210日目 害獣クマとの戦い
黒い毛を持つ巨体はグルルと唸り声を上げながら少しずつノシノシと歩いて向かって来ており。
ハルトはその迫力に目の前が真っ白になり・・・ただ立っている事しかできない状況で。
それを見ていたキルりんたちはハルトが襲われてから行動を開始しようという事から。
ジッとハルトが早く襲われないかと眺めていると――――――――――
「もうがまんできねぇ!!!おいお前ら!!!早く俺を助けに来いよ!!!
こんなヤバイ奴とは俺は聞いてねぇぞ!?はッ!?」
「グルルルルルルッ!!!!!」
「ハルトに飛び掛かったぞ!!!私よりも先にハルトに手を出すとは許せん!!
これは間違いなくあのクマはギルティだ!!!」
「どうでもいい情報は流しておいてですね・・・ハルトが襲われたのですぐに助けに行きましょう。
臓器とか色々食べられてなかったら良いのですが・・・・」
「うわぁ・・・・ハルトさんマジでクマの食料になっちゃってるわよ??
これはグロいわぁ・・・・確実にダメなやつでしょ?」
「そ、そんな事よりもハルトが私たちの為にスキを作ってくれたんだから早く倒さないとハルトの体が無駄になってしまう!!!
待っていてくれ・・・・ハルト・・・・すぐに助ける・・・・」
ハルトがクマにガブガブと噛みつかれている中、メルトやキルりんたちはクマに気付かれないように後方に回り込んで駆け出しており。
その際もクマはハルトをガブガブと噛み千切っていた・・・・
「がふッ・・・・マジでヤバイ・・・・意識がぼんやりしてきたぞ?
何で毎回こんなハメになるんだよ・・・・どうせ次に目が覚めたらくっしゃくしゃになった魔王の顔とか見るんだろ・・・・どうせいつも通りだ・・・・
いつも通り何だろうが・・・・遅いッ!!!一体いつまで俺にコイツのエサ役を演じてればいいんだよ!?」
「あら、思ったよりも元気そうじゃない?
だったらもう少しゆっくりしても余裕だったかしらね??
―――――――――――そ~れ、ファイヤーウォール!!!」
「よし、コレでこのクマの逃げ道が無くなった。
あとは私たち戦闘部隊があのクマを倒してハルトを・・・・ハルトだったものを回収すれば解決だ。」
「・・・・・・見た所そこそこに食べられているけど・・・・ハルトの回復力にかけて私は目の前の害獣であるクマを討とう!!
―――――――――――――デイヤァァァァアァァッ!!!!」
「まさか本当にハルトがエサになっているとは・・・・
不死者の肉って美味しいのでしょうか?
いえ、そんなことはどうでもいいですね・・・・私は今のうちにハルトだったものの回収に向かいますのでそのクマを頼みましたよ!!!」
そう言ってキルりんは魔王とせっちゃんにクマを任せてズタズタになったハルトに肩を貸して移動を開始すると。
獲物を取られて怒ったクマがキルりんに向かってもう突進して来ていた。
「ぎょえッ!?あんなのこの状況じゃかわせませんよ!?
だ、ダレカァ~~~おタスケぇ~~~ハルトを捨てれば逃げれますが・・・・それをすれば何だか私の良心が無くなりそうでできないのですがどうすれば!?」
「コハァァ・・・・・鬼の私を無視するとはいい度胸だ・・・クマッ!!!!
がるるるる・・・・キルりん!!!今のうちにハルトを連れて行くがいい!!!」
「おぉ・・・鬼化のせっちゃん!!!
あそこまでなると言う事は本当にあのクマが強いと言う事・・・・
噂だけかと思っていたのだが・・・コレは俄然面白くなってきた。
よし、私も出るからメルトはハルトたちの受け入れを頼んだぞ!!」
「えぇ!?ちょっと!こっちに来たらどうすんのよ!?
