片想いの恋人〜この手は心に、届かない。〜

雪波 希音

Lie 1

プロローグ

 交際中の恋人がいる。

 けれど、私は知っているの。


 彼の帰りが遅い理由を。



「好きだよ」



 ――嘘吐き。


 そんな言葉、他のひとにも言ってるんでしょう?



「私も好き」



 渦巻く思いを飲み込んで、キスを交わす。

 鼻腔をくすぐる甘い香水の香り。





 私は、今日も「片想い」だ。

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