159日目 ゴルドルの街にあるマケド

魔王の問いに現れた男共に囲まれたハルトたちは。

面倒な顔をしながら何が目的なのか問うと。

男共はハルトの隣にいる女を寄越せと言い出し。

ハルトは願ったり叶ったりと言ってどうぞ貰ってくれと男達に答えると。

魔王はハルトの首を掴んで涙目になっていた。


「おい、ハルト!?ここは俺の後ろに隠れていろ・・・とかカッコイイセリフを吐いて、私をこの悪漢から守ってくれる流れじゃないのか!?」

「いや、だって・・・魔王を好きにできる奴なんていないし。

手を出そうにも・・・手を出したらその手が飛ばされるかもだろ?

だからこの連中に引き取ってもらおうかなと・・・・」

「何を訳の分かんねぇことを言ってんだ!!!」

「とっととその淫乱な格好をした女をこっちに渡しやがれへなちょこ男!!」

「お前達よりも俺たちがその女を楽しませてやるからよぉ!!

朝から晩まで休みなしでな!!」

「本当にこの女は売っても遊んでもいい女だぜ・・・・ケヘヘヘ。」

この連中は魔王の事をどう見ているのかは知らないが。

人の形を見ただけで中身の判断をしてはいけないと教わらなかったのだろうか・・・・男たちが魔王にジリリと近づき。

遅いかかろうとした瞬間、魔王が動くよりも先にハルトが飛び出して男を殴りつけた。


「誰がヘナオじゃバカヤロウ共が!!!

人が魔王をやるっつってんのに好き放題に抜かしやがって・・・

お前ら・・・無傷で帰られると思うな――――――――」

「それはお前の方だクソボケ!!!!

―――――――――ここで死んどけ!!!」

連中の1人が剣をハルトに振りかざすと。

ハルトはよけようともせずに切りつけられて地に倒れると。

男たちは魔王を再び囲み始めたのだが・・・・


「おい、あの男・・・さっき動いたような・・・」

「何馬鹿なことを言ってんだ・・・さっき見ただろ?

あれだけ綺麗に切られて死なない奴がいるかよ・・・・」

「そうだな・・・本当にその通りだ。

どうしてあれだけ綺麗に切られて死ねないのかマジで聞きたい。

と、言う事でお前らはボコボコ確定じゃボケがぁぁぁ!!!!」

それからハルトは男達を相手に1人でボコボコにすると。

近くを巡回していたパトロールに引き渡し、魔王を迎えに行くと。

魔王はハルトの顔についた泥を拭い。

次はどこに連れて行ってくれるのかと尋ねてきた。


「そうだな・・・背中が切られてオープンになっちまったから服が欲しいな。

あそこに見える服やにでも行くか。」

「わかった。

にしてもハルトも随分と逞しくなったな。

初めて会った時よりも力強いと言うか。

男たち全員を相手に戦って勝てるほど強くなっていたとはな。」

魔王に褒められたハルトであったが、どうしてこれだけ強くなったのかハルトが答え始めた。


「そりゃ、お前たちと一緒に無茶苦茶な害獣とか魔物を相手に依頼を受けて日々ボロボロになって生活してりゃ人間様でもこうなるわ!!

それに害獣を相手にしてんだから人間相手に後れを取るわけないだろ。

流石に魔王を相手にしたら俺は間違いなく勝ち目はないだろうがな。」

「いや、そんなことはない。

それに・・・私はハルトと戦いたいとは思わない。

ハルトは私にとって・・・・大切な・・・いや、コレはまた別の機会にしよう。

それじゃ服屋に向かおう。」

そう言って魔王は話を濁してハルトの手を掴んで走り出し。

服屋の中に入って行った。


「いらっしゃいませ~お求めは洋服ですかな?それとも派手なコーデで??」

「いや、普通の服を探しているんだが・・・・

派手過ぎない服はないか?」

「ハルトに似合う服は・・・これ何てどうだ?」

魔王の選んだ服は奇抜な模様が描かれており。

ハルトはすぐさま拒否し、店の主が出してきた服を見て考え。

安いTシャツを買ってすぐに古い服と着替えて観光の続きを始めた。


「次に向かうところは・・・あそこだ。

キルりんが言うには有名なアイスが食べられるらしい。」

「ほう、それは楽しみだ。

魔王である私の舌を唸らせられるか期待だ。」

と、魔王は大きく語りながらハルトと共にアイスを購入して食べてみると。

それはどこかで食べた事のある味の伸びるアイスで。

魔王はそのアイスにあっさりと唸っており、割とお気に入りになっていた。


「いやぁ、さっきのアイスはとても美味だったな!!

