第358話決戦!国際裁判

 アオイ:動かぬ証拠と証人を携え遂に国際裁判が開廷となります。果たして勝敗の行方は?それでは358話スタートです!


 魔界時間10:00 シーラント諸島連合国首都トワイライト島 最高裁判所


 閻魔大王:それではこれより、国際裁判を開廷します。


 ガーランド大使:ちょ、ちょっと待ってください!これはトワイライトマリンランド側のアトラクション整備不良事故による民事裁判でしょう?それが何故閻魔殿が判事をする国際裁判なのですか!


 閻魔大王:地獄界検察庁検事による調査の結果、整備不良による事故ではないと判明したのが理由の1つ。


 ガーランド大使:だとしても、私とは関係はないでしょうに。私も暇ではないのです。帰らせてもらいますぞ!


 法廷を去ろうとするガーランド大使


 閻魔大王:ガーランド大使、我々閻魔族は国際裁判の判事を務める時に限り天界大帝、魔界帝王様の御二方と同じ法的権限が与えられております。勝手な退廷はご遠慮ねがいましょう。


 ガーランド大使:うぅ。


 閻魔大王:それでは検察側、事件の説明を。


 結衣:これは4日前にトワイライトマリンランドのバンジーアトラクションで起こった事故が発端です。国際裁判に至った理由はバンジーアトラクションで使用されているゴムが刃物で傷が付けられていた事が発覚した事にあります。


 閻魔大王:検察側の調書にもありましたが、そのゴムは通常の刃物では切断はおろか、傷を付ける事すら不可能でしたね?


 結衣:はい。被告人・・・いえ、ゴムに傷を付けた刃物の正体からもう被告人とは呼べません。トワイライトマリンランド社長カルロス・ヒューズマンさん。あのゴムの素材を教えてはもらえませんか?


 証言台に立つカルロス


 カルロス:はい。あのゴムには微量のダークマター鉱石が混ぜられています。そのため熱せられた状態なら加工自体はアダマンタイト鉱石で出来た刃物で出来ますが、実際切断するとなると純正オリハルコン鉱石で出来た刃物でないと不可能なのです。


 結衣:その後4界警のゲン・サトウ警部の協力による再調査でそれが発覚しました。


 ガーランド大使:それが何だというのです?


 結衣:不自然なんですよ。4界宇宙国際法でダークマター鉱石は魔界宇宙から、オリハルコン鉱石は天界宇宙から持ち出す事が禁じられているのに『この国にオリハルコン鉱石の痕跡がある事』自体が。


 ガーランド大使:だから何だというのです?


 結衣:まだわかりませんか?ダークマター鉱石もオリハルコン鉱石も民間人には『絶対に入手出来ない』のですよ。『宇宙中央政府の誰かが横流ししない限り』


 ガーランド:それが私だと?


 結衣:この国でオリハルコン鉱石を横流し出来るのは貴方しかいないんですよ。天界総領事館大使の貴方しかね。


 閻魔大王:ガーランド大使がそうだとして、根拠はあるのですか?


 1枚の小切手を出す結衣


 ガーランド大使:(あ、あれは!)


 結衣:これはカルロスさんにトワイライトマリンランドの土地を売却するように迫った際、貴方がこれを出して『この土地を売ってほしい。これに好きな金額を書きたまえ』と言ったそうですね?


 ガーランド大使:そ、それは・・・


 結衣:あの土地を購入して何をするつもりだったんですか?


 ガーランド大使:それは〜・・・そのぉ〜・・・


 青竜:(チッ!無駄に動揺しやがって)閻魔様!


 閻魔大王:貴方は?


 青竜:青竜不動産社長、青竜英二と申します。発言をお許しください。


 閻魔大王:良いでしょう。


 青竜:実はあの土地を購入したかったのは私でありまして、他界宇宙の土地を購入する際はその国の天界総領事館大使の仲介が必要と知ってガーランド大使に交渉をお願いしたのですよ。


 ガーランド大使:そ、そうなのですよ!


 結衣:それはそうですが。この場合、土地を購入する不動産会社の事業主が同席するのが必須条件の筈ですが。何故不在だったのですか?


