147日目 メルトの天秤は酒に傾く?
それからして、ギルドで報酬を受け取ってから家に戻ると。
ハルトはすぐに風呂に入りベトベトと匂いを取ると・・・・むすっとしたメルトたちにバントンタッチした。
「どうして私たちがあとなのよ!!!納得いかないわ!!!もぅ・・・」
「それはハルトのおかげで私たちはあのロックバードを倒すことができたのが1つで。
あとはハルトの方がメルトよりもベトベトと匂いがひどかったからだ・・・・」
「そうですねあの匂いは酷いモノでした。
元々のハルトのカビたパンのようなニオイの方がまだましです。」
「お前ら人が入れないからって好き勝手に言うのは構わないが。
出て来た後の事を考えてから物を言えよ??
特にキルりんとメルトな!!!!」
大声で話す3人のうち2人を注意すると・・・ハルトは自室で洗い立ての服を着て匂いを嗅ぎ。
カビたパンの匂いがしないかもっと念入りに匂っていると・・・・
「ん?何をしているのだ??もしかしてさっきのキルりんの言った匂いを気にしているのか??」
「べ、べべべ別に俺はカビた匂いなんてしてねぇし!!!
フレグランスでよき香りだし!!!って・・・・魔王??早い風呂上がりだな。」
髪の毛をよく拭かずにやって来ていた魔王はハルトの胸に顔を押し当てて匂いを嗅ぎ。
「うむ、ハルトの匂いは別にどこも変な臭いはしないぞ。
何方かと言うと・・・私はハルトの匂いは好きだ。
人間の香りだが・・・泥と汗が混じった日々を生きたモノにしか出せない匂いだ。
そしてその匂いの中でも私はハルトの匂いが好きだ。
だからキルりんの言った事は気にしないで大丈夫だ・・・で、ハルトは・・・私の匂いは・・・どうだ??す・・・すすす・・・好きか?」
「はぁ?俺はそんな匂いフェチじゃねぇっつーの。
それに・・・人の匂いをクンカクンカスーハースーハコーホーホーホーする趣味もない!!」
ハルトは強く魔王にい返すと・・・魔王は少し寂しい顔をしながら部屋を出て行こうとした時。
ハルトは髪をくしゃくしゃにかき・・・・魔王の首筋辺りをそっと嗅ぎ。
「魔王はなんか甘い匂いがするな・・・ほら、コレでいいか??
俺はそういう趣味はないからそれ以上の事は言えないぞ??」
「いや、ハルトのそういう態度は・・・嫌いじゃない。
それじゃ私はもう一度入り直してくるから。
お風呂を上がったら皆で酒場に夕食でも食べに行こう。
きっとメルトが騒ぎ出す頃だと思うからな。」
そう言って魔王はハルトの部屋から出て行くと・・・魔王の甘くていい匂いをうまく表現できなかったハルトは。
どういえばよかったのかと考えながら目を閉じて風呂上りを待っていると・・・・
「だ~か~ら~ハルトはもっと汚いどろどろしたヘドロのような変態的な匂いよ?
ホント魔王はハルトに甘いわねぇ~だから魔王は舐められんのよ?わかる??」
「わ、私は舐められているのか!?
