻して自身の願いについて語り始めた。



「私はもう長い間この生き地獄をと願っていました。

今こそ・・・その願いを叶えてもらいたい。

そのために私はから逃げ出してきたのです。」

「マジかよ・・・・こういうのはヤった数なら世界一ィ!!!の魔王に任せよう。

きっと気持ちよく昇天させてくれるだろうぜ・・・アイダダダダ!!!!耳を引っ張んじゃねぇ!!!」

「そりゃ引っ張りたくもなるぞ!!!

私をただの暴力と殺戮に破壊の権化のような言い方をして!!!

私はそんな下劣で非道な行為をハルトたちの前でしたことがあったか??」

「結構あるわよ?自分の城を粉々にしたり結構な数のヤンチャをね。

で、そこのホムンクルス・・・・本当に消えちゃっていいのかしら?

魔女狩り同盟に復習したいとか恨みとかないワケ?」

メルトはホムンクルスに対して何か煽るように語ると。

ホムンクルス自身はちょっと考えてから答えを出した。



「全くないとは言いませんが・・・これも私が選んでこうなったので仕方ない事です。

ですから・・・・私に後悔や復讐をしたいと言う思いはコレっぽっちもありません・・・・ですから・・・・どうか私を人間である意識のある今のうちに消してもらいたい。」

「そう・・・だったら私がアンタをぶっ殺してあげる。

同じ魔術に魔導の道で生まれた哀れなホムンクルスに引導を渡してあげちゃうわ!

この者に永遠の安らぎと永遠の浄化を!!!

―――――――――――――ライトニングホーリーブレス!!!!」

「はぁ!?それって攻撃魔法じゃねぇか!!!うわぁぁあぁぁぁ!!!!」

ハルトと魔王はもっと神聖な魔法で清く消滅させるかと思っていたが。

メルトにはそう言った優しさは持ち合わせていないのか・・・・全力の魔法をホムンクルスに叩きつけると。

ホムンクルスの体は見事に跡形もなく消滅し・・・・魔法の落ちたその1点に何か光り輝く物が落ちていた。



「これって・・・・さっきのホムンクルスの中にいた人のペンダントか?」

「どれ、見せてみろ。

コレは・・・・いい男だったのだろうな・・・妻に子供までいたのに・・・・

どこまで下劣なんだ!!!魔女狩り同盟のゲス共め!!!」

「怒るのは勝手だけどそのペンダントを握り潰さないでよ?

さっきのホムンクルスの唯一の遺品なんだから。」

最後のセリフを吐いたメルトの横顔はどこか真面目な顔をしていたが。

その真面目そうな雰囲気をぶち壊すかのように魔王からペンダントを受け取ってから報酬をもらいに行こうと言って街へと駆け出していた。

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