209日目 緊急な村の依頼


 せっちゃんの持って来た依頼の内容と言うと、秋の季節には冬を乗り越えるために栄養を蓄えようと山からクマの害獣が村や田畑を荒らしにくるらしく。

普通のはそのクマの害獣に剣を振るうことはせず。

報酬もそこまでよくないが・・・人の為になるのであればとせっちゃんが引き受けその手伝いをハルトたちにして欲しいと語ったのだが。

ハルトはその依頼をきっぱりと真正面から拒否をした。


「どうして!?私・・・何か違った事とか変なことを言った??

それともハルトはクマが怖いとか?」

「いいか?報酬が少ないのもアレだが・・・普通の人だと手が出せないようなクマの害獣を俺やキルりんにダメルトがいたらそれこそ迷惑だろ?

それにだ・・・せっちゃんは何でもかんでも引き受けすぎなんだよ!!!

何だ?困ってる人がいたら100人いたら100人全員助けてやるのか!?」

「ちょ、ちょっとハルト・・・・落ち着きなさいよ!!!

あと・・・私の事をダメルトとか使えないような呼び方は止めてよね!!

これでも私は古代の魔術を操る魔導士なのよ!!!そこら辺にいるペテン師と一緒にもしないでよ!!」

「メルトもメルトで朝から本当に元気ですね。

で、せっちゃんの言っているクマの害獣と言うのは・・・・ブレイクベアードですか?

もしもそのクマなのなら・・・本当にですよ?」

「そうなのか?それほどにまで強いのなら私は大歓迎だ!!

最近ハルトも私の筋トレに付き合ってくれないし稽古もさせてくれないからいい運動になる。」

魔王は腕を振り回しながらせっちゃんにキルりんが言っていたクマで合っているのかと問うと。

せっちゃんは目を合わずにコクリと頷き・・・それを見たメルトとハルトはそっとテーブルから立ち上がり・・・


「あぁ~~急用を思い出したから俺はこれで!!!!」

「私もこれからやる事があるんだったわ!!!

そうよ!そうそう!!お酒にエサを上げないと!!!」

「ま、待って!!!本当に村の人たちを助けると思って力を貸して欲しい。

私のワガママだけど・・・ハルトたちの腕を見込んで頼んでいるんだ。

何せ他のモノたちとは戦ってきたモノの大きさが違うのもあるが。

今まで私の気持ちに対して裏切ったことがないのが大きな理由だ。

だから・・・・力を貸して欲しい。」

「どうする?ここまで言われてもハルトとメルトは急用を優先するのか?

それとも・・・ここで作戦を練るか・・・好きな方を選ぶといい。

私はどうなるにせよ付き合うだけだからな。」

「私もハルトたちがやるって言うのであればできる限り知識と技術を貸しますよ?

前線に出て戦うのはゴメンですが・・・・」

せっちゃんの言葉と魔王たちの説得の様な語りを聞いた2人は・・・互いにヒソヒソと話し合い―――――――


「あぁ~っとそう言えば急用は明日だった気がするなぁ~

だから今回はせっちゃんの依頼に付き合おうと思うんだがどうだ?」

「あらあら偶然ねぇ~私もお酒にご飯はっていうのを忘れていたわ~オホホホ~~~」

「2人とも・・・恩に着る。

それでは朝食を食べたらすぐに出発しよう!」

「お待たせしましたぁ~~~~ご注文の――――――――」

ウェイトレスが料理を運んでくると、メルトとハルトはコレが最後の晩餐になるのではないかと想像しながらモシャモシャと食べ。

食事が済むとすぐにせっちゃんに連れられ・・・・依頼の村へと向かった。


「ここがその害獣のクマが出るというクーセ村だ。

で、この先に見える田畑で待ち伏せ作戦をしようと思うのだけどどうかな?」

「俺たちはせっちゃんのサポートで来たから作戦はせっちゃんに任せるが。

あんまり人が出歩いていないが本当に村人はいるのか?

