123日目 屋敷から街への帰還
ダイニングには見たこともない酒からメルトが気に入ったロイヤルシュゴビーまで幅広く揃っていたが。
キルりんだけが酒を飲めずに木の実のジュースを飲みながら羨ましそうにハルトたち見つめていた。
「どうして宴会の席でジュースを飲まねばならないのでしょうか・・・・
今日くらい良いんじゃないですかね??」
「いや、法は法だ・・・ンゴンゴンゴ・・ぷふ。
法は守るためにあるのだ、1つ破れば2つ目を破るのも容易になってしまう。
だからしっかりと守らねばならないのだ。」
「おぉ~マオウは素晴らしく知的なのだな。
もっとキルりんに有り余る知恵と胸を分けてやって・・・・イギャァァァァ!!!
―――――――――――ナイフとフォークが!?!?」
「もう・・・昔からその癖が治らないのだから・・・・困ったキルりんね。」
「もしかして何だが・・・キルりんが暗殺スクールに入れられたのって。
このナイフ投げとフォーク投げを見込まれたからじゃねぇのか??」
「私もそれを考えてたわ・・・でもね、今はシュゴビーを飲むのに集中したいからハルトは適当に食べてなさい・・・ンゴンゴ・・・フムフム―――――」
メルトはいっぱしの美食家風にシュゴビーを飲みまくりながら語り。
適当に扱われたハルトはシュゴビーを飲みながら料理にがっつくと・・・キルりんパパから外でのキルりんは他の冒険家や人たちに迷惑をかけていないか尋ねてきた。
「ん~迷惑しかかけてないな。
――――――――イッダァァ!!!だって本当の事だろうが!?
お前、迷惑になってないとでも思ったのかよ!?」
「そりゃそうでしょう!?皆、私に色々されてありがとうと言いながら良い笑顔で返してくれますよ!?」
「だが、それはキルりんに気を使っての事だろう。
街のハンターや冒険家たちから聞いた噂なのだが・・・キルりんに変な顔すると刺さると言う噂が流れているくらいだからな。
今までよく事件にならずにこれたなと感心するくらいだ。」
「あらあら・・・キルりんはその街でも人気者なのね。
コレでますます安心ね?アナタ??」
「うぅぅぅ・・・・私の娘から笑顔を見ておいてナイフを刺される事に恐怖するとは温い!!イダダ!?なぜだ!?・・・・ぐッ、この際だから言うのだが・・・私はまだ帰ってきたキルりんから笑顔を見せ貰ってないんだぞ!?こんなにぶっ刺されているのにだ・・・・それなのに黙っていられるはずがあるものか!!」
そのキルりんパパの発言にキルりんはニパっとハナマル100点の笑顔を見せると。
キルりんパパは満足した様子でシュゴビーを飲みながら――――――――――
「――――――――好きに青春を謳歌するがいい・・・我が娘よ。」
「このオヤジ・・・そこ刺前から感じてはいたが、やはり娘にクソ甘いタイプか・・・・もっとしつけろよな!!!
こんなんだからコイツは甘え―――――――――」
「ん?ハルト、どうしたのだ??鬼のような形相をしていたぞ??
――――――気分でも悪いのか??」
「きっとハルトもキルりんのスマイルが0円で欲しいんでしょ??
くだらないわね・・・笑顔なんて何の得にもならないって言うのに。
そんな事よりも・・・このロイヤルシュゴビーのおかわりが欲しいのだけれど??」
「――――――――はい、ただいまお持ちいたします。」
メルトはガブガブとシュゴビーを飲みまくりながらメイドにシュゴビーのおかわりを頼むが。
ハルトは気を使って止めさせ・・・魔王とアイコンタクトを取り。
夕食の礼と挨拶を済ませてからメルトを強制的に連れて部屋に戻っていった。
「ちょっとちょっと!?何でこんなことするのよ!!!
