166日目 モンスターブーン退治・・・

魔王に言われ、ハルトは魔王から2人に視線を向けて肘をつき・・・

自分はどちらかと言えば壊れたモノ同様に被害者であると主張すると。

メルトとキルりんはハルトの意見を呑み、認めると。

魔王はそれはおかしいと涙目ながら異議を申し立てた。


「だ、だってハルトが私にちょっかいをかけるからいつも力加減ができずにだな・・・・普通に人間と違って思いっきりやってしまうわけで・・・

でも、その原因を作っているのはハルトだ!!」

「ふ~ん・・・なら、そのハルトとのやり取りがなくなれば今後こういった事は起きないって言いたいの?」

メルトの鋭い言葉に魔王は机をドンと叩き、そうじゃないと言い出し。

少しの間の沈黙が訪れ・・・・

その沈黙を壊すかのようにキルりんは今日の依頼をどうするかとハルトに問いかけた。


「そうだなぁ、今日は暑いし・・・森辺りの害獣駆除か採取依頼がいいなぁ。

魔王たちはどう思う?魔王?」

「そ、そうだな・・・・私は・・・うむ、ハルトたちに任せよう。」

「私は少しでも稼げた方がいいと思うから害獣駆除がいいわ。

そうね・・・この時期だとムシの害獣が多いけど何とかなるでしょ。」

「まぁ・・・食事も済んだことですし行動しましょうか。」

と、キルりんに仕切られながら少し空気が悪くしつつハルトたちはギルドで害獣駆除の依頼を受けて森にへと足を運んだのだが――――――――――


「もし、ハルト・・・魔王の様子が変なのですが・・・気付いてますよね?」

「あぁ・・・メルトの言った言葉が思いのほかきつかったどんよりしているな。

だが、こういう場合はどうすりゃいいんだ?」

「みんな!!出たわよ!!!害獣よ!!」

「・・・・・・・・・」

魔王は反応からして話を聞いておらず、ビッグフライが魔王に攻撃を仕掛けると・・・・


「魔王のバカ!!!メルトに下らねぇこと言われて落ち込む暇があったらな!!

この害獣を倒せよ!!!イダダダ・・・・」

「わ、私は別に何にも言ってないんだけど!?

ただ、ハルトから離れたら事故が起きないんじゃないかって言っただけよ!!!

それに・・・そんなことはするつもりはないから元気出して戦ってよ!!」

「メルトもメルトで素直じゃないですねぇ。

ですが、メルトの口からはあぁ言っていますが。

魔王はどうなんですか?魔王を庇ってハルトが虫にぶっ飛ばされましたが。」

「フッ・・・知れた事だキルりん!!!

ハルトを好き勝手にしていいのは私だけだ!!

ハルトたちはそこで休んでいるといい・・・ここは私だけでやってやろうじゃないか!!!!」

キルりんたちの声で魔王は意識を完全に取り戻し・・・力を少しだけ解放し。

ビッグフライを一方的に叩きのめして地に落とすと、地面でヘバっていたハルトに手を差し出した。


「そ、その・・・心配かけてすまなかった。

その・・・立てるか?」

「あぁ・・・何とかな・・・モロにタックル攻撃を受けちまったから帰りは魔王におぶってもらうとするかな。」

「さすが魔王!!やるじゃないの!!!

こういう時にその無駄な力が役に立つのよねぇ~

でも、家ではできだけ抑えてハルトをボコってよ?

毎回毎回直す身にもなって・・・・・・」

「と、言うわけですので狼煙を上げて街に戻りましょうか。」

と、魔王が元の魔王に戻り・・・ビッグフライを運送者に引き渡したところでハルトは魔王におぶってもらいながら街へ戻り。

まだ時間があると言う事で2つ目の依頼を受けて向かう事にしたのだが。

3人が選び出した依頼のどれを受けるかでもめていた。


「絶対にこれがいいいわ!!!この依頼は報酬もいいしここから近いわよ!!」

「ですがそれは難易度が付けられてないヤバい依頼ですよね?

それに比べてコッチの依頼はそこそこ移動しなくてはいけませんが野イチゴの収集で報酬がもらえますよ?