もう!!!こっちに来たらきたでちゃんと守りなさいよねッ!!!」
メルトのビビリながらの問いに魔王はグッと親指を立ててから大剣を構えてクマに突き立てるが――――――――
「グガァァァアァァ!!!!」
「ふむ・・・・まさか片手で私の一撃を受け止めるとはな!!!
流石に強いと言うクマなだけはあるな!!!
せっちゃん、こうなれば同時に攻撃を仕掛けて致命傷を入れて一気に仕留めよう!!!」
「ゴハァァァ・・・・あぁ、承知したッ!!!!」
そう言って2人はクマから離れて円を描くように回りながらタイミングを見測り。
魔王の攻撃のタイミングでせっちゃんも飛び出し・・・・同時に攻撃を叩き込むと。
クマは魔王の攻撃を脅威と感じて防ぎ、せっちゃんの攻撃を体で浴びたが剛毛のせいか致命傷とまではいかずにダメージを入れるだけであった。
「すまない・・・・ヤツの毛が思っていたよりも硬くて手を抜いてしまった。」
「いや、構わない。
血が出ると言う事は倒せると言う事だからな。
それにクマには予想以上に効いている様だ。」
「ハルト・・・もうすぐですからもうちょっとだけ力を入れて歩いてくれませんか!?
まぁこれだけ体をエグられていれば激痛と体力の消耗で普通は即死・・・・
さすがは不死者のハルトといった所ですか。」
「ほら早くこっちに来なさいよ!!!
うわ・・・・マジでグロ・・・・ハルトは目がヤバイし・・・・大丈夫なのコレ?」
メルトは痛みで気が気じゃないハルトに対して心配しながら暴言を吐くが。
ハルトは反応することなく倒れているだけで。
キルりんは後の事があるからと暴言もそこまでにしておくように言ってからハルトの体の応急処置をし始めた。
「うッ・・・これは・・・・臓器が幾つかやられています。
メルトは見ない方がいいですよ?食欲がなくなると思います。
あとの事は私がやりますのでメルトは魔王たちの状況を私に報告を頼みます。
さぁ~ハルト・・・少しチクっとしますが我慢してくださいねって・・・意識があいまいでそれどころじゃないですよね――――――」
「見るなって言われると見ちゃうのが人のアレよね・・・うぇッ・・・・おえぇ・・・
なんちゅーもん見せんのよ!!!本当に食よくなくなっちゃうところじゃないの!
あ~もうコレは一生脳裏に焼き付いて離れないわよ!!!
今日は一杯・・・いえ5杯はひっかけないと忘れられないかもしれないわ!!
うん、今日は絶対に飲もう!!」
キルりんの言葉よりも今日は飲むか飲まないかと言う事を呟き始めたメルトに再度魔王たちの状況について話すように語ると。
メルトはしぶしぶブーブー言いながら状況説明をし始め。
戦況的には魔王たち暴力者チームが優勢で血を流したクマは少し動きに鈍さが出て来たと語ると。
魔王たちに再度動きがみられた。
「さぁ、コレで一気にトドメをさそう!!!
もう一度同時に攻撃だ!!!」
「あぁ、承知した!!!!
―――――――――――ハァァァアァァァッ!!!!!」
「グガァァァアァァッ!!!!」
魔王とせっちゃんが同時に攻撃を仕掛けた瞬間・・・・茂みの中から何かが飛び出してくるや、その何かはクマの前に出てきており。
魔王たちはその正体がわからないまま攻撃できないと剣が当たる手前で止め。
その正体を確かめるように剣をどけて確認すると・・・・・・・
「コレは・・・・このクマの・・・・子供?」
「どうやらそうらしい・・・・だが、この状況はどうしたモノだろう。」
「ん?なんかちっこい毛の塊のようなのが出てきて戦闘が止まったわ。
タヌキ?キツネ?ネコ?何でもいいけどさっさとやっちゃって帰りましょうよ。
ハルトも内臓がグチャグチャだし・・・・早く帰ることに越したことはないわよ?」
メルトの言葉に2人は戸惑いながらどうするかと悩んでいると。
子熊はスキを見せた魔王の足に噛みついていた―――――――――――
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