 青竜:(流石は袋井耀蔵を葬った検事だ。痛いところを突く・・・だが)実はその頃、宝石鉱山海上採掘基地に閉じ込められておりまして。行くに行けなかったのです。


 結衣:(成る程、これで同時に健斗君の監禁を不可能にするアリバイ工作にしようとしてるわね・・・でも残念♪)それは貴方が海上採掘基地占領事件の主犯格というのを自身で証明する事になるのですよ?


 青竜:それはどういう意味ですかな?


 結衣:当時、海上採掘基地占領事件で解放した方達の証言によると。犯行グループは全員龍神族で、主犯格も龍神族だそうです。しかも被害者の中に龍神族はいなかったのですから、先程の発言は貴方自身が主犯格と供述しているようなものですよ♪


 青竜:(くっ!そうきたか)だとしてもこれであの事故と誘拐事件に関しては無関係という事ではありませんか?


 結衣:(フフッ、ボロが出たわね♪)ちょっと待ってください!貴方、今何と言いました?


 青竜:え?あの事故と誘拐・・・あ!


 結衣:もうお気付きですね?この法廷では一度も『誘拐』というワードは出てきていません。貴方はこう言いました『あの事故と誘拐事件に関しては無関係』と。無関係なら『誘拐』って言葉出てきませんよね?


 青竜:仮にそうだとしても証拠がありませんね。


 ガーランド大使:そうですな、証拠無ければ意味はありませんな♪


 結衣:閻魔様!検察側は2人の証人の召喚を要請します!


 青竜:(証人だと⁉︎・・・2人ってまさか!)


 証言台に立つ2人の邪竜族


 閻魔大王:証人、それぞれ名前と種族と職業を。尚、2人共邪竜族なので偽証は閻魔帳により不可能であると心得てください。


 郁人:横山郁人よこやまふみと、種族は邪竜。職業は会社員です。


 健斗:横山健斗よこやまけんと、種族は邪竜。小学2年生です。


 閻魔大王:・・・・閻魔帳でも確認しました。2人共嘘偽りはありませんね。それでは証言をお願いします。


 郁人:私は邪竜族に転生する前は天界の龍神族でドラゴニックマフィア幻龍会におりました。


 結衣:転生はいつ頃ですか?


 郁人:転生はごく最近です。この国に2体のヴァルキリーが眠っていると知り、オヤジ、幻龍会会長の命で実行犯の主犯格である若頭の計画を知り極道から足を洗おうと決め組を抜けました。


 結衣:その1週間後に息子さんが誘拐されたのですね?


 郁人:はい。これが家に届いた脅迫状です。


『息子は預かった。息子の命が惜しくば例の計画を警察に喋るな』


 郁人:これを見て若頭の仕業というのは一目でわかりました。このままでは私の命も危うい。私まで死んだら誰も息子を助けられなくなる。


 結衣:そう思った貴方は先ず証拠を奪われないようペンダントに隠してオオマカさんの娘さんにプレゼントした。そうですね?


 郁人:はい。結果、オオマカさんにも危険が及んでしまいました。


 好良:・・・横山さん。


 結衣:ではその幻龍会の若頭はこの中にいますか?


 郁人:息子が無事戻ってきた今、ハッキリと言えます!


 青竜を指差す郁人


 郁人:青竜不動産社長、青竜英二。あの人こそが幻龍会若頭です!


 結衣:閻魔様!ここに改めてガーランド大使並びに青竜英二の2名を横山健斗誘拐、海上採掘基地占領事件並びにオオマカさん傷害事件の真犯人として告発します!


 青竜:告発するからには証拠があるんでしょうね?


 結衣:はい。証拠はこれです!


 ペンダントを提示する結衣


 青竜:ペンダント?これのどこが証拠だというのですか♪


 結衣:肝心なのはペンダントの中に隠されたこの・・・


 ペンダント飾りを開ける結衣


 結衣:メモリースフィアです!


 閻魔大王:これには何が記録されているのですか?


 結衣:では実際再生してみましょう。


 閻魔大王:係官、全モニターへ再生を!


 アオイ:そこに映っていたのは探知機を使って調査する幻龍会組員とバンジーアトラクション地上部分に転移した健斗の姿、バンジーのゴムに切り込みを入れ細工する姿、そして海上採掘基地内部の防犯カメラの映像でした。


 結衣:これでもうおわかりですね?オオマカさんは風に煽られて壁に激突したのではなく、転移魔法によって転移してきた健斗君に自身がぶつからないように壁に向かって避けたものだったのです!


