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「蘭子さーん、大丈夫ですか?」
「だいじょぶよ」
「だいじょばないですね」
「私に触らないで頂戴」
「ちょっと、危ないですから」
「やだ、もっと飲む」
「ダメです、もうフラフラじゃないですか。タクシー来ましたから行きますよ」
「やだぁ」
フラフラの蘭子さんに肩を貸して、半ば無理やりに車に突っ込む。俺が浩太郎さんの番号を知っていたら良かったのに。あの人、頑として番号を教えなかった。こんなにフラフラで一人で歩いて帰らせられないのに。
飲んだくれて眠ってしまいそうな蘭子さんは最後まで言わなかったが、多分、これは現実逃避。浩太郎さんに彼女が出来てしまったかもしれないことの。でも確認するのは怖くて出来ないし、かといって蘭子さんから告白することも出来ない。
詰んでしまったらもう、目を耳を塞いで逃避するしかない。気持ちはわかるが、見ている方は辛いものがある。慰めは出来るけど、最後は自分で見つめて聞かないといけないから。
どうか蘭子さんに安息が訪れますように、と祈ることしか俺には出来ない。
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