だ、誰だ!!!私を舐めている者は!!!成敗してやる!!」
「そりゃ・・・この流れだとハルト以外いないですよ。
私たちの中で・・・いえ、この国中で魔王に見下しながら暴言を真っ向から言えるのはハルトだけです。
位や男や女だからとかそんなのではなく・・・ハルトだから誰にでも好き勝手に言えるのでしょうね。
それが良いのか悪いのかは置いておいてですが。」
キルりんとメルトの言葉に魔王はハルトだけだったら問題ないとボソっと呟くと。
2人は話が通じたのかどうなのかと考えながら先に着替えて出ると、表で待っていたハルトに先ほどの礼と言われグリグリを捻じ込まれていた。
「お待たせ・・・えっと・・・この様子だと2人はさっきの罰を受けたのか。」
「あぁ・・・もちろんグーで捻じ込んでやった。
コレで当分大人しいだろ・・・ホラ、お前らそんな所で寝てないでさっさと酒場に行くぞ?オイ・・・聞いてんのか!?」
「うわぁぁぁん・・・ハルトがグーで・・・グーで・・・うわぁぁぁ~ん。
「そこまで激しく泣かないでくださいよ・・・・私も痛いのですから。
それに・・・ハルトのグリグリは鬼痛いのはいつもの事じゃないですか・・・
私たちは女の子なのですよ?もっと丁重に扱っても罰は当たらないと思うのですが?」
キルりんとメルトはハルトのグリグリに真っ向から抗議したが。
ハルトの言い返した正論に返す言葉もなく・・・4人は無言のまま酒場へと入ると・・・・
「おっちゃ~~~ん!!シュゴビーとおつまみセットちょうだ~いな!!!」
「切り替え早ッ!!!なんですか・・・さっきまでの無言は何を注文するか迷っていた無言ですか・・・いつもいつも思うのですが。
メルトは・・・・いえ、ここはコレで行きましょうか。
金と酒と仲間をとるのであればメルトはどれを取りますか??」
「俺はダメダメだが使いどころさえ間違えなければギリギリ使える仲間を選ぶ。」
「なッ!?それって私も入っていないか!?私はこの2人程酷くはないぞ~~~
それに機嫌もそこそこ良い方だし口も悪くないぞ!!」
魔王の必死の言葉を適当に聞きながらハルトとキルりんはメルトの停止が気になっていた・・・・
「おい、コイツ・・・大丈夫か??寝てないか?」
「寝てないわよ!!ぶっ飛ばされたいのかしら!?
どう見ても考えてたでしょうが!!!」
「ん?今何と言いました?考えてた??
考えるようなものですか?これって・・・・」
「メルトの事だ・・・酒と私たちの天秤はほぼ五分といった所だろう。
そこに金がぶら下がることによってどちらに傾くかが変わるといった所だろう。」
魔王の言いっぷりにそれはないだろうとハルトとキルりんが笑いながらメルトを見ると。
メルトは目を合わせようとせず・・・運ばれてきたシュゴビーをグビグビと飲んで夕食の注文を入れて流そうとしていたが―――――――――
「おい、ちょっと待て・・・この件は割とガチでこれから先の未来を暗示している可能性があるんだ。
真面目に答えろよ?酒と俺達・・・選ばない方が消えてなくなると言うのならメルトはどっちを選ぶんだ?」
「なんでみんなは私を困らせる質問ばかりすんのよ!!!
そりゃ酒に決まってんじゃない!!!
酒は笑わないけどいい夢を見させてくれるわ!!!」
「ついに本性が出ましたよ!?
このメルトは本格的に酒の奴隷になっちゃってますよ!!!」
「どうやらそのようだな・・・私たちは酒以下の存在だったと言う事か・・・・」
と、メルト以外の3人が肩を落として落ち込むと・・・メルトはさっきの酒は間違いだと訂正し。
恥ずかしそうにシュゴビーを呑みながら、皆の方が少しだけ大切だと言うと。
キルりんはメルトを信じていたと言いぬかし。
魔王は嬉しさの余り自分とハルトの分のシュゴビーを注文し始め・・・・
ハルトは本当にメルトが仲間の事を大切に思っているのか不思議に思いつつ。
3人はシュゴビーで乾杯すると。
ちょうどメルトの頼んだ料理が運ばれて来ていたのだが・・・・・
「おい、コレ・・・頼み過ぎじゃないのか?
久々に飯がここで食えるからって・・・・もぅ食ってるし・・・」
「何を言っているのですかハルトは!!!
早く食べないと全部食べちゃいますよ!!!ガツガツガツガツ・・・・」
「そう言う事らしい、ハルトも一緒に食べよう。」
「あ、ソレも~らい!!」
こうして酒場で発したメルトの問題発言とは別に・・・無事に春を迎えたハルトたちは・・・明日から再び依頼とメフィストの野望の阻止に励むために栄養を付けるのであった――――――――
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