181日目 封印されし像

それから魔王と巨大な体のアンデッドは話し合いに弾みがついたのか・・・

いつの間にか像の話ではなく・・・互いの武器の自慢となっており。

それを見かねたハルトは話の流れを修正するために2人の会話の間に割って入って行った。


「で、この巨大な剣は数々のモノを屠って来たのだ!!!

魔獣に害獣・・・魑魅魍魎・・・本当に様々のモノをだ。」

「ほう・・・それはすごい・・・ワシのこの剣もな?

ん?で・・・・そこのボウズは誰だ?」

「お、俺は・・・ハルトだ!!

このバカでかい剣を振り回す力の化身のような魔王の仲間だ。

話しがまとまりそうにないと思って出て来たんだ。

つまりな・・・その片手に握られてる半分の像を譲ってくれないか?

それがないと色々と大変でさ?な?」

「あんなにも堂々と出て行って大丈夫かしら?

私の見守り作戦を抜け出すなんて・・・本当にハルトはバカよね。

でも・・・コレで話は元に戻ったから必要な犠牲よね!!」

「メルトは本当にたくましいのかゲスいのかわかりませんね・・・・

でも、ハルトがいなければ武器の自慢大会になって日が過ぎるのは必須でしたから目をつぶりましょう。」

メルトとキルりんは自身たちに危害が加わらないように遠くの方から2人を見ており。

ハルトの問いにアンデッドが反応し・・・片手に握られた像を見ると。

この像はただでは譲れないと言い出し。

どうしたらその像をくれるのかと問うと――――――――


「そうだな・・・このワシと勝負して勝ったら譲ってやろう。

どうだ?面白いだろう?」

「俺なんかがお前みたいなパワーガン振りしたボスに勝てるわけないだろうが!!!

おい、魔王・・・メンバーチェンジだ。

戦闘なら知の俺よりもガチガチにステータス振りした特化な魔王で押し切るのがセオリーだ!!!

だから頑張って来てくれ。」

「ぐッ・・・あの2人はあそこから出てくるつもりもないらしいし・・・

非力なハルトの頼みだ仕方ない・・・それに・・・このアンデッドとは手合わせがしたかったのもまた事実・・・

イイだろう!!今回はハルトの願いを聞き受けよう!!!」

「完全にノリノリでやる気満々じゃないの・・・・

どこが仕方なくの流れなワケ?本当に戦闘のできるサキュバスは困ったモノね。」

「ですね・・・ですが・・・これで買ったも同然です!!!

さぁ魔王!!あのアンデッドをけちょんけちょんのボッコボコにして像をゲットしてください!!」

遠くから地味に魔王の応援が始まり・・・ハルトはそれを見ないフリをし、片手が使えないと不便だろうとアンデッドに像を預かってると問うと。

不用心にもアンデッドはハルトに像を渡すと・・・すぐさま魔王との激しい戦いが始まった。


「フンッ!!やるではないか娘!!!」

「そっちの方こそ!!!ハァッ!!!」

「あれあれ?ハルトが持ってるのってもしかして・・・・」

「あぁ・・・あのアンデッドが俺に預けた像の半分だ。

どうしよう・・・本当に預からせてくれるとは思ってなかったからさ・・・」

「何を躊躇しているのですか?ここは一刻も早く完成させて全てをリセットするべき所でしょう!!

ですからさっそく合体させてみませんか?どうしてハルトたちはそんな変なモノを見つめるような目でこちらを見ているのですか?

私はきっとまともなことを言っているつもりですが・・・・」

キルりんの言葉に正々堂々という正義のかけらも感じなかったためにハルトが像の合体を却下すると。

勝負がそろそろ着く頃だと魔王の方を見ると・・・・


「これで決めてやる!!!ハァアァァッ!!!」

「ッ!?!?!?

がはッ・・・・実に見事な剣術・・・・これでワシも思い残すことなく天へ還れる・・・」

「いや、剣術とかいうよりも魔王のアレは力業なんだとおもうが・・・

えぇっと・・・この像できっとこの村を救って見せるから・・・あんたも安らかに眠ってくれ。」

「ナイスよ魔王!!これで私たちは村から脱出できるってものよね!!!

