99日目 アズラえるとの再会


先程喰らった魔王のビンタによってハルトは半身を壁に埋め・・・キルりんに助けてもらうと。

その行動を見てから魔王は指でしぐさをとりながら謝りに来た。


「その・・・すまなかったな。

気付いたらハルトの顔が近くに現れて思わず渾身の一撃で叩いてしまった。

――――――――本当にすまない。」

「あぁ・・・俺も不用意に近づき過ぎた・・・・ぜ・・・ちょっと・・・ダメージが残ってるが・・・心配には・・・及ばねぇ・・・」

「ハルトはだいぶグロッキーですね・・・さすが魔王です。

不死者のハルトをここまで足腰立たなくなるくらいのビンタを放つとは・・・・」

「ゼェゼェ・・・・アンタたち!!!やっと見つけたわよ!?

卵を回収したらしたでみんないないし・・・って・・・ハルトはどうして倒れちゃってんの??

魔法にやられて眠っちゃったの??」

息を切らしてメルトが合流すると、倒れているハルトに対して棒でツンツンと突きながら確認していた。


「で、メルトは無事に卵の回収ができたのですか??」

「あったりまえじゃないの!!!

3人がそこに転がってる巨大なクソ鳥をどこかにやってくれたおかげよ!!!」

「なら、さっさと狼煙を上げて帰ろうぜ・・・俺はもう少しだけ回復させねぇとだが・・・あと、メルト・・・棒でつつくのを止めろ・・・」

「うぅ・・・本当にすまない・・・・」

魔王はひたすら謝り続けながらキルりんと共に狼煙を上げて巨大なクケコッコを回収してもらうと。

その頃にはハルトは自力で歩けるようになっており、卵をもってギルドに戻って行った。


「ンゴンゴンゴ・・・ぶはぁぁ~~~くぅぅぅ~~~キンキンに冷えたシュゴビーは最高ね!!!

あ~すんませ~んシュゴビー1杯追加~~」

「お前あんま飲み過ぎんなよ??

いつも連れて帰る身にもなってくれよ・・・なぁ??」

「そうですよ!!!それか私にも飲ませてください!!!

共に酔えば文句も言いません!!!」

「それだと面倒が二倍になるんじゃないのか??

それにキルりんは何度も言うが未成年・・・未成年がお酒を飲むのは良くない事だ。

我慢して果実ジュースかミルクでも飲んでいてくれ。

それに、あんな女を捨てたメルトのようになりたいのか??」

魔王はこそこそとメルをと見ながらキルりんに尋ねると・・・キルりんは即答で止めておくと言って果実のジュースを注文してグビグビと飲んでいた。


「はぁ~食った食った・・・にしてもマジで1日もしない間に外装工事が終わってるなんてな。

この世界の技術も大したもんだよな。」

「加工技術やら技術職関連ならこの王国はどの国よりも盛んですからねぇ。

他の国にも色々といい所はあるのですが・・・あのギルドでの一件以来怪しさしか感じませんが・・・・」

「あの時は本当にヤバかったわよね・・・しつこいし・・・金だけが全てじゃないってのよ!!!ね!」

「え、あ・・・・そうだな・・・・あはは・・・

―――――――――――メルトに言われるとは思わなかった・・・」

魔王以外にもハルトやキルりんも同じことを心の中で考えながらグビグビと飲み物を飲むと。

夕食を切り上げて家に戻って行った。


「それにしても今日のクケコッコの依頼は中々ハードと言うか危なかったよな・・・・危うく俺は魔王に消されるところだったし・・・」

「そ、それはもう謝っただろ!?

それに・・・そんなに強く叩いていないはずなのだが・・・そんなに痛かったか??」

「そりゃ・・・あれだけのビンタを叩き込んだのですから相当痛かったと思いますよ??何せ壁にめり込んでいたのですから。」

「え・・・壁にあった人型の窪みってハルトの跡なの!?

