第276話オーロラフェニックス

 アオイ:オーロラフェニックス。それは魔界宇宙にしか生息していない固有種。陸のカールトン、海のカイザークラーケンに次ぐ魔界宇宙3大珍味の1つオーロラフェニックスの卵。今回はそのオーロラフェニックスと巨獣専門の獣医さん達のお話。


 魔界時間11:00 温泉超大国ビバロン王国 王都テルマエユ


 ルイ:魔界宇宙一の温泉旅館『柚子の華』サイエンティストランクS以上の科学者でも泊まれるかどうかの超高級温泉旅館。本当に良いのかなぁ。


 アオイ:この方は考古学者のルイ・コウシキ博士。シルフィード王国科学大臣ソフィア・クルーガーさんにスカウトされて今はクリスタルレイク巨大遺跡研究チーム考古学部門の最高責任者です。


 ビバロン王国入国2日前 シルフィード王国 首都アイリス 王立研究所


 ルイ:だ、大臣閣下!コレ、柚子の華の宿泊券じゃないですか‼︎


 ソフィア:アンタ。誕生日なんだろう?それにアンタのお陰でクリスタルレイク巨大遺跡の全貌がわかった。その功績を称えてというわけさ♪


 ピエトラ:わけさ♪


 ルイ:あ、ありがとうございます!


 そして現在 『蛍火街道』


 ルイ:そういえば女王様もこの国の魔王様との会談のために来てるんだっけ。


 うどん屋から出てくるアリスと杏


 アリス:うどん美味しかったね♪


 杏:あい!


 ルイ:あ!女王様と杏姫様だ!


 2人に駆け寄るルイ


 ルイ:へ、陛下!


 アリス:およ?君は確か・・・ソフィア姐さんトコの。


 ルイ:クリスタルレイク巨大遺跡研究チーム考古学部門最高責任者。ルイ・コウシキです!


 事情を話すルイ


 アリス:そっか!お誕生日おめでとう♪


 杏:おめでとです!


 ルイ:ありがとうございます!っと。今日はオフじゃないんですか?


 アリス:一応オフだけど・・・どうして?


 杏:どうして?


 ルイ:あ〜、いえ。深い意味はないんですけど、いつもオフはジャージ姿だったものでしたから。


 アリス:流石に国外でジャージはないよ。


 杏:ないよ♪


 ルイ:で、ですよね〜。


 同時刻 ビバノン城謁見の間


 チョウスケ:泉湯山せんとうざん水蓮山すいれんざんの狭間にある神湯しんとうの森への許可がほしいと申すか?


 アオイ:この方がこの国の魔王チョウスケ・ビバロン12世。稀代の名君と名高い魔王様です。


 オリビア:はい。今年は1000年に一度オーロラフェニックスが群れをなしてこの国の神湯の森に集う大事な年。そして今日こそがその日。私は獣医として彼等の生命の営みの無事終えるのを見届け、何かあれば治療する義務がございます!


 アオイ:この方は魔界宇宙の巨獣専門の獣医オリビア・火乃酉ひのとりさん。種族はダークエルフ族です。


 チョウスケ:ふむ・・・・彼処に行くには魁皇かいおう温泉を通る必要がある。良いだろう。そういう事なら許可証を出そう。


 オリビア:ご理解感謝致します陛下。


 ビバノン城外


 オリビア:よし!早速準備を・・・ん?


 空を見るオリビア


 オリビア:どういう事⁉︎オーロラフェニックスの現れる前兆であるオーロラが見えない・・・だと⁉︎それに物見役の一羽が飛んでない。これは群れのリーダーに何かあったわね。


 再び蛍火街道


 何かを感じとった杏


 杏:ねえしゃま!


 アリス:どうしたの?杏。


 杏:こっちくるです!ハルしゃん!


 ハル:ここに。


 アオイ:この方は天界宇宙の古代兵器ヴァルキリーその中でも最強のシングルナンバータイプ01。杏姫に忠誠を誓った方で。ハルの名付け親は杏姫様ですよ♪


 杏:あんずをかたぐるましてとぶです!


 ハル:何方まで?


 河の遥か南を指す杏


 杏:あっちです!あっちに『何か』いるです!


 ハル:確かにここから100万km先に極めて大型の生態反応があります!


 杏:いくです!


 ハル:姫様の仰せのままに!


 清流河 最南端


 アリス:こ・・・これって!


 ルイ:私も図鑑でしか見た事ないですけど・・・オーロラフェニックスですよ!でも。怪我してる?


 杏:だいじょうぶですか?いたいですか?


 杏をジッと見つめるオーロラフェニックス


 杏:だいじょうぶです!あんずにおまかせです!


 全身全霊で回復魔法を使う杏。表情が穏やかになるオーロラフェニックス


 オリビア:驚いたな。女神クラスの回復魔法でもオーロラフェニックスの傷を癒すのが難しいというのに。


 ルイ:あ、貴女は!


 アリス:科学雑誌で見た事ある!オリビア・火乃酉さんだ!


 オリビア:この頭の虹色の羽毛。やはり群のリーダーか。


 アリス:あ、そうか!今日は千年に一度の『集いの儀』だ!


 オリビア:その通り。群れをなすにはこのリーダーとなる個体の頭の羽毛から放つオーロラが必要なの。


 ハル:傷は癒えても飛びませんね。


 オリビア:体力を回復させるためには魁皇温泉の先にある泉の水が必要よ。彼処は元々オーロラフェニックスが子を授かるために必要な体力を補うために必要な栄養素を含んだもの。その効果は瀕死の不死鳥を全快させるほどだから。


 アリス:じゃあ転移魔法で・・・


 オリビア:駄目!今のオーロラフェニックスにとって空間転移系は負担が大き過ぎる。最悪死に至る危険性が高くなるわ!


 ハル:それでは物理的な運搬しかない・・・と。


 チョウスケ:ならば余に任せよ。


 オーロラフェニックスの上空に現れる大型輸送艦


 チョウスケ:我が国が誇る巨獣専用大型輸送艦だ♪


 警戒するオーロラフェニックス。そのクチバシの先を撫でてなだめる杏


 杏:だいじょうぶ。だいじょうぶですよ〜♪


 一気に警戒を解くオーロラフェニックス


 杏:このこはあんずがついてるです!


 アリス:その方が良さそうだね♪ではビバロン殿!


 チョウスケ:うむ!心得た!


 1時間後 神湯の森最深部 湯神の泉


 杏:ほわ〜!げんきになったです♪


 アリス:これでもう大丈夫だね♪


 オーロラフェニックスの虹色の羽毛から放たれるオーロラに引き寄せられるように集まる群れ。


 杏:おおー!いっぱいきたです!


 アリス:これは見事だね〜♪


 ルイ:これは思いもよらない良い誕生日プレゼントですよ♪幻想的で、それでいて生命の息吹を感じる光景です♪


 アリス:良かったね♪


 ルイ:はい!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る