第15詩 ワイヤー



久しぶりの再開 笑顔


映画を見る 食事をする 他にはワイヤーだけ


始まる前は何を恐れているのだろう 遠くで遊ぶ公園の淵で


絶えまなく続く喧騒の中で 僕たちは何とか生きてきた


静かな音楽も 激しい音階も どっちも好きだった


通り過ぎる人々を見ながら立ち尽くす


自分は今どこにいるのかわからない


まるで盲目の人だ そう思うとき盲目の人に失礼だと同時に思う


結局は笑顔にすがる自分が恥ずかしくて 悲しくて


強く生きたいと思いながらも


ワイヤーが外れた自分の手はどこを掴めばいいのか


遠くに行ったと錯覚する頭の中の砂漠で


水が枯渇する苦しみに耐えきれなくて見えないワイヤーに手を伸ばす


掴んだと思ったら結局はそれは映画の一場面 さっきの続きだ


食事をする君の笑顔はとても眩しくて


口の中に命をほおばって そこにはワイヤーは繋がっていない


さすればそれは一つの繋がる奇跡と思い 自分にはその軌跡が途切れたまま


自虐史観にうんざりする自分の頭の中はまだ砂漠だ


繋がっているとも知らないワイヤーを探す旅を続ける



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