第511話 上陸!惑星デンエン

 アオイ:惑星デンエンの巨獣チュンガルーダとその眷属達による抗争・・・じゃなかった!空襲・・・失礼しました!狩のため上陸出来なかったアリスさん一行。あれから上陸できるまでに3日間空港で足止めされていたそうで、今日ようやく上陸出来たのです。


 魔界時間12:58 惑星デンエン農業組合前


 ぽてと:ぷや〜っ!やっと地上に来られたっす〜♪


 千夜:今年はまた派手に暴れましたねぇ。


 アリス:もはや災害レベルだね。


 千夜:今年は派手にやってましたが、実はこれがこの星の生態系バランス保持と農家の方達を助ける事になるんですよ。


 アリス:どういう事ですか?


 ジャガイモ?を見付けるぽてと


 ぽてと:あ〜、ジャガイモっす〜♡


 千夜:彼処あそこに見える鉄錬山てつれんざんは現在でも活動する活火山で毎年この時期に噴火して溶岩があちこちに飛散するのですが、魔界宇宙で2番目に硬いアダマンタイト鉱石で出来た掘削機くっさくきも通用しないため。それを砕けるのは最高純度ダークマター鉱石で出来たものでないと割れないんです。


 アリス:ダークマター鉱石って最高純度だと1グラムでも超大国1年分の平均国家予算に匹敵する額なんですよね?


 千夜:はい。そのため、毎年特注で購入していたら国が破産してしまいます。ですが、チュンガルーダとその眷属達は溶岩の弱い部分を熟知しているので彼等は簡単に割ってしまうんです。


 アリス:農家の人達を助ける理由は分かりましたけど、生態系バランス保持っていうのは?


 千夜:クラフトワームの眷属カントリーワームは繁殖力が凄く、1年放置しただけで星の地下を埋め尽くし作物が育たなくなってしまうのです。


 アリス:そこに天敵のチュンガルーダとその眷属達がか狩りをする事で生態系バランスを保ってるんだ。 


 ぽてと:美味しそうっす〜♡


 千夜:そうです、毎年半分の数だけ捕食する事で豊かな大地が守られてるのです。しかもカントリーワームは溶岩の下を住処にする習性があるので・・・


 アリス:溶岩の撤去と生態系バランス保持の一石二鳥ってわけかぁ。


 ぽてと:いっだきま〜・・・


 口を開けるぽてと


 千夜:はい・・・あっ!ぽてとちゃん、それはジャガイモじゃな・・・


 ぽてと:パクン!


 泣きそうになるぽてと


 ぽてと:うや〜、ジャガイモじゃないっす〜。


 千夜:それはマッシュドボアといういのしし種の魔獣除けのトラップよ。


 アリス:ジャガイモじゃないんですか?


 千夜:あれは一見するとジャガイモに見えますが、イモモドキミョウガというミョウガなんですよ。見分けるコツはこの芽の部分の色です、水色になってるのが分かりますか?


 アリス:あ、ホントだ。


 千夜:このイモモドキミョウガにはミョウガ特有の酸味のある匂いはしません。切ったり、ぽてとちゃんの様に丸かじりして初めて匂いが出ます。そのままだとジャガイモの擬臭ぎしゅうを放ち外敵を誘き寄せるんですよ。


 アリス:これって自然界にあるものじゃありませんよね?


 千夜:ええ、陛下も国土争奪戦争で対戦した偉人、青木昆陽あおきこんようさんが長年マッシュドボアに悩まされていたこの星のために我が国の農芸大学の研究チームと共同開発して出来た品種です。


 アリス:これって食用なんですか?


 千夜:はい、美味しくいただけますよ♪


 ミョウガの味を消す勢いで倍の量のジャガイモをむさぼるぽてと


 アリス:ぽてとちゃんミョウガが苦手だったりします?


 千夜:カールトンの赤ちゃんの味覚には合わないんですよ。成獣になれば好んで食べる様になりますけど。あ、因みに赤ちゃんの時に食べても害はありませからご安心を♪


 組合職員:お待たせしました、組合長がお会いになられます。


 千夜:それじゃあ行きましょうか。


 アリス&ぽてと:ハ〜イ♪


 次回へ続く・・・




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