196日目 メルトの招いた事態


 あれからキルりんに近づいて昨晩あった事をコソコソと話すと。

キルりんは夢の中で誰かを追い回す夢を見ていたせいでハルトを追いかけていたのかもしれないと答えると。

続けて寝違えたからと言って今日はここから出られないと語ると。

ハルトたちはキルりんを置いて依頼を受けることになり・・・・まずは朝飯だと言って酒場へと向かいその足でギルドに立ち寄った。


「ん~3人で依頼ねぇ~~~これ何てどうかしら?

パワフルコングの縄張りを壊すだけの作業だって。」

「壊すことにかけちゃお前らは特別使えるからなぁ・・・・

それでもいいんだが魔王は何かいい依頼合ったか?」

「いや、その前にハルト・・・私はそこまでモノを壊したりしちゃいないぞ!!!

私はこれでも乙女だ・・・そこまで何かを壊したりして快楽を得る破壊魔人のような呼び方は止めてもらいたいのだ!!!フッ・・・決まった・・・」

魔王が自信満々に答える中、ハルトは腕を組んで言い切った風な顔をする魔王にトゲのある言葉で言い返した。


「そうか?本当にそんな覚えはないと?

なら聞くが・・・魔王は自分の城を自分の力で吹き飛ばしただろ・・・・」

「あ”・・・・・・いや、アレは・・・その・・・・そ、その話を持ち出すのは反則だ!!!

今は今の話をしているんだ!!!そのような太古の話を持ち出されても困ると言うモノ。

だから私は壊したことなんてないんだ!!!」

「こうなった魔王は意地でも聞かないわよ?

適当に言葉で丸め込んで依頼を受けて家に戻りましょ。

きっとキルりんが1人で寂しくしているに違いないわ!!」

メルトの目の先にはキルりんではなく酒樽の心配をしているのだろうとハルトは安易に想像でき。

とにもかくにもメルトの言った通り魔王を何とかしなければ依頼にも行けないと言う事で。

今回の依頼から誰が一番多く住処を壊せたかによって決めると言うと。

魔王はその言葉に嘘はないかと2度3度と聞き直し。

その言葉が確かだと信じると魔王はその依頼を受けてさっさと行こうとハルトとメルトの腕を引っ張って以来の場所である森に移動すると。


魔王はまだかまだかとせわしなく子供のようにハルトに聞き尋ねていると。

破壊対象のパワフルコングの住処があらわれ、魔王たちに準備をさせて開始の合図を上げると。

魔王は始めから力を出して飛び出し。

メルトも負けないと言って魔王諸共吹き飛ばす勢いで魔法を放っており、その飛び火した魔法をハルトが浴びて燃えてたり凍ったりと散々な目にあいながらもなんとかパワフルコングの住処の削除に成功し。

住処を失ったパワフルコングたちは森の奥地へと消えて行ってしまっていた。


「コレで奴らも森の奥で人に迷惑をかけずに生活ができて互いにウィンウィンだろう。

だが、あいつらも散々だよな・・・ただ住処を広くしていただけで人間に追い払われるんだからな。」

「だが、そうやって害獣や魔獣に人間の生息域が均等に分かれているのもまた事実。

これも自然の理というものだろう。

ところで・・・・この勝者は誰なのだ?」

「もっちろん森のほとんどを吹き飛ばした私の勝利じゃないかしらね!!!

どうよ!!!この吹き飛ばし具合!!!私クラスの魔導士でもないとこうはいかないわよ?」

魔王は大剣で木々を薙ぎ倒して住処を壊していたのに対してメルトは魔法で大雑把に粉砕していたこともあってどちらが勝っているとかもはや判断がつかない事から今回の勝者は無しと言う事にして話を流すと。

魔王は先ほどの話の件はどうなるのかとハルトに尋ねると・・・・・


「そうだな・・・勝者がいないんだ。

勿論その話は利用させてもらう。」

「ぐうぅ~~~ハルトはそうやって人の弱みに付け込んで私をどうするつもりなのだ!?金か!?やはりハルトも私の金品を目的として・・・・・」

「そんな事よりももっそすんごい要求されちゃったりねぇ~~~

でも、ハルトのような腰抜けにはそんな大それたこともできやしないから気にすることないわよ。

それじゃ依頼達成と言う事で帰りましょ!

