129日目 秋のカエルレース:その①
メルトの話によると・・・このカエルたちは元人間で。
何でもカエルになりたいからカエルに変化させて欲しいと願い、自らカエルになった少し危ない連中と説明され。
それを証明する方法とハルトが聞き尋ねると・・・・
「それじゃ、このカエルもどきに解呪の魔法!!!」
「ゲコゲコ!!!私はカエル・・・どこにでもいるカエル・・・ゲコゲコ!!!」
「もういいです・・・早くカエルに戻してあげてください。
何だか見てるのがきついです・・・私、少しだけ今の自分が好きになりました。」
「私もだ・・・ここまで自分を捨ててカエルになろうとするこの者たちが素晴らしく思えたが・・・コレはルール違反にならないのか??」
「その件についてチラシをもらってきたんだが・・・ルールその1。
カエルは天然物で魔法又は人口の者は禁止とする。
この時点で終わってるな・・・それに続きにこうも書いてある。
このルールを破り、レースで発覚すれば国からの退去を命ずる。
これは王からの言葉である。
はぁ・・・この国のダメな老いぼれも噛んでやがったか・・・・」
「あの王は妙な所にお金をつぎ込む変な癖がありますからね。
これもその一例というわけですか・・・・」
キルりんは何とも言えない顔をしながら城を見つつ・・・元人間のカエルを逃がしたメルトは天然のカエルを見つけて調教すると言うと。
急に辺りにいないか匂いを嗅ぎ始め――――――――
「スンスン・・・スンスンスンスン・・・近いわ!!!アッチよ!!!」
「いや、お前・・・犬とか魔物じゃないんだからこんなとこから匂うはず・・・」
「ですが、メルトはカエル魔女の二つ名を付けられるほどのベテラントードマスターですよ??メルトのレベルになるとこの辺りのカエルくらい匂いでカエルの居場所がわかるのでしょう。」
「そんな事よりもカエルを見つけに行ったメルトを探しに行かなくていいのか??」
魔王に言われてハルトたちはメルトが駆け出してった方に向かうと・・・メルトは両手に2匹のカエルを握りしめており。
こちらに気が付いたメルトはニヤニヤしながらやってきた。
「ホラ、どんなもんよ!!私にかかればカエル探しなんて一瞬よ一瞬!!!
で・・・コレとコレなんだけどどっちにしようか迷ってるの。
どっちが良いと思う??」
「いや、知らんわ!!!」
「私はそっちの血のように赤く見える・・・淡い赤をしたカエルが良いと思います!!!
その暴れようはグイグイいけそうな気がしますので。」
「いや、レースというものは己との戦いだ。
グイグイ行く力があるのは結構だが後が怖いからな。
そっちの冷静沈着そうなカエルはどうだろう??」
2人の方向性が違うこともあり、カエル選びが分かれると。
メルトは少し考えてから答えを出した。
「それじゃ私はこの二匹をリリースして。
次に捕まえてくる始めの一匹をレースに出すことにするわ!!」
「最終的に2人のカエルには乗らない辺り・・・2人はどう思う??」
「微妙に傷つきます。
ですが、メルトが決めた事ですから文句は言いませんが・・・・どうしてでしょうか??レッドフロッギー君ならやれるはずですのに・・・」
「そうだな・・・メルトが決めた事だ。
それに、次に選ばれるカエルはこの二匹を上回るスペックのカエルが出てくることが予想できるぞ。
何と言ってもあのメルトだからな・・・確実に勝つための手段いいや。
カエルをとるだろう。
レースは今日の午後からだからメルトはカエルを捕まえたら受付でカエルレースのエントリーを済ませるようにな。
それでは私たちは観客席で待つとするか。」
メルトを放っておいていいのかと思いながらハルトは魔王たちとカエルレースの会場に向かい。
シュゴビーを買って待つこととなっていたのだが―――――――
「なぁ、これって本当にカエルレースの客だよな??
何か違うお祭りが始まりそうなくらいの客だぞ??
それに・・・なんだアレ??ハイネ教会チームとか言う名前が見えるんだが??」
「そうですね・・・この参加が決まっているパンフレットによればハイネ教会からジャージーの扱うホーリーカエルがエントリーしてますね。
あっちにいるのはせっちゃんでしょうか??
む?カエル??それに名前入りのゼッケン!?
せっちゃんも参加者だったのですか!」
「お、みんなは参加しないの??
アレ?メルトがいないって事は・・・そう言う事ね。
ククッこのレース・・・楽しくなってきた!!
さぁ行くよ!!!スサノヲカエル!!!」
「何だかカエルには重すぎる名前が付けられているような気がするのだが・・・
あとの参加者は貴族のような若者とこの辺に住む一般人に・・・お、やっと来たか。」
「お待たせ!!!やっとカエルを見つけたと思ったら開催場所がどこかわかんなくて時間かかったわ。
でも、みんな安心して!!!この私から選びに選び抜かれた最高のゴッドカエルで勝ってあげるから!!!」
メルトのカエルは長いひげを生やした仙人のようなカエルで・・・見た感じだけだと勝つ見込みは薄いと言う様子であったが。
周りにいたカエルコレクターやレースの参加者はメルトのカエルを見るとざわざわし始め。
「なんだなんだ??メルトのカエルを見た途端にざわざわし始めたぞ!?」
「私に言われてもわかりませんが・・・きっとメルトの持ち込んだカエルがとてもすごい力を秘めていると感じたのではないのでしょうか??」
「それもレースが始まればわかる事だろう。
どのカエルが勝つのか全く分からないが・・・メルトのカエルに武運を祈る。」
と、メンバーが集まったと数え終わった主催者はルールと出場者の説明を始め。
レースルールは誰が先に6メートル先のゴールラインを踏むかで、カエルたちの進む先には多種多様なおじゃまコーナーが待ち構えていることから。
普通のレースではなく障害物競争であった。
そして、エントリー順にカエルをスタンバイさせると・・・ついにカエルレースが始まりを告げた。
「いっけぇぇぇ!!!ゴッドカエル!!!」
「全てのカエルを薙ぎ払え!!!ゆけ、スサノヲカエル!!!」
「すべてのカエルも慈愛の精神で・・・ホーリーカエルレッツゴ~」
「ワシのカエルは負けはせんぞい!!!いけぇヒキガエル!!!」
「うげぇ・・・あんなカエルよく平気でもてるな・・・
ボクはいい所の貴族だからね!!!カエル専用の手袋を使わせてもらうよ!!
さぁ、行きたまえ・・・キングフロッグ3世!!!」
スタートと同時に5匹のカエルは一斉にコースに放たれるが、やはりカエル。
中々レースは思っていた通りには進まず・・・カエルは動きを止めるものから裏返って日向ぼっこするカエルまで現れていた。
「このレースって時間はどのくらいかかるんだ??
説明には制限時間とか言っていなかったが・・・・」
「このパンフレットには所要時間4時間と書かれていますね。
あと・・・前回あった夏の陣では優勝タイムレコードは2日と14時間45分だそうです。」
「レースに2日か、これは根気が試される究極のレースと言うわけだな。
今回のカエルたちは冬眠間近だ・・・つまり私の勘だが波乱の匂いがするな。」
魔王の見つめる先で自由にぴょんぴょん飛び回るカエルたちはレースなどお構いなしにフリーランして楽しそうにも見え。
その傍から叫び散らすのは観客ではなく、メルトたち参加者であった・・・・・
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