第37話 私がこの世に了解もなく生まれたその日、女は母になった




まあもう2年くらいたつわけですけども、母親が亡くなってから。

ふと思い出したので、備忘録もかねてちょっと書いとこうかなぁ、と。


私の母親は、自分では気づいてなかったようですが、

私にとってはどっちかって言ったら毒親よりで、

罵倒とかはされてなかったように思いますが、

ネグレクト傾向にあったのかなぁと、今でも思ってますけど。


私が若くして事故って、その後結婚のため家を出ましたが、

たとえあのとき事故ってなくても、

早く家を出たんじゃないかと、これは推測ですが思ってます。


で、私の方がなんだかんだあって離婚・再婚で、親と一緒に暮らしたのは、

人生の半分よりも少なくて、その後母親は、

最終的には白質脳症からの寝たきりでしたが、

その白質脳症だと言う診断結果が出るまでには、

これまたドクターショッピングが続き、

私何回も、こっち来て大きな大学病院で検査した方が良いからと言って、

父親が根負けして、こっちの有名な大学病院に診断されて、

白質脳症だとわかったんですが。


それまでは認知症だと言われてましたが、その先生には悪いんですが、

まだ白質脳症が一般化されていない時期でしたからね。


私もうろ覚えで、確か何回か検査とか一緒に行った記憶があるんですが、

もううちに来たときははっきり言ってよく漏らしてたんですよね、大の方を。


病院行ったときもやっぱり粗相しちゃって、

じゃあ多目的トイレで私が母親を連れて「処理」しましたが。


ここからは生々しい言葉がちらほら出るかもしれませんので、

避けたい方は回れ右推奨です。


まず手すりに立たせてズボンを下ろし、

パンツも下ろしてこんもり「粗相した」ものを脱がし、

ああもう細かいところは覚えてないや・・・

そのときパンツ履いてたのか、それともおむつだったのかはっきりしませんが、

手すりにつかまって立ってて、と言った私の言葉に母親は何か言ったのか、

それとも無言だったのか、それもはっきりしませんが、大便を拭いては流し、

拭いては流しの繰り返しで、

ようやくとりあえずざっときれいになったかなと思って、

それから予備のパンツorおむつを履かせようと思って、

後ろ向きに立ってる母親の片足を片方ずつ上げさせて履かせたんですが、

その前、大便を処理していたときに、まじまじと見たわけじゃないんですが、

ああ私はこの「穴」から生まれ落ちて今に至るんだなぁ、と、ふと思ったわけです。


もうとっくに死んでしまった母親で、今でも毒親よりだと思ってて、

私は生まれてきたくなかった社会不適合者で、若くして右麻痺で、

それでも一応子供を産み、おむつの世話のまねごととかを一通りしてきたんで、

親と子供をいっしょくたにまとめるのイヤなんですが、応用で処理できたのかな、

と思ってますが、もう一度if系の話を許していただけるなら、ひとこと。


私は産まなくていいから。

水子が何人かいたんだよね?

親の気持ちもわかるけどそれでも、私はもう生まれてきたくない。

私を作った精子と卵子、別の精子が、もっと生まれてきたくて、

それでも生きることができなかった精子に、この生命をあげるから。


今度はそうしてください。

私はもう生きてくこと自体のほうが苦痛なんです・・・



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