第7話 雨ふる中でいつも気になっていた着物屋さんの店員さんに

声かけられたんですよね。


おとといは某ゲーム会社主催なのか?でも協賛はしてたっぽいから、

そのね、BGMを、オーケストラでやろう!ってのに行ってましてね。


あれはパイプオルガンないとムリ!

でもパイプオルガンが鳴るともう、むしろそれだけでいいと思ってしまう、

おバカですがなにか?


最初から話がどっかいっちゃってましたが、慣れてください。


いつも行くプチプライスな洋服屋さんに行ったんですよ。

私が洋服屋さんに行くっていうのは、おしゃれしたいとかじゃないんです。


いつも着てる服の穴っぽこが大きくなってきたとか、

ようするに切羽詰まった時しか行かないんです。


そこ、あれ、なんていうんですかね、4階建てのビルに、

いろんな店がテナントで入ってる、って言えばいいんですかね?


その服屋さんではめぼしいものがなく、隣の100均にもめぼしいものはなく、

その隣に着物屋さんがあるんですよ。


私着物自体が好きで、好きというか興味を持って、毎回見てるんですけど、

その「気持ち」の中に、私ひとりでは絶対着られないな、っていう、

確信めいた気持ちも実際あるんです。


あるにもかかわらず、「興味があるから」見てたんですが、

今日なんと声かけてきたんです。


私ね、印籠あるから大丈夫、って思ってました。

印籠というのは例えです。

元ネタは黄門様の印籠ね。

私の場合は身体障害者手帳。


それがあるから大丈夫だ、って。


でもね、「本人」と、「私のことを全く知らない他人」の間にある溝、

っていうのがあったんだなあと、改めて思いました。


「私のことを全く知らない他人」ですから、着物を勧めてくるんです。

でも、私着れません、右麻痺なんで、と言ったら、

「右麻痺」という言葉を理解させるのに時間かかりました。


まあ今考えれば、当然っちゃ当然でしょう、その「私のことを全く知らない他人」は、

「私」のことを、何も問題ない、私たちと同じ人間だと無意識に思い込んでるんですから。


なので左手(良いほうの手)で右手をもんでみたり、

「右麻痺ってことは足も・・・?」と言われたので、

私が歩き去っていく後姿を見せ、

右足が「なんかヘン」「なんか常人とは違う動きしてる」感をやんわり味合わせたんですが。


最後にアンケートなるものを書いてきたんですけど、

私、ここにいる皆様は知ってるかとは思いますが、

もともと元気だったころは利き手が右手だったのを、

その右手がツブれたからしようがなく使ってる左手で書いてきたわけです。


なんていうか、20ウン年書いてきてるのにスゴい下手な字を。


今世の中はおおむね便利ですね、スマホ、タブレット、PCありますから。

唯一ダメなのが、手書きなんです、私。


プラスひとまえになんか出ちゃってるもんですから、二次障害的に、

汗はかくわ、トンチンカンなことしゃべってるわで・・・


あの時のおにいさん、おねえさん、ゴメンなさいね。

私ああも親身になって声かけられると、ダメなようです。


そしてこれは無理な話ですが、一見障害者ではない人が、

実は障害者なんだという気づきになってください。


これは差別でも偏見でもありませんが、例えば私が車いすに乗ってたら、

店員さんは声かけてきただろうか?という疑問が出ます。


ここに店員さんにも私にも「めんどくさい世界」が生まれるんですよね・・・



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