112日目 やり過ぎた稽古のお詫びに・・・

魔王が力を込めてその場に固定しながら魔王は考えに考えたプランというモノをノリノリに話し始め・・・・

――――――――――まず、数週間かけて体を鍛えあげ・・・・そして数十年の時間を剣の育成に使い。

それから数百年かけて魔王たちの戦いに参戦し・・・全ての魔王を倒し。

真の魔王になって自身と結婚して6人の子供を・・・という謎の未来設計を聞かされ。

ハルトは「無理」と感想を言わないまま戻ろうとしている様子をナイフを磨きながらキルりんが見ていた。


「あ、おかまいなく・・・2人の明るい未来設計をこの街の噂にしたりしませんから。」

「お前・・・この事を流してでもしてみろ。

マジで泣かすから覚悟しとけよ?」

「ハルト~~どうして無理などと言うのだ!?

ならばハルトが私の嫁になると言うのはどうだ???私がハルトを一生幸せに・・・って!?逃げようとしないでくれ!!じゃあ本当にどうしたら真面目に稽古してくれると言うのだ!?そのへんをきっちり教えて欲しい!!!」

魔王はハルトにどうすればいいのか尋ねると・・・ハルトは剣の稽古だけで良いと言うと。

魔王は拒否すればハルトがまた逃げようとするだろうと考え・・・昨日とは違うパターンの剣術の稽古を教えると提案すると。

ハルトはそれならと・・・逃げることを止め、魔王と対峙したのだが―――――


「えっと・・・魔王??何でお前・・・を持ってるんだ??

これじゃ俺やられるだけだぞ??」

「心配するな・・・痛くはしないから!!!

ふははは!!!いい避けっぷりだ!!!さすがはハルト!!

だが、これは剣術の稽古・・・剣を使わなければ稽古にならないぞ!!!」

「魔王は稽古という言葉を使ったただの一方的な暴力をしているようにしか見えませんが・・・・何だかんだでハルトの避けにはいつもより磨きがかかっているように見えますね。

ハルト頑張ってください!!!その調子で避け続ければタイムアップで引き分けに持っていけますよ!!」

キルりんはなぜか格ゲーのような例えで話すが、魔王の言っている逃げているだけでは剣術の稽古にならない事もわかる。

だが・・・あんな大剣に斬られたら「絶対に痛い」と言う全神経からの伝達によってハルトは逃げの一手をとる事しかできずにいた。


「どうしたどうした!!!剣の稽古がしたかったのだろ!!!

ほら、私に一発でも撃ち込めるのであれば撃ち込んでみるがいい!!!

にできるものならな!!!」

「グッ・・・・アイツ・・・少し剣の腕と武器がいいからって調子に乗りやがって・・・・あと、腰抜けとか言い過ぎだろ!?」

「にしても魔王にしては珍しい挑発ですね・・・ハルトには丁寧さと美を意識していたはずなのですが?

ですが・・・コレはコレで面白そうなので見物ですね。

あと、この稽古には終わりがあるのでしょうかね??」

キルりんはブツブツ言いながら逃げるハルトを応援しながら見ていると・・・魔王は禁じ手の魔法を使ってハルトの動きを封じた。


「さぁ、コレでハルトは逃げることも私の攻撃を防ぐこともできないな!!!

どう調理してやろうか・・・・・フフフ・・・・」

「オイ、魔王・・・これじゃマジで稽古にならないだろ・・・だから・・・まずは魔法を解きやがれ!!!!」

「そうですね、この状況では剣の稽古というよりは魔王の暴行・・・・いえ、拷問になっちゃいますよ??

―――――――――だから、剣で攻撃すれば問題ないかと?」

キルりんは剣で攻撃すれば問題ないと魔王に口添えすると・・・グーサインを出してから剣を構え。

ハルトの腹に思いっ切りぶっ刺した。


「いだだだだだ!!!魔王!!!剣をズボズボすんじゃねぇ!!!!」

「どうだ!!ここか!?ハルトはここがいいのか!?」

「なんでしょうか・・・この絵は・・・言っておいてアレですが・・・何とも言えない酷い絵ですよ??

