83日目 酔いどれ魔王
メルトがこどもオオトカゲを自信を囮に惹き付けていたのだが・・・倒しても倒してもキリがないくらいの数にメルトは大きく泣き叫び、ハルトは覚悟を決めてキルりんの投げる予定だった煙幕玉を持って離れ・・・・
「いいか?これからこの煙幕を使ってメルトからトカゲを俺に惹き付けさせるから・・・全部がこっちに来たら魔法で焼き払うなりしてくれ。」
「うわぁぁぁ~~~いいから早くやりなさいよ!!!って!?イタッ!?
誰よッ!?この私の足を踏んだ奴!!!絶対ハルトでしょ!!!こんなことすんのはいつもダメ使い魔のハルトしか・・・痛い痛い!!!わ、わかったわよ!!
私が悪かったから早くトカゲを何とかして~~~~~」
「メルトって・・・どんな状況でもたくましいです・・・・
魔王もこういう図太さを見習わないといけませんね。」
「私はここまでされる前に全て灰にしてしまうのだが・・・・
これは図太いと言うよりも我慢強いの間違いではないのか??」
冷静にメルトを見て語る2人に対して・・・ハルトはメルトを踏んづけるのを止め。
3人から少し離れた場所で自身に煙幕玉を使用すると、こどもオオトカゲはハルトに飛びつきだした。
「いってぇ!?コイツら割と噛む力が強くないか!?」
「きっとその煙幕で興奮して噛む力が強くなったのかと・・・・
魔王、それにボロボロのメルト・・・ハルトにまとわりついたトカゲの殲滅をお願いします!!!」
「うむ、任された・・・・
では、メルト・・・軽くトカゲだけを焼き払う程度の炎魔法で焼き払うぞ。」
「いた~い・・・もぅ本当にひどい目にあった・・・これも全部ハルトのせいよ!!
だから、トカゲもハルトも全部消し炭にしてやるわ!!!
――――――――フレイムバーニング!!!」
ハルトにまとわりつくトカゲだけを焼き払う以上の火力でメルトはハルトに向けて魔法を放ち・・・魔王はこの火力なら自分の魔法は必要ないと撃つのを止め、ハルトにまとわりつくトカゲがいないことを確認すると―――――
「ハルト、手を出せ!!!
よし・・・ぐっ!!だ、大丈夫かハルト??
少し遅かったか、トカゲたちから解放されたが随分とコゲコゲになってしまって・・・・」
「ぐぅぅ・・・アイツ・・・絶対に泣かす―――――」
「えぇっと・・・そうよ!!無事にこどもオオトカゲを倒したんだから丸ッとクリアって事で・・・ダメかしら??」
「それらを決めるのはハルトですので・・・
あと、罰を与えるのであればメルトだけにしてください。」
当然のようにキルりんはメルトを裏切り・・・魔王はハルトの代わりに撤収と伝え焦げたハルトを抱えてギルドに戻っていると、ハルトの体が完全に回復し。
呑気に前を歩くメルトに向かって全力疾走して捕まえ・・・久々のグリグリを決めて泣かし・・・・ハルトたちはギルドに帰って報酬を受け取った。
「それじゃ、また夜にここに集合って事で・・・俺は風呂に入るから。
いらん事をすんじゃねぇぞ??」
「わ~ってるからさっさと入ってきなさいよね!!!
折角気を使って先にお風呂に入れてあげてるんだから感謝くらいしなさいよ!バカハルト!!!」
「いや、こればっかりはメルトが全力の火炎魔法でハルトを焼き払ったのが原因ですので何も言えないですね。
少しでも一番風呂で気が休まればいいのですが・・・」
「だといいが・・・あと、ハルトがいなければメルトはもっと大変な目に合っていたのかもしれないのだぞ??