あと数杯・・・・ううんあと1杯だけでも・・・・アイタッ!?」
「お前・・・これ以上飲んだらべろんべろんになるだろうが!!それにその姿をキルりんの両親の前で晒すことになるんだぞ??
そんなのを見て気が変わったらどうする気だ??」
「今回はハルトの意見に賛成だ。
キルりんがやっと自由になれたのにメルトの酒癖で台無しになってはキルりんに申し訳が立たないからな。
街に戻ったらたんと飲めばいいんじゃないか??な??」
2人の説得に納得いかないとブーブー言いながらメルトは部屋に消えて行き。
魔王もまた明日と言って部屋に入ると。
ハルトはメルトが様にコソコソと抜け出して酒蔵を荒らさないか心配しながら部屋に戻り、豪華なベッドで眠りについた。
そして翌朝・・・メイドに呼ばれたハルトたちはダイニングに向かうと。
キルりんたちが座って待っており。
全員が席に着くと朝食が始まった――――――――――
「で、早ければ今日にでも馬車でココを出発して街に戻ろうかと思っているんだが。
キルりんはそれで大丈夫か??」
「あ、ハイ・・・大丈夫です。
と、言う事らしいので今日出ます・・・また顔を出すので2人ともお元気で。」
「そうか・・・キルりんりんがいなくなるとなると本当に寂しくなるが。
私もまだまだ現役の王だ・・・この命が燃え尽きるまで王位を守ろう。
私たちの事は心配せずに楽しんできなさい。
それと、ハルトと愉快な仲間たち。
これからもキルりんの事をよろしく頼む。」
「本当に寂しくなるわ・・・・」
「まかせてくれ。
このハルトとメルトと共にキルりんと助け合う事を誓おう。
―――――――――な?メルト??」
「えぇ~~~私・・・あんまり自信ないんだけれど・・・
まぁロイヤルシュゴビーが飲めたし、仕方ないわね。
キルりんとはもう少し仲良く一緒にいてあげるわ!!」
キルりんパパママが心配そうにハルトたちに尋ねると。
期待する答えが聞けたのか・・・2人は笑顔になり、メイドに馬車の準備をするように伝えた。
そして、しばらくして・・・・
メイドが呼んだ馬車が現れ・・・キルりんが2人に別れを告げると。
ハルトたちは馬車に乗り込みアップダウン王国に戻って行った――――――
「はいよ、アップダウン王国に到着ですぜ。
料金は先に支払われているんで結構でさ。」
「ん~~やっと帰って来たな。
やっぱこの街だよなぁ~~~うんうん。」
「それはどういう意味ですか??
あの屋敷では不十分だと言いたいのですか???
至れり尽くせりだったはずですが???」
「そうねぇ・・・私はロイヤルシュゴビー以外の感想が出てこないわね。
私くらいの魔導士なんだからあれくらいの持て成しは普通じゃない??」
「私は魔王だからあれよりすごい豪華な生活はしたことあるからな。
と、言っても見ず知らずの私たちにあそこまでしてくれたんだ。
感謝はしておこう。」
と、ハルトたちが家に帰ると・・・これから稼げなかった分の資金集めのためにギルドで依頼を受けて稼ぎに行くつもだったのだが―――――――
「なんじゃ・・・・こりゃ・・・・」
「うむ、どれも大型の害獣ばかりだな。
小さいモノもあるが・・・コレだと1人分にも満たない少額・・・
この数日のうちに何があったと言うのだ??」
「フムフム・・・冒険者や受付の方から聞いてきた情報によりますと。
寒波が来たらしく・・・ある程度の害獣は身を隠して大型の肉食系害獣が腹を満たしに出てきているそうです。
それと小さいものは草食の害獣で畑を荒らす程度の小さな依頼といった所です。
で、大型の大金か小さな依頼でコツコツか・・・どちらにします??」
「そりゃモチロン・・・・こっちじゃない???」
と、メルトは張り出してある依頼の中から1件の依頼をちぎると・・・・・
ハルトたちはメルトのちぎった依頼に目を通し始めた―――――――――
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