こうやって知らない街で食べた事のない者を食べるのも意外といいかもしれないな。」

「そうだな、たまにならこう言うのも悪くない・・・・」

魔王とハルトが次の場所に向かって歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえたかと思えば。

輪投げ屋で文句を咆え散らかすメルトがおり、キルりんがその仲介役になっていたのだが。

ハルトたちは面倒事は勘弁と見て見ぬフリをして立ち去ると。

目的の足湯に到着した。


「コレはどうやって楽しむのだ?」

「魔王は足湯をご存じでない?

はぁ~これだから庶民の楽しみを知らないお嬢様は・・・

コレはだな、こうやって足を子の湯に入れて疲れをとるんだ。

ほれ、やってみ。」

ハルトは魔王に足湯を勧め・・・魔王もハルトと同じように足湯に足を付けると。

気持ちよかったのか気の抜けた声を出していた。


「あぁ~~コレは最高だな・・・・

足の疲れが取れて行くのがわかるぞ・・・・」

「だろ?まぁ・・・それにしても異世界の足湯の効能はすさまじいな。

疲労、状態異常の回復に蘇生効果って・・・大丈夫か?こんなのがタダで利用できるって・・・・」

ハルトはこの効能に対して無料と言う事実にどこぞの銭湯を仕切る魔王の事を思い出しながら足湯から出ると。

メルトたちと約束していた夕食の時刻となっており、魔王と共に宿屋前に集合すると・・・・


「お前ら・・・その商品はどうしたんだ?」

「なになに!?私たちの武勇伝聞きたい??

聞きたいわよね~いいわ教えてあげちゃう!!

この商品は全部輪投げ屋の不正を暴いた際にいただいた商品よ!!」

「それは黙る代わりに貰ったという口封じというものじゃないのか?

それにそんな量をどうするつもりだ?」

「コレは表向きには自分の為と言っていましたが。

本当は街に戻った際に子供たちに上げるためのものだそうですよ。

その言葉を聞いて私は少しだけメルトを見直しました。」

その件については内緒とメルトが慌ててキルりんの口を塞いで黙らせると。

荷物を置いて有名な料理店に向かった。


「何でもここは美味しいが食べられるそうですよ?」

「ん?バーガー?それってハンバーガーの事か?」

「へぇ、ハルトのくせにそう言うのは詳しいのね。

そうよ?キルりんから聞いた話だと・・・この街にハンバーガーが食べられる店があるらしいの。」

「そのはんばーがーとはなんなのだ?

今まで食べたことも聞いたこともないネーミングだが。」

不思議そうに尋ねる魔王にハルトはハンバーガーの説明をしていると。

キルりんの案内でその店に到着しており。

店内へ入ると、そこは・・・・・


「あれ?マク○?これマク○だろ?」

「何を言っているのですか?ココはマケドですよ?

それはハルトのいた世界のお店ではないのですか?」

「そんなのどうだっていいから早く注文して食べましょうよ。

輪投げをしてお腹がペコペコなのよ。」

「ふむ・・・これは体に悪そうな匂いがするが・・・

何でも食べてみないとわからないだろうからさっそく注文しよう!!

で、どうするんだ?」

魔王はどうやって注文するのかわからず、ハルトに尋ねると。

ハルトは元いた世界のようにレジの前に立ち・・・メニュー表を見ながら注文をすると。

やはり元いた世界と同じやり方で通り、ハルトは魔王にやり方を説明をしながら魔王の分も注文し終わると。

メルトとキルりんもちょうど注文が終わったらしく、席で待っていると注文した商品が運ばれてきた。


「商品も全部そのまんまなんだが・・・・

味はどうなんだ・・・はむッ・・・うおッ!?

こっちの方が断然ウマイじゃねぇか!!!」

「ほう、そうやって食べるのか・・・ならば私も・・・はむッ。

うおぉぉ~チーズがトロトロでレタスもシャキシャキ・・・

コレが・・・バーガーか!すごく美味だ!!!」

「さらに私はシャッカシャッカポテトも注文しましたよ!!

このハイテンションパウダーを全部入れて・・・フリフリすると・・・完成です!」

「ちょっとそれ少しちょうだいな!!

はむッ・・・ぶはッ!?何よこの味!?キノコ?全然テンション上がんない・・・あれ??目が回って・・・・」

キルりんの注文した商品でメルトがあ違う意味でテンションが上がってしまい。

通報される一歩手前で正気に戻っており。

そのポテトをキルりんから勧められたハルトたちはメルトの状態を見て断り。

自分たちの普通のセットに手を付けていた。

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