『手』

どこからか聞こえてきた、楽しそうな歌声が、私の意識を紙から引き離した。

途端に、右手にシャープペンシルを握り、解かせる気が無いとさえ感じるテストに向かっているのが馬鹿馬鹿しくなった。

私は何のために固いシャープペンシルで手を痛めているのだろう。

私の手は表現する為にあるのに。

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