酒樽と伸びたキルりんが待っているわ!」

メルトは地味にハルトの事を悪く言いながら魔王と共に街へ戻ると。

―――――――――事件が起きた。


「な、なんですって!?わ・・・私が破壊した森の弁償って・・・・あんまりよ!!!私はしっかりと住処を壊そうとしてやっただけなのにぃ!!!!

それに弁償金200万ゴールドとかどうやって払えばいいのよ!!!チラッ・・・」

「魔王、目を天井へ向けておけ・・・・嵐がやって来るぞ。」

「嵐?外は快晴でそんな風には思えないのだが・・・・わぎゃッ!?

め、メルト?ど・・・どうしたんだ?」

ハルトでは話が付かない事を感じ取ったメルトは魔王に起こったことについて説明をすると。

魔王はその程度と言って甘やかすようにお金を貸そうとした時――――――――


「ちょっと待ってくれ魔王!!!その大金をメルトに渡したらダメだ。

そんな大金をポンポンかしたらまたポカしたときメルトに銀行代わりに使われるのが落ちだろ?

こういう責任の取り方をメルトは覚えた方がいい・・・・それに。

メルトには返済する方法があるからなぁ?」

「な、私に・・・何をさせようって言うのよ!?

か、体は駄目よ!!!体のお仕事なんて私ぜったいにお断りだからね!!!」

「で、ハルト・・・その返済させる方法ってどういう内容なんだ?」

魔王は不思議そうに体のあちこちをガードするメルトを見ながらハルトに問うと。

ハルトはあの酒樽を売れば金になるという簡単な発想を口に出すと。

メルトはやはりと言うべきか怒って泣きわめいていた。


「そんなの絶対にできるわけないじゃないの!!!

それならまだ体を売ってお金を稼ぐわ!!!」

「お前、それ・・・マジで言ってんのか?

それはそうとお前の起こした騒動のせいで俺たちに依頼の報酬金が支払われないことに対しては何とも思えないのか?」

「そうだな・・・まずは弁償が先だと言って報酬は先に渡せないとか言っていたな。

で、メルトはどうするんだ?その体を売るのか?それとも酒を売るのか?」

魔王の問いにメルトは何かを言おうとする前にハルトはメルトにとある提案を持ち掛けた。


「お前は大きな勘違いをしている。

俺は酒を売れと言ったがとは言ってないだろ?

だからつまりだ・・・瓶いっぱいに酒を取っておいて残った酒を売るって言う事だ。

そうすりゃお前の弁償代も払えて酒も手元に残っていいこと尽くめじゃねぇか?」

「ハルトに言われると何だか風に聞こえるけど・・・そうね。

全部売るって言う事じゃなかったら私も考えてあげなくもない・・・・けど。

その酒樽をどこで売る気なのよ?」

メルトの問いに魔王はハルトが答えを言う前にあの道具屋に売りつけると言い出すと。

まさにその通りで・・・あの店にそんな大金があるようには思えなかったのだが。

メルトは背に腹は代えられないとハルトたちを連れて家に戻り。

すぐに準備をして道具屋に持って行くと――――――



「で、コレがさっきの長い説明の酒樽なんだが・・・・どうだ?」

「ふむ・・・コレはすごい・・・まさしく神の酒だ。

よし、これはワシが引き取ろう・・・額はどれくらい欲しいのじゃ?」

「そうね・・・私のモノだから私が決めてもいいのよね?

だったら・・・・今後の事を考えて1000万ゴールドでどうかしら!!!」

「め、メルト!!!いきなりそんな額の要求があるか!!!

モノにはそれ相応の根と言うモノがあるんだ。

このお酒ならば大体250万といった所だろう。」

アイテムの目利きができるのか魔王が出した金額に道具屋の店主は少し悩み。

メルトが良ければその額で取引しようと言い出すと。

メルトは何か腑に落ちないとモヤモヤしながら了承して250万ゴールドの入った袋を受け取り、すぐにギルドで返済を済ませから報酬を受け取り・・・・ハルトたちは再び家に戻って行った――――――――――

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