第226話杏姫の接待

 アオイ:今シルフィード王国には天界宇宙No.2の権力を持つ14天界王のアマテラス様とオーディン様がご滞在中。その理由は未だ分からず、アリス女王は近日に迫った国土争奪戦争ライコウ皇国戦の準備で大忙し。本来なら外交大臣の薫さんが直々に接待するのですが、お2人は接待役になんと杏姫をご指名なさったの。さあ。杏姫はちゃんと接待出来るかなぁ?


 魔界時間16:00 クラウディア城 女王執務室


 アリス:え〜っと。一般の観客席の確保に次いで諸外国VIP観覧席の建設。空港国賓専用到着ゲートの警備体制の強化に、1番肝心の参戦者選抜最終チェック。これは私がするとして、それ以外は関係各省庁へ通達通達・・・っと。


 ヴィオラ:こちらの書類へのサインもお願いします。


 アリス:オケ。あ。そういえばアマテラス様とオーディン様の接待って薫姐さんがやるんでしょ?


 ヴィオラ:それが・・・・・


 接待役の件を伝えるヴィオラ


 アリス:えーーー‼︎杏を指名した⁉︎


 ヴィオラ:はい。お2人共滞在中の接待役は姫様でないと駄目だと言いまして。


 アリス:あのお2人あの1件以来、相当杏の事気に入ってたからなぁ。


 ヴィオラ:まぁ、姫様なら粗相をする事はないでしょう。


 アズサ:姫様でしたら今サタンヘイルダムのパン屋の行列に並んでました。御二方と一緒に。


 アオイ:この方はシルフィード王国女王直属の特務機関『蜃気楼衆』の頭領。メディア超大国グローバリア皇国の元諜報部隊だっただけに隠密・情報収集能力は折り紙つき♪


 アリス:え?アマテラス様とオーディン様もパン屋の行列に並んでんの?


 アズサ:その様で。


 ヴィオラ:いくらなんでもそれはマズいのでは。


 アズサ:それがそうでもないようで。『如何なる高貴な身分も民衆のルールに従う姿勢誠に天晴れ!』と御二方は終始上機嫌の様でした。


 アリス:天界宇宙No.2がパン屋に・・・。


 ヴィオラ:いくら変装してるとはいえ、画的に凄いですね。


 一方帝王都サタンヘイルダム 商業エリア ペンタゴンスクエア 中央公園


 杏:あい、おじいちゃんアイスです♪


 オーディン:はい。有難う♪


 杏:アマテラスのおねえしゃんもどうぞ♪


 アマテラス:お姉ちゃんだなんて♪有難う♡


 オーディン:実際には儂より歳上ですがな♪


 アマテラス:何か・・・言いました?


 オーディン:い、いえ。なんでもありません。


 アマテラス:高級料亭に高級ホテル。私達の接待といえばお決まりのものばかり。VIP同士の腹の探り合い。ご機嫌伺い。正直息が詰まります。


 オーディン:然り。だからこそこの子の接待は実に新鮮且つ純粋で楽しい♪欲しいもののために並び、公園でのんびり過ごす。街を散策し多くの者と触れ合う。


 アマテラス:パン屋さんの後に行った幼稚園は楽しかったですね♪


 オーディン:ですな。幼い子供達は実に癒されました。少々老体にはキツかったですが、充実しておりましたな♪


 アマテラス:他の14天界王が来る時は絶対に杏ちゃんを接待役に推奨したいですわ♪


 オーディン:同感ですな♪


 アマテラス:先程ゼウス殿に言ったら悔しがってましたわ♪


 オーディン:ホッホッホ、でしょうなぁ♪


 アマテラス:それにしてもこのアイスホント美味しいですね♪杏ちゃん。これは何味?


 杏:きなこミルクです!


 オーディン:ほうほう、ではこれは?


 杏:あずきまっちゃです!


 遠くで聞こえる聞き覚えのある声


 ロキ:お姉さ〜ん。私と一緒にお茶しな〜い♪


 杏:う?あのおねえしゃん・・・


 オーディン:あんの馬鹿孫が!折角の接待を台無しにしおって・・・ん?


 富嶽:あ!いたいた♪


 ロキ:ヒィ!富嶽!


 富嶽:さ、行きましょ♪


 ロキ:いーーーやーーー!


 オーディン:ホッホッホ。あの様子なら心配ないか♪


 アマテラス:次はどこかしら?


 杏:はたけです!おいもほるです!


 オーディン:おお!芋掘りか♪


 アマテラス:楽しそうですわ♪


 同時刻クローディア城


 アリス:今度は芋掘り⁉︎


 アズサ:姫様たっての希望だそうで。


 アリス:う〜ん。それが逆に新鮮で良いのかも。


 アズサ:今中央政府の外交省では14天界王をはじめとする天界宇宙のVIPから我先にと姫様の接待を希望する問い合わせが殺到しているようで。


 ヴィオラ:アマテラス様の宣伝効果というやつですね。


 アリス:杏はやっぱ凄いや♪













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