マジで傑作ね!!!観光名所にしたらどうなのよ??あひゃひゃひゃ!!!」

酔っているのかわからないが、メルトは倒れていたハルトの壁の跡を思い出しながら大笑いし・・・限度を超えたハルトはメルトの脳天にグリグリをクリティカルヒットさせると部屋に入っていった。


そして、ある程度時間が過ぎ・・・ハルトの部屋にノックする音が聞こえ。

魔王がやってきた・・・・


「その・・・何度も言って価値が無くなりつつあるのだが・・・言わせてくれ。

今日の事は本当にすまなかった。

ただ・・・本当にワザとじゃない事だけが伝われば――――――――」

「もう気にしてないから自分の部屋に戻って早く寝ろよ?

明日も依頼とかメルトの世話とかがあるんだ・・・体力と金はいくらあっても困らねぇってな。」

ハルトの言葉を聞いて魔王はひとこと感謝の言葉を述べると部屋から出て行き。

そのまま朝まで静かに時間が過ぎて行った。


「のわぁぁぁぁぁお前らぁぁぁぁ!!!!!!

早くこの後ろのヤツを何とかしてくれェェェェ!!!!」

「いや、ドレッドウルフのストロベリーちゃんを傷つけては依頼にならないから少し考えさせてくれないか??」

「にしても首輪はしているのにロープも何もないとなると・・・・の代わりになっている間にロープを付けるしかなさそうですね。」

「そうと決まればハルト!!!ハルトはそのストロベリーのエサよ!!!

どこでも好きな部位をかじらせてあげなさいな!!!」

「グギャァァグフグフ・・・グギャァアァァァ!!!!」

朝からギルドで受けた依頼のペットを探しに見失った森深くに来てみれば・・・名前がストロベリーと書いてあったがために可愛いワンコを想像していたのだが。

予想とは違い、首輪の特徴以外可愛いと言える部分は一切どこにも微塵も感じられず・・・ハルトは頭からがっつりと噛まれていた―――――――


「よし、ストロベリーがハルトを捕食し始めました!!今のうちにロープを付けましょう!!!」

「そうだな・・・ハルト、もう少しだけ我慢していてくれ。

――――――――――すぐに済ませるからな!!!」

「こうしてっと・・・・はい、完璧!!!

さぁ、ハルト・・・って・・・大丈夫??ハルト!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

さすがのハルトも頭をガシガシと噛み続けられていては意識を保つことなどできる訳もなく・・・・・意識がぶっ飛んでいた。


メルトたちの声が頭の中で響くように聞こえ・・・目を覚ますと――――――


「は~いお久しぶりで~すね~

皆の命を独り占め、死の天使のマスコットガールアズラえるだぞ!!」

「いや、そんな事はどうだっていいんだ・・・ここはどこだ??

お前、また何かやらかしたんじゃないだろうな??」

ハルトはアズラえるに尋ねると、アズラえるはエグエグと泣きそうな顔をしながら話し始めた。


「さすがハルトさん・・・元いた世界と違う事の飲み込みがゴッドスピード過ぎますよ・・・それはそれで置いておいて・・・・どうして連絡を一切してくれないんですか!?

それとも私との連絡はしたくないと言う事でしょうかねぇ!?」

「いや、正直に言うと忘れてた・・・今の今まで。」

ハルトは無表情でアズラえるに言い返すと・・・アズラえるは開いた口が塞がらないままポジティブに捉えることにして。

話を戻してここがどこか説明に入った。


「ここはですね・・・私のオフィスです。

と言ってもお休み中なんですが。

で、暇を持て余していたらハルトさんの意識だけを呼べないかとアレコレしてたら成功して今に至るってことなんですが・・・どうしてハルトさんはそれでここに来たってわかったんですかね!?

壊そうとしないで!!!それ高かったんですよ!!!違法だけど!!」

「だったらさっさとぶっ壊して戻らんとな!!!

違法ならぶっ壊しても警察の介入で問題になるのはお前だけだしな!!!!」

ハルトは転がっていた硬いものをもって謎の機械に叩きつけようとした時。

アズラえるはここぞとばかりに魔法でハルトを拘束して動きを封じ。

布団に寝転がらせた――――――――

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