みんな昨晩のうちに食われてたりしてないだろうな。」

「おい、ハルト・・・縁起でもない事を言うんじゃない。

そう言う冗談は当事者たちが一番笑えないし冗談に聞こえないモノだからな。

だが・・・本当に静かだ。」

「この前のゴーストタウンのようね。

あそこまで暗くはないけど静けさは似てるわね。

こう・・・何かがいるけど感じ取れないって言うのかしら?」

「きっと害獣のクマに襲われないようにと物音を立てない生活を心がけているのでしょう。

あのクマの害獣は耳が良くて鼻も聞くのでここの村人は賢明な方たちなのでしょう。」

到着した村はハルトたちのいる街には遠く及ばず、前回のゴーストタウンのように静まり返っており。

せっちゃんはなんだか険しい顔をして村から離れ、田畑近くの茂みに隠れ・・・ハルトたちもせっちゃんを追う形で茂みの中に隠れた。



「すごい茂みね・・・これだけ茂ってたらどこからクマが来ても私たちはばれないわね。

で、クマっていつ来るのかしら?」

「えっと・・・それが・・・今回の害獣のクマはお腹が空いたら田畑を荒らしに来るとかで決まった時間がわからないとか言ってたから来るまで待つしかないの。」

「マジか・・・・だから日中でもクマとブッキングしないように家の中でコソコソしてたのか。

だが・・・早くしてくれねぇと俺たちの体力も持たねぇんだが・・・・2人はこの状況を何とかできないか?」

「そうですねぇ~お腹が減る以外にこちらへ来させるとなれば・・・・

こちらへ誘導するための要因が必要ですね。」

「誘導するための要因・・・・つまり縄張りを荒らす敵とかだろうか?

ここはクマの縄張りと考えるのなら畑を荒らす風にしていればクマがやって来るとかしないだろうか?」

魔王の案にやってみる価値はありそうと言う事で、をしても大丈夫な敵役をするモノを選出する話に切り替わった途端。

ハルトは少しお手洗いに行こうとすると、魔王とキルりんに肩を掴まれてその場に固定され・・・・・・


「ちょっと待ってくださいハルト・・・・まだ話の途中ですよ?

それにトイレならその辺の木の陰にでもしてくればいいじゃないですか。

私たちとの依頼ではトイレじゃなくてその辺の茂みでしてるのを私は知っているのですよ?」

「お前ら放しやがれ!!!俺は嫌だぞ!!!

普通のクマでも危ないって言うのに害獣のクマの囮とか絶対に生傷もんだろうが!!!

それにだ・・・・そう言う事なら力が自慢なせっちゃんか魔王にやらせたらいいんじゃないか?俺が毎回毎回体を張るのはおかしいと思わないか?」

「全然おかしいと思わないが?どうかしたのか?

ハルトはこういう時こそ「俺に任せろ」と言って私たちを危険なことから守ってくれるいいヤツだと言う事は知っている。

だからハルトはこうなったらきっちりと囮役をやってくれるに違いない。」

「うむ!!私も同感だ。

ハルトはすごいいい人だからな。

人に親切で思いやりのある・・・・あぁ!?どこへ行く!?」

「大丈夫よ・・・あのバカハルトは出すモノだしたらちゃんと囮役になってくれるわよ。

ハルトの役割って言ったらそのくらいしか輝くと来ないんだから・・・・アイダッ!?どうして石を投げつけるのよバカ!!!

トイレしてる間にハルトのを消し飛ばすわよ!!!」

妙に怖いことを言うメルトを無視してハルトはトイレを済ませて戻って来ると。

せっちゃんたちは待っている間に草などでクマのように大きく見せるための着ぐるみのようなものを作っており。

ハルトは魔王やせっちゃんの期待の目から逃れることができず・・・・その着ぐるみを着こんで田畑へと歩いて行き。

鳴き声のモノマネをしていると、どこからか地響きなようなものが聞こえ。

気が付くとハルトの目には黒い毛に包まれ大きな体のクマがハルトを睨みつけていた。

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