 青竜:クッ!


 結衣:しかもオオマカさんはこの時途中バンジーのゴムが切れたのに気付いていました。だから突然転移してきた健斗君守るため避けたんです!そのゴムに細工するためオリハルコン製のナイフを横流ししたのはガーランド大使、貴方です!


 ガーランド大使:うぬぬ〜!


 閻魔大王:では彼等は探知機で何を探していたのですか?


 結衣:それにつきましては、サッサ教授!


 証言台に立つダグラス


 閻魔大王:名前と種族、そして職業を。


 ダグラス:ダグラス・サッサ。種族はナマケモノの獣人。職業はワイバニア芸術文化大学古代生物学教授です。


 結衣:教授。


 ダグラス:監視カメラの映像の辺りを調べましたところ、地下10000mにヴァルキリー。しかもシングルナンバーズの反応がありました。現在そこの社長の許可を得て掘り出し作業が行われております。


 結衣:つまり今回の事件の真の目的は2体のヴァルキリーシングルナンバーズの確保であったのです!その上でガーランド大使にお聞きします。ヴァルキリー確保には天界宇宙中央政府4宰相の科学大臣、3代目菅原道真公である久遠様直筆の許可証が必要なのですが、当然お持ちですよね?


 ガーランド大使:そ、それは・・・


 結衣:貴方がこの事件と無関係ならば即座にこの場に証拠として閻魔様に提示出来る筈ですが?出来ませんよね?持っていない以前に許可を申請していないのですから。


 ガーランド大使:うぅ。


 結衣:許可無しでのヴァルキリー確保は凶器準備結集罪と同等の罪になります。


 青竜:もはやここまでか。


 結衣:閻魔様、判決を!


 閻魔大王:では判決を言い渡します!シーラント諸島連合国天界総領事館大使ガーランド・グロリアス。無申請によるヴァルキリー確保計画並びに各事件の主犯格として天界宇宙中央政府より大使の任を剥奪されるでしょう。


 ガーランド大使:・・・・終わった。


 閻魔大王:続いて幻龍会若頭、青竜英二。各事件の実行犯グループ主犯格として懲役12000年の有罪判決を言い渡す!


 青竜:・・・・クッ!


 閻魔大王:これにて閉廷!


 法廷に木槌の音が鳴り響く


 係官に連行される青竜、その前に立つ1柱の龍神族の男


 係官:だ、誰だ!


 青竜:俺を始末しに来たか。


 背後から手刀でヒットマンを気絶させるレイド


 レイド:悪りぃな、まだコイツにゃ聞きたい事が山ほどあるんでここで死なれちゃ困るんだよ♪おい、今の内に転送しろ。


 係官:た、助かりました!


 青竜を転送する係官


 レイド:流石はサトリ族の中でも生ける伝説と言われた女だ。


 薫:たまたまそこのヒットマンの心の声が聞こえただけだ。それを言っただけに過ぎない。


 最高裁判所前


 結衣:オオマカさん、それに横山さん。あなた方の証言と証拠のお陰でガーランド大使を告発する事が出来ました。


 好良:お役に立てて何よりです♪


 アンナ:好良君、そろそろホテルに戻りましょう。ミクもお腹すかせてるわ♪


 ミク:ばぶぅ。


 好良:あ〜、そうだな。じゃ、私達はこれで。


 トランスゲートでホテルに向かうオオマカ一家


 郁人:では私はこれから警察の事情聴取があるので。


 トランスゲートで警察へ向かう横山親子


 結衣:(幻龍会、必ず私が潰してみせる!)


 蓮:もぉ!どこ行ってたのよ!


 レイド:あ?ちょっと野暮用だ♪


 その場を去ろうとするレイド


 蓮:ちょ!どこ行くのよ!


 レイド:何処だって良いだろうが、縁があったらまた会おうぜ♪


 アオイ:でも直ぐに会うことになるんですけどねぇ♪


 レイド:ちょ!おい!そりゃどういう意味・・・


 アオイ:それではまた次回お会いしましょう♪


 レイド:またこのパターンかよ!








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る