夢日記 ~滑空する青年~
倫華
〈 Ø 〉Players' regret is in the diary
Prologue 〜二つの古い日記〜
僕の古い日記の最後のページには、こう書かれている。
『もし、あのとき止めていれば、アイツは、皆はあんな目に合ってないはずだ。なんであっちの世界でも、現実世界でも助けてやれなかったのだろう。早くゴルド国の反乱に気付けたら、もっと早く、世界政府の派遣人だと皆に言っていたら、アイツは死ななかったのに!僕は何をしていたのだろう。なんであっちの世界で嫉妬して、現実世界で助けてやれなかったんだ』
パタン、と友人は僕の日記を閉じた。
「本当に、夢の中でタイムスリップしてたんですね 」
「あぁ。これで信じてくれたかい? 」
「はい 」
彼女は、もう一度日記を開けて、じっと見つめ始めた。恐らく、最後のページの左端にある、涙が乾いた後を見ているのだろう。
「質問していいですか? 」
彼女は、真顔で僕に聞いた。僕はいいよ、と答えた。パタン、とまた閉じる音がした。すると、彼女は椅子から立ち上がり、それを僕に渡した。
「日記によく出てくる、アイツとは誰ですか? 」
「彼は、髙橋 青紀(たかはし はるき)君。僕の同級生だよ 」
「その……髙橋さんもタイムスリップしていたんですか? 」
「うん。彼は、フルーク国という国で、飛行船の操縦をしていたんだ 」
「っ! 飛行船ってもしかして……!」彼女は、バンっ!と、机の前に身を乗り出した。
「そうさ。今、伝説になっている、あの飛行船だよ 」
「あの、もっと教えてくれませんか? 」
瞳は真っ直ぐで、僕の姿を映す。真剣な表情だ。
「彼の日記を持っているから、それを読むといいよ 」
僕は、引き出しの中から、年季の入った茶色の革のレザーカバーを付けた日記を取り出した。
「……実は、まだ僕はこの日記を読んでないんだ。だから、変わりに読んで欲しいんだ 」
「はい……分かりました 」彼女は恐る恐るそれを受け取った。
「読ませて頂きます 」
彼女は、もう一度椅子に座り、ページを開け、読み始めた。
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