スキルプレゼンター
「さてと、こんなもんでいいんじゃない?」
そう言って壱花が伸びをする。
「それもそうだね。そろそろ休憩にしようか」
ニコリと爽やかに笑う、勇輝。
「ふう…疲れたよ…休憩するの賛成…」
近場の岩に座って、パタパタと手で首元を扇いでいる双葉。
「いや、ほんとありがとう。助かるよ」
一葉はそんなパーティーメンバー達に礼を言う。
「ははっ、気にしないでくれ。僕達は仲間なんだから」
「そうだぞ!宗賀!くくくっ!そうだぞ宗賀ってなんか面白い!」
「そうでもないよ、壱花。ごめんね、宗賀君。壱花、名前で遊ぶなんて失礼だよ!」
一葉はそんな仲間達の優しさに、軽く涙する。
そんな一葉のステータスはこちらだ。
◇◇◇◇◇◇
名:ソウガ・イチヨウ[♂]
Lv.12
HP:70 MP:52
ST:54 DF:48
MA:37 MD:26
AG:64
スキル:【スキルクリエイト】【諸刃の砦の影】【二連半分】【反復ザード】【剣術Lv.5】【盾術Lv.12】【
SP:110
◇◇◇◇◇◇
(んー、これだけ溜まってたらアレできるかもな…でも、この世界でも再現できるのかな?)
そう考えながらも、一葉は必要なスキルを習得していく。
◇◇◇◇◇◇
名:ソウガ・イチヨウ[♂]
Lv.12
HP:70 MP:52
ST:54 DF:48
MA:37 MD:26
AG:64
スキル:【スキルクリエイト】【諸刃の砦の影】【二連半分】【反復ザード】【剣術Lv.5】【盾術Lv.12】【
【空間魔法Lv.4】【重力魔法Lv.10】
SP:3
◇◇◇◇◇◇
「宗賀君、何をしているんだい?」
「ん?スキルを作ってるんだよ」
勇輝が興味深そうに見てきていたので、一葉はそう答える。
すると、勇輝は目を見開くと一葉の肩を掴む。
「スキルを作れるのかい!?それはどのくらいSPを使ったのか教えてくれないかな!?」
「ちょ、痛い痛い。それにこれは元々持っていたスキルだから習得できないと思うよ」
一葉がそう言うと、あからさまにがっかりとする勇輝が可哀想になった、一葉は、スキルを作ってあげることにした。
一葉は剣術スキル【
【斬飛・凍式】の効果は、飛ぶ斬撃を放ち、その着弾点を凍らせる、というシンプルなものだった。
「志城君、これをあげるよ」
一葉は【斬飛・凍式】を勇輝に譲渡する。
譲渡と言うより、コピーして渡すという感覚に近いだろう。
勇輝はそのスキルを見ると、目を輝かせる。その様子は、さながら新しい玩具を買い与えられた子供のように輝いていた。
「えっ!本当に貰ってもいいのかい?」
「うん、お世話になってるからね。そのお礼だとでも思ってよ」
「宗賀君…!ありがとう!大事に使わせてもらうよ!」
スキルに大事に使うもなにもないと思うのだが、一葉はそう思ったがあまりにも嬉しそうな勇輝の姿を見て、その言葉は胸にしまっておくことに決めたのであった。
「ずるい…」
「うわっ!びっくりした…なに、どうしたのさ」
「なんで勇輝ばっかり貰ってんの!ずるい!私にも!」
そう言って、ジタバタと駄々を
「ええ…面倒くさいなあ…」
「やーだー!作ってー!作ってよー!」
遂には泣き出してしまった。
一葉はそんな壱花を見て、頭痛を覚える。
「はあ…仕方ないな。中島さんはどんなスキルが欲しいの?」
「えっ、マジで?いいの?」
先程までの涙はどうしたのか、ケロッとした顔をしている壱花を見て、一葉は自分の中で何か暗いものが育つのがわかった。
「んー…じゃあ、強いのがいいな!」
「…あまり聞きたくないけど具体的には?」
「えっとねー、『スキルを使った!…相手は死ぬ!』みたいなやつ!」
「却下だ!そもそもこのレベル帯でそんなもん作れるかよ」
少なくともそんなスキルは最低でもレベル60以上で、尚且つ必須スキルのみを取得して初めて作れるようなものだ。
一葉に却下された壱花は「むむむ…」と頭を抑えながら考え込んでいた。
「で、双葉さんは何か欲しいスキルある?」
「えっ、私?いいの?」
「別にいいよ、お世話になったのは本当だし」
「うふふ、それじゃ、貰っちゃおっかな」
そう言って上品に笑う双葉を見て、一葉は頬を赤く染める。
しかし、次の瞬間突き刺さる視線。
ギギギ、と音が聞こえそうなほどゆっくり振り向くとクラスの男連中_通称【双葉ファンクラブ】のメンバーの『お前何やってんの?抜け駆け?許さないよ?』的な視線を向けられていることに気がつく。
一葉はそんな視線を_
「さっ!双葉さん!どういうのがいい!?」
「えっ…じゃあ魔法系がいいな」
「魔法系ね!オッケー!待ってて!」
見なかったことにした。
一葉は急いで【スキルクリエイト】を発動すると、【重力魔法】と【凍結魔法】をクリエイトして、オリジナルスキル【グラビティアイス】を生み出す。
効果は、対象を凍らせて重力で圧殺、もしくは粉殺する、というものだった。
「さ!どうぞ!で、中島さんは決まったかな!?」
「んえー…じゃあ、槍系で強いのがいい」
「槍スキルは取ってないから無理かな!」
「じゃあ宗賀が使ってた、あの速くなるやつ」
なんと壱花はあろうことか【諸刃の砦の影】を所望したのだった。
普段の一葉ならこんな頼み、却下しただろう。
しかし、今の一葉は違った。焦っていたのだ。
その結果、一葉は【諸刃の砦の影】を壱花に渡してしまった。
これが後に、問題を引き起こすとも知らずに…
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