あと、間違いなく魔王はに嫌われますよ?」

魔王はキルりんの言葉を聞いて我に返り、ハルトに刺した剣を引き抜いてから冗談と言って顔を見るが―――――――


「好き放題人の体に剣を刺しといて今さら冗談とか虫が良すぎんだろ!!!

魔王はこの中じゃまともで株が高かったのに・・・暴落だ・・・間違いなく暴落だ。」

「エェッ!?私は・・・とんでもない過ちを犯してしまったのか・・・・キルりん!!!どうしてもっと早く止めてくれなかったのだ!!!

これじゃハルトと仲良くなるどころか嫌われて捨てられてしまうかもしれない!!」

「フッ・・・いいんじゃないですか?

捨てられるときは一緒ですよ・・・ね?魔王?」

キルりんはとんでもなく綺麗な笑顔を魔王に見せると・・・魔王はこの失態を払拭するためにハルトに対してどうすれば今日の事を水に流してくれるのか尋ねると。

ハルトは考えに考えたが特に要望はないと言い返した。


「そ、そんなことはないだろ??

ほら?魔王の私だぞ??お金でも魔の契約とか何でもできるのだぞ??

何かないのか??私の先ほどハルトに犯した罪を償わさせて欲しい!!!

稽古の事はどうでもいいから頼む!!!」

「って言われてもなぁ・・・・散々好き放題に体を切り刻まれた痛みに見合う謝罪方法って言われても―――――――」

「そうですね・・・返すとかでしょうか??

っと、言っても・・・・ん?魔王???話はまだ終わって・・・・」

キルりんが説明をする前に魔王はハルトに近寄り・・・前回ハルトにしたように今日一日自分の事を好きに使っていいと言い出し。

拒否すればある意味面倒なことになると脳裏をよぎったハルトは魔王の意見に乗っかることにして・・・魔王を一日好き放題レンタルが始まった。


「魔王・・・そんなにガン見されてたら落ち着かないんだが・・・・」

「そうはいっても私は今日一日ハルトのために動くと契約したのだ。

魔王たるもの契約を破ることは死よりも重いのだ。

だからハルトの為ならどんなことでも叶えてやりたいと思っている!!

さぁ、何をして欲しいのだ??耳かきか??膝枕か?添い寝か??」

「殆ど寝技ですね。

それにしてもメルトが起きてこないのが気になるので私は少し部屋へ覗きに行ってきます。」

そう言ってキルりんはメルトのいるであろう部屋へ見に行き・・・魔王と2人っきりになると。

魔王はなぜかハルトの寝転ぶソファーの隣に座り始めた。


「は、はりゅと!その・・・膝枕でもどう・・・だ?」

「あ~動くのが面倒だからいい・・・・あぁ・・・わかった。

魔王がしたいって言うのならやってくれ――――――」

断った瞬間・・・魔王の悲しみに満ち溢れた顔が目に飛び込み。

今後のアタッカーがダメになるのを危惧したハルトは魔王に膝枕を注文すると。

魔王はルンルンと膝を差し出し、ハルトは魔王の膝に頭を乗せて横になった。


「どうだハルト?この魔王の特別な膝枕の心地は?」

「あぁ~そうだな・・・ソファーよりもむっちりしててなんか新鮮だな。」

ハルトの言うムッチリの意味を魔王は衝撃的に捉え・・・魂が抜けかけており。

だらんとした魔王を復活させるために言い直すと、魔王の魂が戻り。

花が咲いたかのようにホッと一安心し・・・この魔王に適当な発言や表現は面倒事を引き起こすトリガーになることを考えながらハルトは魔王を見ると。

魔王は魔王で謝罪のはずがご褒美を上げているような満面の笑みを浮かべており。

コレはなんか違うだろう考えつつハルトは魔王のムッチリな膝に頭を寄せながら考えていた。

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