さぁ早く像を合体させて全てを浄化よ!!!」

「ですが・・・妙に引っかかりますね・・・

本当にこの像をくっつけるだけで浄化されるのであれば・・・どうして半分になっていたのでしょう?」

キルりんの言葉にハルトは言われてみればと考え直し・・・像を確認しようとした時には手元にはなく。

メルトはコソコソと離れた場所で像を復元させていた―――――――――――


「さぁフィニッシュよ!!!

像の傷はここでピッタリね・・・さぁ浄化よ浄化!!!

全ての腐れアンデッドはみんな消えてしまいなさいな!!!!あひゃひゃひゃ!!」

「あのバカ・・・まだ合体させるなってアレだけ言っておいたのに・・・・

しかも合体させても全然浄化する気配もなけりゃ何も起こらねぇじゃねぇか。

本当にアレは何だったんだ?」

「いや、実に・・・・

本当に迷い込んだが像を完成させるなんて想像もしてなかったけど・・・・これで私の野望が達成された!!!!

像に秘められし闇よ我が元に集え!!!!」

「なッ!?アレはさっき納屋にいた首つりのゴースト!!!

やっぱりアレが私たちを利用して何かを企んでいたようだ!!!

メルト!!!そこから離れるんだ!!」

「大丈夫ですよ魔王・・・あのゴーストが出て来た時点でメルトはハルトの後方にまで逃げました。

あと、ついでにと雷魔法を像にブチ当てていましたが・・・・アレは何ですかね?

黒い霧が像から溢れ出してますよ?」

像から溢れ出す黒い霧はゴーストの方に集まって大きくなり。

黒い球体状になったところで・・・球体を突き破って何かが飛び出した。


「やっとだ・・・やっとから解放されたぞ!!!

あのクソな祈祷師の術からやっと・・・やっと・・・4年もの歳月の末にやっとこの元の力を取り戻したぞ!!!!」

「えぇ・・・4年て短ッ!?普通巨大な力とか言うモノって数百年前とか数千年前のほにゃららとかって言うけど・・・4年とか地味よ地味!!!

魔王!!こんなの再封印する前にやっつけてこの村から出るわよ!!!」

「ん?妙ですね・・・今日のメルトはいつもより威勢が良すぎませんかね?

いつもならビービーギャーギャーうるさくて手が付けられない状態になるのが基本ルートなのですが・・・・」

「キルりん・・・きっとメルトはシュゴビーの件で怒っているのだと思う。

食の恨みは怖いと言うがメルトの場合・・・というところだろう。」

「納得・・・・って、そんなこと言って和んでる場合じゃねぇよ!!!

あのデカイボス級を何とかしねぇとだろ!!!

長年俺がやって来たゲームの勘だがコイツが絶対この村の主導権を握ってるぞ!!!

だからこのゴイツボスみたいなヤツを倒せば全部解決ってわけだ!!!」

ハルトの語ったことが本当だったのか・・・気合を込めて聞かせるつもりだった内容を全てハルトに語られた巨大な魔獣は最後に残っている自身の紹介だけでもしようと構えたのだが―――――――


「私の怒りと怒りと怒りを込めた必殺魔法をくらぇぇぇぇい!!!

―――――――――スーパーメルトバーン!!!」

「我の名は・・・・ピュルギッ!?

―――――――――――――ぎゅぱぁぁあぁぁあぁぁぁ!?!?」

「メルト~さっきの魔法は凄まじかったがやりすぎだぞ~

ヤツが何か大切なことを言おうとしていたようだが・・・・もう終わりか?」

「まさか・・・それはないだろ?

この見てくれから想像するに・・・魔王獣の卵の卵レベルだが。

この程度なら本当にここでひっそりと暮らす方が身のためだと思うが・・・どうなのだ?デカイの。」

その魔獣はいままでにこんなにも短時間のチャージで威力の出る魔法を喰らったことがなく。

少しびっくりしただけだと言って立ち上がると。

魔獣はメルトに自分の紹介が終わるまで魔法を放たないように言い聞かせると。

自信満々に魔獣は語り始めていた――――――――――――

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