30日目 不思議な不思議なキノコ

翌朝、誰かが呼ぶ声に目が覚め・・・表へ出て何かの荷物を受け取り中を開けてみると、その中身は昨日受けた依頼者からユキノコ以外のキノコがあったらしく・・・それらを送るとメモに書いてあり、最後の方にはメルトの集めたキノコはユキノコと毒キノコしかなくて困ったと愚痴も書かれていた。


「それにしても・・・このキノコどうしましょうか???

見ると・・・毒キノコやヤバイキノコがありますが・・・・」

「そうだな・・・・毒キノコが混ざってたんだ・・・食べる訳にもいかねぇし廃棄処分だな。」

「そうよね~毒キノコ何て食べられるのはこの中だとハルトだけだもんね・・・・」

「ならば・・・キノコは燃やして廃棄する方がいいな。

地面に埋めると生えてくる種もあると庭師に聞いたことがある。」

と、魔王は箱の中のキノコを暖炉の中に投げ込んで燃やすと・・・・キノコが燃えた拍子にぱちぱちと音を立てて不思議な色を出しながら燃えるのを4人で見ていると・・・・


「なんだ・・・・この匂い・・・頭がくらくらするんだ・・・が―――――」

「ムム??変ですね・・・私、お酒何て飲んだことがないのですが・・・これが例の酔いと言うモノでしょう・・・・・か――――――――」

「なッ!?ちょっと魔王・・アンタ・・・一体何をし・・・た――――――」

「ただキノコを燃やした・・・・・だ・・・だけ―――――――」

部屋の中に満ちていく不思議な香りに包まれ・・・4人はその場に倒れ込み意識を失った。


そして、しばらくしてから目を覚ますと・・・大変な事態になっていた。


「んん・・・・なんだかスッゲェ頭がぼやけて・・・・おい、メルト・・・キルりん・・・魔王・・・大丈夫か???ん?なんだコレ・・・・

――――――――っちょ!?なんじゃこりゃッ!!!!!」

「ん~うっさいわね・・・ハルト・・・何を騒いで・・・・アレ??私の美声が・・・ん?と言うよりハルトの声・・・すぎない??一体なにふざけて・・・・んん!?」

「ん~~どう考えてもこれは私の体ですが・・・ですが!!おかしいッ!!

あるはずのないがぶら下がっているなんてこれはどういった悪夢ですか!?」

「ふむ・・・・目覚めてみればキノコの臭いは無くなっていたが・・・体がになっているとはな・・・世の中には不思議なキノコもあったものだな。」

メルトや魔王たちは体が男性に・・・そして自分の体は女へと性転換しており、

体に合ったはずのモノが無くなり、代わりにあるはずのないモノが2つ付いていた。


「どうすんだよコレ!?俺、このまま女として生きるなんて嫌だぞ!!!」

「それはこっちのセリフよ!!!原因はどう考えてもあのキノコの香りだと思うけど・・・全部炭になっちゃったし効果が切れるまでこのままか同じ効果のキノコを探して使うしかなさそうだけど・・・キルりんは性転換するキノコの情報とか何か知らないの??」

「そうですねぇ・・・私の事はキルおと読んで下さい!!何だかこの姿でキルりんは少しだけ恥ずかしいので・・・キノコの話に戻りますが、性転換するキノコは聞いたことがあります。

名前はと言って、そのキノコは大変貴重で・・・アサシンの世界では対象の性別によって使い分けて近づき暗殺する際に使用するキノコで使用用途は半分は変化用でもう半分を元に戻る用で切り分けて使うのですが・・・この場合だと元に戻る用がないので買うか山で探す必要がありますね・・いやぁまさか燃やしたキノコの中に紛れていたとは・・・・私がもう少し細かく見ておくべきでしたね。」

「だが・・・性転換も悪いものではないぞ??

この男の体は思ったより動きやすくていいものだ!!

それに邪魔な胸がないだけ色々と楽だぞ。」

魔王の発言に代わり映えしない胸を見てキルおは絶句し・・・メルトはこちらをずっと見つめていた――――――


「な、なんだよ・・・ずっと見つめやがって・・・何か変なとこでもあるのかよ?」

「いや、ハルトって・・・性転換したら割と私と比べたら天と地ほど差があるけどカワイイと思って・・・・2人はハルトをどう思う??」

「そうですねぇ・・・そう言われてみれば可憐な花の如く、のハルトよりも好印象がありますね!!!」

「そうだな・・・言われてみれば男のワイルドさが抜けて女性の美というものが溢れ出ているな。」

男の時とは違って女の時の方が評価が高く・・・なんだか内心モヤモヤしながら酒場に行って朝食を食べようと注文した際、見知らぬ客が来たように扱われ・・・ウェイトレスの対応がいつもより良く・・・魔王やメルトたちをずっと見つめており、俺の方はというと酒場にいつもいる顔見知りの男たちの視線を集め・・・さらに言葉にできないモヤモヤを抱えながら朝食を済ませ、カワルダケを探しに森の中へと入って行った。


