128日目 一攫千金を目指して。
そして・・・しばらくしてからハルトたちは酒場から家に戻ると。
家の前にはメルトがカエルにしたのか・・・見覚えのある特徴を持ったカエルが3匹待っており。
メルトはカエルたちを見るや・・・時間が経てばそのうちに元に戻ると言うと。
3匹のカエルは街へと帰って行き。
ハルトたちは少し心配に思いながら家に入った。
「で、あのカエルたちは本当に大丈夫なんだろうな??
――――――――食われたりしないか??」
「その辺は大丈夫よ。
以前、私が街の偉いさんや金持ちをカエルにした後・・・カエルを不用意に食べたり捕獲してはいけないって条例を作ったらしいから。
子供がイタズラで叩きつけたり投げつけなければ平気ね。」
「何だか魔法で殺されるよりも残酷な魔法ですよね・・・変化の魔法って。」
「うむ、かかりたくない魔法の1つだ。
それじゃ・・・私たちは先にお風呂でもいただくとするかな。
ではハルト・・・交代の際に呼ぶから少し待っていてくれ。」
と、魔王たちは先にお風呂に入りに向かい・・・ハルトは部屋に戻って真っ二つになった黒い水晶を見ていると。
その水晶の存在を感じ取ったのかバロンが目覚めた。
「フムフム・・・コレは見事に壊れてしまっておるな。
だが・・・コレでよかったのだ。
このような禁忌はこの世には必要ない品物だからな――――――」
「で、これをどうしてバロンは作ったんだ??
何か作ったのには理由があったんだろ??」
ハルトは半分に割れた水晶を覗きながらバロンに尋ねると。
バロンは昔、人同士が始めた戦争の時に人手不足を補うために作ったと言い。
その禁忌のアイテムで戦争が終わってからというものの・・・戦地にあるはずの水晶を探しに探したがどこにもなく。
どこかに埋もれたか壊れたと考えていたとしみじみ話すと・・・・
「こんなチートアイテムがあったらそりゃ戦争に勝てるだろうな。
だが、それだと・・・どうして教会の地下にこれがあったのかが謎だよな??」
「きっと・・・私と同じように古くからこの水晶の事を知り。
水晶を隠し持っていた者の仕業だろう。
その者の同期は分からないが・・・教会を恐怖に陥れたかったのか。
それともこのアイテムが扱いきれずに人の手の届かない場所に隠しておきたかったのか・・・・すべては闇の中というわけだが。
ハルトたちが見つけ出し見事に壊してくれたおかげで悩みの種の1つが無くなったと言うモノだ。
――――――――フォッフォッフォ・・・・」
ハルトはバロンの言葉の中にあった1つと言う数字に疑問が湧き。
バロンに他にも生前やらかしていないか問いただすが話そうとせず。
そのままバロンは答えることなく静かになると――――――――
「何やらバロンと話しているような声が聞こえていたが・・・それより、お風呂の交代を知らせに来た。
何やら深刻な顔をしているが・・・平気か?」
「あぁ、ありがとさん。
まぁ特に困ったと言う事でもないから大丈夫だ。
それじゃ・・・バロンも話したがらないしさっさと風呂に入って明日のために体を休めるとするかな。」
魔王から交代の知らせを聞いたハルトはお風呂に入り今日の疲れを取った翌朝。
いつものように朝食をとっていると、ジャージーがハルトたちを尋ねて酒場にやって来た。
「昨日の件は本当に助かりました。
ハイネ司祭も教会の者一同大変感謝しております。
それと・・・あれからハルトさんたちが帰られてから地下で燃えたようなニオイがしていたので見にいけば。
大切な女神の肖像画が燃えておりまして・・・その・・・すごく言いにくいのですが弁償を・・・して・・・ください。」
「オイ、メルト・・・何か最後に言いたいことはあるか??」
「ちゃんと燃えないように魔王がカバーしてくれてたんじゃないの!?
だから私はじゃんじゃん魔法を撃ってたのに!!!」
「きっと魔王の見えていない部分に火が残っていたのでしょうね。
で、ジャージーはいくら払ってもらえと言われてきたのですか??」
キルりんの言葉にジャージーは恐る恐る請求書を差し出すと。
そこには・・・200万ゴールドと書かれており。
昨日の報酬から弁償に変わり・・・ハルトたちは実質メルトのロイヤルシュゴビー等の食費でほとんどが消費されていた。
「はい、確かに全額受け取りましたのでハイネ司祭にお渡ししておきます・・・えっと・・・本当にごめんなさい。
ハルトさんたちには本当に感謝してもしたりないくらいの恩があると言うのに・・・」
「いや、絵が燃えたのはこの考えなしに魔法をブッパしたメルトの責任だし弁償するのは当然だ。
ハイネ司祭にも謝っといてくれ。」
ハルトはジャージーにそう言うと、ジャージーはぺこりと頭を下げて酒場から出て行き・・・ハルトはメルトに詰め寄ってこの200万ゴールドの返済方法を尋ねると。
「えっと・・・一括の出世払いはい・・・いけるかしら?」
「どこにも組してないお前がどうやって出世すんだバカ!!!
もう少し現実味のある方法で返済することを考えろよな!!!」
「だったらこのイベントに参加してみてはいかがですか??」
「何だこの紙きれは・・・ん?秋の風物詩カエルレース??
これはメルトにしかできなさそうなイベントだな。」
魔王とキルりんはメルトの方を見ながら話すと・・・その紙の内容が気になったメルトは紙を受け取って内容を読むと――――――――
「おっしゃぁぁぁぁ!!!!コレでカツル!!!カエルでカツル!!!
これであんたらが馬鹿にした私の汚名も借金も全てチャラよチャラ!!!いいえ!!!私はこのカエルちゃんドリームで大金持ちになって見せるんだから!!!」
「どうでもいいけどカエルレースって何なんだ??
どう考えても小さな夜のお祭りある子供のサイフを巻き上げるレースにしか聞こえないんだが・・・・」
「そうですね・・・イベント名はチープですが。
このカエルレースは時期によって開かれるとても大切な行事で。
いつも数人単位で億万長者が出る一攫千金なイベントらしいです・・・・私もこのチラシを見るまで知りもしませんでしたが。
お金がもらえるのであればメルトに頑張ってもらわねば・・・ん?メルトはどこに行ったのですか??」
「メルトなら少し待ってろと言って酒場から出て行ったが・・・・
――――――――――一体メルトは何をする気なのだろう??」
魔王たちは不思議そうにしながらメルトの帰りを待っていると。
体中をドロだらけにしたメルトが戻り・・・ハルトたちのテーブルにカエルが詰まった瓶を並べ始め。
急に説明し始めた・・・・
「これが・・・スピード型でコレが持久型・・・でもってこっちがバランスのとれた生きの良いカエルよ。」
「お前・・・ここは一応メシを食う場所だぞ!
周りの冒険者やハンターたちを見てみろよ!お前を見る目がゴミ以下を見る目に変わって来てるだろうが!!!
あ~~ちょっとこっちに来い!!!」
ハルトは酒場で支払いを済ませると、人気のない場所に瓶を持たせたメルトを引っ張ってやって来ると。
どうしてカエルを持って来たのかを問うと・・・・
「そりゃもちろん私もあのカエルレースに参加するからよ!!!
でねでね!!どの子がいいとおも・・・ん?どうしたのよ??何か私変なこと言ったかしら??」
「いや・・・お前って本当にバカだなって・・・」
「で・・・なんだか得体の知れない色をしてますが・・・これは元ヒトとか言いませんよね??メルト??どうして目を背けるのですか??」
「メルトのこの反応からしてコレは何かありそうだ・・・」
魔王はそう言ってカエルたちを見ながらメルトに、正直に話せば罪は軽いと言うと。
メルトは正直に話すと言ってハルトたちを呼び、コソコソと他には聞こえない声で話し始めた――――――――
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