第17詩 眠れる姫の物語



森の奥に一人眠っている姫の噂があるだろ


その噂の続きなんだが・・


夜な夜な夜の森を彷徨っているって話があるんだ


寝ているのにだ それとも夜に起きてるのかね


とにかく その夜の森で彷徨っている姫に会った奴の話さ


そいつはどこにでもいる木こりだったんだ


最近そいつの稼ぎが悪くてよ 


奥にある質のいい木を切ろうと奥まで行っちまいやがったんだ


そして夜になっちまった 間抜けな奴だよな


で そいつは太陽の沈んだ月明かりだけが頼りの森で出くわしたんだ


まるで魔女みてえな格好の女だったらしい


だがたいそう美人で つい話しかけちまったんだ


こんな夜の森で 一人彷徨っている魔女みたいな女にだ


そいつも夜の森に心細かったのもあるんだろう


こんな森の奥で 夜中になにをしているのか聞いたらしい


そしたらそいつは言ったんだ


ここは森じゃないってな


どういう意味か分かるか?


ここは森じゃない 地獄の入り口だ


私はその入り口でずっとある人を待っているらしい


だが 不幸な事にその様子を誰にも見られてはいけないらしいんだ


それで 女の顔がこちらを見て薄気味悪く笑ったらしい


木こりは腰が抜けて地面に尻餅をつきやがった


間抜けな奴だよな


そして女は言ったんだ


死にたくなければ この話を別の男に話せ


そうすればお前の命は助けてやろう


そして木こりは慌てて町に帰ってきたんだとよ


その話をうっかり聞いちまった奴がいるらしい


ほんと 間抜けな話があるもんだよな


おい いきなり立ち上がってどうしたんだ?


青い顔してよ まあここの酒の支払いはしといてやるよ


俺のおごりだ 今 気分が良くなったからよ


どこかに行っちまいやがった


まったく 間抜けな話だ

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