それに運が良ければ面白い野草が手に入るかもしれないですし。」

「いいやここは2人の依頼よりも私の依頼をおすすめしよう。

この依頼は川で魚釣りをだな・・・・」

3人の依頼にハルトはどうも乗る気になれず・・・適当につかんだ依頼を受ける事にして掲示板から一枚依頼を引き抜くと・・・・


「なになに・・・巨大吸血害虫の駆除依頼か。

報酬もいいしそれに場所もこの街から近いしこれに決定だ。」

「巨大吸血・・・もしかしてモンスターブーンのことかしら?

アレ・・・おっかないのよねぇ・・・」

「素早くて人でも動物でも血のある生物なら何でも襲い。

襲った対象の良き血を一滴残らず吸い取る害虫の中の害虫ですね。」

「だが、ハルトがこれを受けたのだ。

ならば私たちは最後まで協力するだけだろう。」

メルトたちの意見を聞くと、このモンスターブーンの依頼を取り消したいと感じ始めたが。

流石にやる気になった3人を前にやっぱりキャンセルなどと男らしくない事も言えず。

街の近くにある薄暗い洞窟にやって来た。


「あぁ・・・このジメジメした洞窟・・・如何にもヤツらが出そうなところですね。

ですが、ご安心を!!!アサシンスクールであの手の害虫を追い払う手段は習得しておりますので。

少々お待ちを・・・・・これとこれを調合してっと・・・・」

「なんだなんだ?キルりんは何を作り始めたんだ?

また性懲りもなく豊胸の薬か?」

ハルトはキルりんに何を作っているのかと問うと。

モンスターブーンや虫を追い払う効果のある薬を作っていると言いながら草やよくわからないモノをゴリゴリと磨り潰し・・・・玉にして火をつけた。


「ゲホッゲホッゲホホッ!?ナニコレ!?とんでもないニオイじゃない!?

こんなのムシ以外にヒトもやられちゃうわよ!!!

本当にキルりんはエリートなワケ?実際は胸と同じくらい低いレベルなんじゃないの?」

「な、何をッ!?少し分量を多くしてにおいがきつくなった程度で私をそこら辺の駆け出しへっぽこアサシンにちっぱいアサシンと一緒にするとは流石の温厚でエリートな私でも無視できない案件ですよ!!!

それに効果ありじゃないですか!!!だって・・・・」

「うむ・・・モンスターブーン以外にも色んな害獣に害虫に魔獣が飛び出してきているな。

中には洞窟に住んでいた動物たちまでも・・・・可哀そうに・・・」

「おい、これって大丈夫なのか?

モンスターブーンは4体倒せばいいんだぞ!?

俺の見た限りだと5体くらい出て来てきているんだが!?

ってかコッチくんなぁ!!!!!!」

キルりんの薬の効果は効果覿面だったのだが・・・・効果が効きすぎており。

モンスターブーン以外にも多種多様な生き物が洞窟から飛び出してくるや・・・

出て来たモンスターブーンはハルトを追いかけていた。


「だ、誰か援護してくれ!!!

ぬおぅ!?こんなのぶっ刺さったら全部吸われてミイラになっちまうぞ!?

早く助けろォぉォ!!!!!」

「あひゃひゃひゃ!!!本当にしょうがない使い魔ね!!!

でも、そのキショイムシを惹き付けた褒美として諸共灰にしてやるわ!!!

――――――――――――エターナルファイア!!!!

どうよ!!!このメルト様の炎は絶対なんだから!!!はひッ?」

メルトは巨大な炎を3体のモンスターブーンに直撃させて地に落とすが。

それを見た他のモンスターブーンはメルトを追いかけ始め・・・ハルトと並走していた。


「あはは・・・ハルトさんごきげんよう!!!どうしたのかしら?そんなに必死に走っちゃって~オホホホ。」

「お前・・・調子こいてしやがっただろぉぉぉぉ!!!!!!」

「このままではいずれ体力がなくなるハルトたちが危ない。

キルりんはそのとんでもないニオイのする煙をもう一度出しておいてくれ。

これから私はハルトたちの援護に向かう。」

「わ、わかりました!!!

普段から私の胸をバカにするあの2人にはいい薬かもしれないのですが。

やり過ぎても毒かもしれないので仕方ないのでコレくらいにしておいてやりますかね。」

そう言ってキルりんは材料を再びゴリゴリと削り出し。

ハルトたちが逃げているスキを突いて魔王はモンスターブーンの一体を切り落としていた。

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