「朝に届いた箱に同封してあったメモには・・・毒キノコの割合が多かったのはメルトだと書いてありましたが・・・・メルトは1人で収穫に移動したと思うのですがどの辺で収穫したのですか???」

「私は・・・昨日、森奥に移動してから適当にキノコがあったら取りまくってたからそんなのお覚えてるわけないじゃない。

でも、場所くらいなら案内できるわよ。

だって・・・そこでと出会ったんだから・・・・」

案内しながら話すメルトのヤツというフレーズに対して、キルおにテングダケの用意をするようにと言うと・・・キルおはすでに赤いキノコをポケットから出して握りしめていた。


「あったわよ・・・私はあそこでキノコを採ってたの。」

「なんだ・・・辺り一面キノコだらけじゃねぇか!?」

「しかも大体が毒キノコ・・・・よく無事にメルトは採取できましたね・・・」

「この中から、さっき言っていた性転換キノコを見つけ出せばいいのだな?

――――――――そうと決まればすぐに探すとしよう。」

各自散会し、カワルダケ(性転換キノコ)を探していると・・・木の上にはモスマンがこちらの様子を不思議そうに見ており、面倒なことが起きる前にキルおにテングダケで追い払うように指示して見せると・・・モスマンは見ただけで逃げ帰って行った。


そして、探し始めてから1時間・・・・・


「手掛かりはキルおの覚えてたイメージ図だけで・・・こんなんで本当に見つかるのかよ・・・・」

「つべこべ言ってないで探しなさいよッ!!!私が元に戻れなくてもいいって言うの!?まったく――――――」

「私は別に元に戻ったとしても胸が変わらないのでもはやどちらでも平気ですが・・・・ははははは・・・・」

「キルおは大丈夫なのか??なんだか目が虚ろで毒キノコを食べそうになっているが止めなくていいのか??」

キルおを止めようと近づくが・・・キルおは手に持った毒キノコを地面に叩きつけて怒りをバネに再起動しカワルダケを探し始め、これは手に負えないと感じ・・・・・キルおたちから離れて探し始めた―――――――


「――――――にしても・・・いつになったら本命のキノコが出てくるんだ???

コレでもないよなぁ・・・んん?あそこに見えるのは・・・アレじゃないのか??だが・・・・どう考えても届かないよな――――――」

キルおの手書きの絵と照らし合わせると、見えたキノコはまさしくカワルダケであったが・・・そのキノコを採ろうにも位置が高く届かない場所にあったため・・・メルトたちを呼び出して案を出しあうことにした。


「アレだけの高さなのなら・・・いっそこの辺りを吹き飛ばして落とすってのはどう??」

「却下だ!!!やっと見つけたキノコなんだぞ??そんな雑にできるわけないだろうが!!!キルお、魔王は何かいい案はないか??」

「そうですね・・・アレだけの高さだと上るのも大変ですね・・・・」

「そんなことか、それだったら私が行ってこよう。

私の翼であればあれくらいの高さなら問題ない。」

そう言うと魔王は翼をバサリと広げ、地面を蹴り上げて飛び立ち・・・キノコを採って戻ってきた。


「キノコはこれで間違いないか??」

「そうですね、記憶はあやふやですがコレで間違いないはずです。」

「何かだ不安な言い方ね・・・でも、コレで元に戻れるのだったら試す価値はありそうね!!!さっさと戻って焼いてみましょうよ!!!」

メルトは一刻も早く元の姿に戻りたいらしく、急かされるように家に戻って暖炉にキノコの半分を投げ入れると・・・あの時に嗅いだ不思議な臭いが部屋に充満し、意識を持っていかれ・・・目を覚ますと、体のあちこちを触って確認すると元の体に戻っていた。


「よっしゃぁぁぁ!!!元に戻った!!!!」

「んん・・・体はッ!?・・・良かったぁ・・・私の柔らかな胸にお尻が戻ったぁ・・・・もう二度とあんな思いは御免よ!!!」

「私も元に戻ったが・・・キルりんが少し落ち込んでいないか??」

「元には戻りましたが・・・・ある部分が微動だにしていない点について話しましょうか???6時間程度は話せますよ???」

キルりんはをモミモミしながら半泣き状態で確認し・・・残った半分のキノコを見つめていた―――――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る