メルトの代わりに囮を買って出たハルトに悪いと少しでも思っているのであれば一言だけでも謝るのがいいだろう。
では・・・後ほど。」
そう言って魔王たちは自分たちの部屋に戻り休憩に入った。
「ったく・・・散々な目にあった・・・まさかガチの炎魔法を叩き込まれるとは思いもし――――――――
おい、お前・・・そこで何してんだよ??」
ハルトが風呂から上がって部屋に戻ろうと移動していると・・・廊下に誰かを待っているかのようにメルトがハルトの部屋近くでうろうろとしていた。
「ど、どうして私がこんな・・・・ひゃひ!?は、ハルト・・・・これは・・・ぐ、偶然よ偶然・・・・で、その・・・ハルトの体はもう大丈夫・・・なの??」
「お前のへなちょこ魔法を喰らった程度じゃ問題ねぇよ。
で、お前・・・ホント何しに来たんだ??また悪さか??それとも金を借りに来たのか??何なんだ??」
メルトは照れ臭そうにハルトの体を心配してきたとボソッと呟くと・・・部屋に戻る際に今回の魔法は少しやり過ぎたと謝って部屋に戻って行った。
「何なんだよ・・・アイツ・・・謝りに来たのなら逃げずに言えよな。」
と、ハルトは文句を愚痴りながら部屋に入って時間が来るまで休憩し――――――
頃合いと、リビングに出ると・・・キルりんたちが集まっていた。
「あ、ハルト・・・体は大丈夫ですか??」
「大丈夫だ、少し日焼けし過ぎたみたいにヒリヒリするが特に問題ない。
魔王も言いそびれてたが運んでくれて助かった。」
「いや、こちらこそお礼を・・・いや、その話は流してくれ。
それじゃ、全員集まった事だし酒場で夕食にしようか。」
「待ってました!!!さぁ~今日もじゃんじゃん飲むわよ!!!」
あいも変わらずメルトはいつもの調子で飲む気満々で吠え、酒場に向かうとすぐさまシュゴビーとおつまみセットを頼みがぶ飲みしていた。
「ンゴンゴンゴンゴ・・・・ぷはぁぁくぅぅぅぅ~~~仕事終わりのシュゴビーは最高ね!!!こればっかりはマジで最高ね!!!」
「お前マジで酒とカネにだらしないよな・・・・」
「まぁそう言ってやらなくてもいいじゃないですか・・・・
メルトはこれくらい汚れている方がメルトらしいので。」
「そうだな・・・メルトらしくていいな。
どんよりしたメルトを見ると次の日の天候が気になって仕方なくなるからな。
すまない、私にもシュゴビーを頼めるか??」
「かしこまり~~~少々お待ちくださ~い♪」
魔王も久々にメルトに付き合おうとシュゴビーを頼み、ハルトも負けじとシュゴビーを頼むと・・・3人で酒をかっ喰らう中、1人キルりんは木の実のジュースをすごい音を立てて飲んでいた。
「メルトォ~~~まだですか???トイレで吐くくらい気持ち悪くなるまで飲まないようにってあれほど言ってるのにどうして毎回こうなるまで飲むんですか??
それとも、噂に聞くメルトには学習能力がないと言うのは本当でしたか・・・・」
「おうぇぇぇ・・・んなわけないでしょうが・・・・私にだって考える脳くらい備わってるわよ!!!
ただ・・・冒険者やみんなから飲め飲めって注がれたから仕方なく・・・うぉぉおぉえぇぇ・・・」
「こりゃだいぶかかりそうだな・・・・キルりん・・・悪いがいつものようにメルトを連れて帰って来てくれ。
魔王も少しフラフラしてるから、俺は魔王と帰るから・・・おい、魔王しっかりしろ!!!
さすがに酔わないからって酒瓶10本は飲みすぎだろ・・・・」
「うぅ~~ハルトがこうして助けてくれるって信じてたから沢山飲んじゃったんだ~~~さぁ~ハルト、家に帰ろう・・・・ヒック・・・」
メルト程ではなかったが、魔王は酒に酔い・・・おぼつかない足取りでハルトに支えられながら家に戻り、魔王をベッドに寝かせて部屋を出ようとすると―――――
「なぁ、ハルト・・・もう少し2人が返ってくるまで時間はあるだろ?
――――――――だから2人で楽しい事でもしないか??」
「おい、酒にやられた魔王・・・冗談はそのくらいにしておかねぇと本気で・・・・おいっ!?何で服を脱いでんだよ!?」
魔王は酒で意識が朦朧としているのか・・・冗談なのか本気なのかわからないまま服を脱ぎだしていた。
「どうしたハルト・・・私の体は好みじゃないか???」
「いや、そういう問題じゃない!!!お前は酒で酔ってんだ!!!いつもの冷静なお前ならこんな事をするはずないだろ!!!だからちゃんと服着て寝ろよ!!!」
下着姿の魔王は薄いローブを1枚着てハルトに寄るが、ハルトは酔っている危ない魔王の相手をしていられないと注意だけして部屋から出ると。
魔王は扉越しに話しかけてきた。
「悪いなハルト・・・私は酒の力に頼らなければハルトに強く言い寄る事もできない臆病者なんだ・・・だからどうか今回のことは忘れてくれ、私も寝たら忘れると思うから・・・お休み。」
「ちゃんと服着てから寝ろよ・・・お休み。」
何だか寂しさを漂わせながら扉から離れていく魔王に言う事だけ言ってハルトは自分の部屋に戻ってベッドに横になると・・・騒がしくしながら2人が戻ってきていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます