第13詩 光



一筋の光が暗闇にさす


それは暗闇の住人にとっては待ちに待った一筋の希望


たとえそれが紛い物の光であったとしても


暗闇の住人にとってはそれは待ち焦がれた光には変わらないのだ


やがて時がたち光が失われた時 その光をまた切望するもの


或いはその光を求めるがあまり憎むもの 


或いは愉快に思うもの


それぞれの思い それはとても純粋で 故に 汚くもあるのだ


光を求めるがあまり その瞳は曇り やがて何も見えなくなるものもいるだろう


だが やはり光は尊いものだ


暗闇の住人はいつまでも いつまでも光が射すのを待っている


いつか光差す向こう側に行けると信じて 


たとえその先にまた暗闇があったとしても


またそこで光は差し続けるのだ それが 生きると言う事なのだろうか


いつか光は止み 何も照らしてくれなくなっても


光はある


次は自分自身が 光を求めるものに 自分に照らすことのできない光を


求めるものに与えるのだ それは他人にしかできない尊いものだから


決して自分では輝けなくとも 照らす光は誰もが持っている


その光は紛い物でも良いのだ たとえ偽物の光であっても


それを求めるものがやがて本物の光へと赴くために


光は照らされるべきなのだ


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