第350話超大国の牧場主

 アオイ:皆さんはカントリア王国を覚えているでしょうか?そう、主人公アリス・シルフィード女王様が2番目に国土争奪戦争の対戦国として立ちはだかった農林水産超大国です。今回はカントリア王国で一国の大臣に匹敵する5人の組合長の1人のお話です。


 シーラント諸島連合国入国1カ月前 カントリア王国王城 ファーマード城


 ラクス:其方に来てもらったのは他でもない。シーラント諸島連合国へ行きシーラントにしかない方法で飼育しているその方法を視察してほしいブヒ。


 アオイ:この方が農林水産超大国カントリア王国の魔王ラクス・カントリア18世。種族はオークキングです。


 千夜:お言葉ですが陛下、我が国は魔界宇宙一の農林水産超大国。何故今更そんな事を?


 アオイ:この女性ひとはこの国で一国の大臣に匹敵する権力を持つ5大組合長の1人、酪農協会組合長、千夜せんや綾上あやかみさん。種族はミノタウロス。千夜ファームの牧場主さんです。


 ラクス:千夜よ、先進国が1番恐れるのは何かわかるか?


 千夜:優れている国が同じ得意分野で他国に追い抜かれる事でしょうか?


 ラクス:惜しいブヒ。正解は超大国に胡座あぐらをかいた『怠慢』である。常に先進国として上を目指すなら発展途上にある修行中の身という心構えが重要なのでブヒ。


 千夜:他国にも隠れた『優れたもの』を持っているという事でしょうか?


 ラクス:うむ!実はあの国の乳用カールス(牛に近い魔界の家畜)のミルクが他とは全く違うのだ。


 千夜:陛下は飲んだ事がおありで?


 ラクス:うむ。最初の口当たりから餌に果物を使っているのは確かであるが、何かまではわからないブヒ。


 千夜:もしかしたらその果物を餌にすれば我が国のカールトン(魔界宇宙3大珍味)のミルクに劇的な変化が期待出来るとお考えなのですね。


 ラクス:左様、そこで千夜にはその果物を突き止めてもらいたい。


 千夜:承知致しました!


 そして現在、魔界時間10:00シーラント諸島連合国大統領官邸


 ジェシカ:つまり、その果物を教える代わりに我が国にカールトンの赤ちゃんをくれるって事?


 アオイ:こちらの方はこの国の双子の魔王で姉のジェシカ・ハイビス大統領。種族は金角です。


 ジュリア:魔界宇宙3大珍味であるカールトンの幼体を対価にするのはかなりそちらが不釣り合いではないですか?


 アオイ:こちらが妹のジュリア・ハイビス大統領。種族は銀角です。


 千夜:それだけ我が国はその餌に深い興味と対等な対価と見ているからです。


 その頃大統領官邸前


 杏:フルーツランドたのしかったです!


 小雪:お土産にマンゴーもらったべ〜♪


 雛:おいしそうやわぁ♡


 リタ:あとでみんなでたべよ♪


 杏:う?


 ちびっ子の前に現れる幼体カールトン


 幼体カールトン:プンモォ〜。


 杏:おっきいです!


 リタ:ウシさん?


 小雪:オラしってるべ!このこカールトンのあかちゃんだべ♪


 幼体カールトン:プンモォ〜♪


 ちびっ子達:プンモォ〜♪


 小雪のポシェットに擦り寄る幼体カールトン


 幼体カールトン:プモッ!プンモォー!


 小雪:もしかしてコレだべか?


 ポシェットからクロノマンゴーを取り出す小雪


 幼体カールトン:プモッ!プモモッ!プンモォー♡


 小雪:みんな、コレこのこにあげていいだか?


 ちびっ子達:いいよ〜♪


 小雪:ほら、よくかんでたべるだよ〜♪


 杏:それにしてもこのこ、まいごですか?


 小雪:ほだべなぁ〜。


 リタ:きっとさがしてる。


 雛:みんなでさがしてあげよう。


 ちびっ子達:さ〜んせ〜い!


 座り込む幼体カールトン


 幼体カールトン:プモ、プモモ。


 小雪:のせてくれるだか?


 幼体カールトン:プンモォ♪


 全員乗る


 小雪:よおし!レッツゴーだべ〜!


 幼体カールトン:プンモォ!


 蓮:はぁ。降魔日食は逃すわ、明後日まで帰れないわ・・・ん?


 アオイ:この方はエルフ族の錬金術師でビーストヘッジ工科大学客員教授の蓮・コレット教授です。どうやらあれから乗り遅れて足止めされたようですね。


 幼体カールトン:プンモォー!


 蓮:え?カールトンの赤ちゃん⁉︎なんで?なんでこんなトコいるの?


 幼体カールトンの首輪を見る蓮


 蓮:あ、このマーク。千夜んトコの仔⁉︎


 杏:おねえしゃん、このこしってるですか?


 蓮:え?あ〜、うん。知り合いんトコの仔だよ。


 千夜:あーー!こんなトコにいた!


 蓮:千夜!


 千夜:え?蓮⁉︎


 蓮:アンタこの国に来てたの?


 千夜:ええ、国王様の命でカールスの餌に使ってるフルーツを調べに来たの。さっきこの国の大統領に許可を頂いたところなの。蓮こそ何でこの国に?


 蓮:私は・・・・


 迅乃助:蓮やないか?


 アオイ:こちらはビーストヘッジ工科大学魔導工学教授の京都迅乃助さん。種族はコカトリスです。


 蓮:教授⁉︎


 雛:じ〜じ♡


 迅乃助:おー!雛ぁ♪


 蓮:教授はどうしたのですか?


 迅乃助:あ〜、この国の海底宝石鉱山からアダマンタイト鉱石が見付かってなぁ。急遽魔界宇宙中央政府から鑑定依頼があったんや。


 蓮:アダマンタイト鉱石!マジで⁉︎


 迅乃助:言っとくけどもうあらへんで。


 千夜:もしかして海上採掘基地占領事件のあったあの日ですか?


 迅乃助:せや、中央政府のお偉方が危機感を感じて早急に送れって言ってな。即日送ったわ。


 蓮:そんなぁ〜!アダマンタイト鉱石っていったら天界のオリハルコン鉱石に並ぶ2大鉱石なのに〜。


 迅乃助:アテはまだ用事あるからまだこの国に残るけど、アンタはどないすんねや?


 蓮:どうせ明後日までサタンヘイルダム行きの便は欠航だから暫くホテルでふて寝します。


 千夜:気分転換に行く?この国の国営農場。


 蓮:どうしよっかなぁ〜。


 千夜:乳製品を使ったスイーツ食べられるわよ。


 蓮:行く!


 ちびっ子達:いく〜!


 千夜:フフッ。賑やかになりそうね♪


 ミシェル:あー!こんなトコにいたっスか!


 蓮:貴女!テレビで観たことある!魔界宇宙第2位の警備保障会社、レイブンセキュリティ社のミシェル・ウスバッタ社長でしょ?


 ミシェル:そうっスよ。


 蓮:何で保母さんみたいな事してんの?


 ミシェル:ウチの総務部長のお姉さんに溜まった有給消化しろって怒られ成り行きでこの子達の保護者やってるっス。


 ちびっ子達:ぼ・く・じょう!ぼ・く・じょう!


 ミシェル:あーあーわぁかったっス!行くっスよ!


 ちびっ子達:わ〜い♪



 次回へ続く・・・





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る