八 元カレ・吉井の証言
君が瀬原くん? 初めまして、吉井です。え、なんで知ってるかって? 君、ちょっと有名だよ。三原のこと探ってる男って。そろそろ俺にも話がくるって思ってたんだ。で、なに? 君も三原のこと好きなの? ……うわぁ、そんな嫌そうな顔するなよ。怒らせちゃった? ごめんごめん。でも、そう聞かれて怒るヤツ、初めて見たよ。ほら、三原ってあの顔だろ? 愛想はないけどさ、あんだけ美人だからモテるんだよ。で、俺には何を聞きにきたわけ? ……三原が失恋、ねぇ。ふーん、ついにか。ん? 何か知ってるのかって? そりゃもちろん、元カレですから。俺さ、元々三橋と仲良くて、最初は三橋のこと狙ってたんだよね。でも、三橋は俺と三原をくっつけようとしててさ。でも三原は俺のことなんて眼中なかったし、三橋の思惑通りには上手くいかなかったってわけ。それなのにある日さ、三原の方から「付き合わない?」って言われて。すごい驚いたよ。何か裏がありそうなのは分かってた。だって、三原は俺のこと好きじゃないって分かってたし。でも、俺は了承したんだ。三原、美人だしさ。それに、そのときは三橋よりも三原の方が気になり始めてたから。三橋、それはもう喜んでてな。俺と三原も、相性いいっていうか、お互い上手くはいってたと思う。……でもさ、三年の夏くらいに、振られたんだ。理由聞きたい? じゃあ特別に教えてやるよ。「当てつけのつもりであんたと付き合った。ごめんなさい。もう自分の気持ちに嘘はつけない」って。どういう意味か分かる? 分からないよねぇ。でも、俺は分かったんだ。分かった上で、別れた。でもさ、俺はそのときにはあいつのこと結構好きで、だから流石に俺もプチンときて、つい言っちゃったんだ。「きっとみんなからお前の恋は笑われるよ」ってな。……俺が言えるのはここまでだよ。……ん? もしかしてなんか怒ってる? 別に君に対しては何も言ってないはずなんだけど。おかしいなぁ。……なんていうか君、似てるね、三原に。そういう、何もかも諦めてる感じっていうか、そういうところ。きっと君と三原は、話が合うんじゃないかな。
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