七 同中・田端の証言

……あ、すみません、じっと見ちゃって。いま、三橋さんと三原さんの話してましたよね。え、あ、すみません、自己紹介もせずに。僕、田端って言います。三橋さんと同じクラスで、あの二人と同じ中学でして……。あ、あなたは瀬原くんって言うんですね。どうも。あの、すみません、聞いてしまったんですけど……瀬原くん、三原さんのことを調べてるんですか? ああ、やっぱり……。え、何か知ってるのかって? ……実は、僕、中学のときに三原さんと喋ったことがあって。お互い図書委員で、図書室で仕事していたときのことで。三橋さんが遊びに来てて、その、三原さんがあまりにも優しい顔で三橋さんを見つめてるもんだから、僕つい、「三橋さんのこと好きなんだね」って言って、そしたら彼女、急に無表情になって……「好きだけど、同じくらい嫌い」って……。どういう意味かは、よく分からなかったけど。二人は大親友って有名だったから、僕、あの言葉がいまだに信じられなくて……。他に何か知ってるかって? ああ、えっと、そういえば、三原さんに彼氏がいたんです。同じ中学で。いま、僕と同じクラスの吉井って人なんですけど。確か、三橋さんの紹介で付き合ったって……だから三橋さんとも仲いいみたいで。あ、もちろん、もう別れてますよ。受験期に別れてました。結構お似合いだったから、なんで別れたのかなぁって噂になったこともあって……。あ、こんな話でお役に立てましたか? ああ、なら良かった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る