第135話魁皇通運グループ

 ウエポニア皇帝戦と同時進行して行われていた『白い小箱輸送計画』表向きは魁皇通運グループが輸送する事になっているが、これは囮なのである。


 国土争奪戦争ウエポニア帝国戦 開戦同日 帝王都サタンヘイルダム 商業エリア


 魁皇通運グループ本社 ニーズヘック級輸送艦内


 秘書:先週の重役方への説得お疲れ様でした。そして、いよいよ今日ですね社長。


 この方は魔界宇宙運輸業界第2位を誇る魁皇通運グループ社長『朝比奈 咲妃(さきひ)』様。ビジネスパートナーであり、親友であるミシェル・ウスバッタ社長の依頼を受け『ある物』の輸送を依頼されているのです。


 咲妃:天界宇宙中央政府の『闇』を一掃出来る重要なの証拠品である『白い小箱』の輸送。それが天界の悪徳政治家達を欺くための『囮』と知れば誰だって反発するわ。


 輸送開始1週間前 本社会議室


 重役A:な!この依頼が『囮』ですと⁉︎


 咲妃:でも輸送するカントリア王国産のロイヤルクラウンビーの極上蜂蜜は本物よ。


 重役B:しかしながら、わざわざ襲われに行くような危険な依頼。我が社に何のメリットもありませんぞ‼︎


 咲妃:そう、むしろ艦の損傷と乗員が死傷するかもしれない事を考えれば、状況次第で赤字は必至。それでもやるの!これは人間と魔族の平和的共存が叶うか否かの重要な局面にあるプロジェクトなの!失敗すれば魔界帝王様を始め全魔界宇宙魔族の努力が水の泡になるのよ‼︎


 重役達:⁉︎


 咲妃:この『囮』は是が非でも成功させないといけないの‼︎


 重役A:・・・・社長の仰る通りです!折角先人達が天魔大戦終戦後4000億年かけて準備し、10000年以上かけて積み重ねた人と魔族の平和的共存の努力が水の泡になる!


 重役B:そうなればまた天魔大戦に逆戻り。もう無用な血を流したくはありません!囮上等‼︎


 咲妃:皆んな・・・有難う!


 そして現在・・・


 秘書:間も無く出航です社長。


 咲妃:プロジェクトWB(ホワイトボックス)始動!目標、天界宇宙天王界ヘラクレス宮殿‼︎


 クルー:ハッ!


 出航1時間後、天界宇宙・魔界宇宙境界 アルティメア要塞


 咲妃:どうにかここまで来たわね。


 秘書:天界まであと少しですね。


 咲妃:待ち伏せ・・・あるわね。


 秘書:気を引き締めていきましょう!


 検問終了後 天界宇宙 天王界付近宙域


 オペレーター:緊急事態発生!緊急事態発生‼︎多数の武装天使部隊接近!


 咲妃:来たわね。


 秘書:はい。『予定通り』です。


 突如輸送艦から離れる武装天使部隊


 咲妃:あれ?


 秘書:もしや気付かれたとか。


 ミシェルより通信が入る


 咲妃:ミ、ミシェル⁉︎


 ミシェル:有難うっス!思わぬ『イレギュラー』のお陰でこっちは無事終わったっス♪


 咲妃:じゃあ、あの武装天使部隊が撤退したのも?


 ミシェル:うん!どうやらこっちの動きを先読みした『ご隠居』様が手を回してくれてたみたいっスよ♪


 咲妃:何にせよ私達は役に立ったわけね?


 ミシェル:ホント助かったっス!


 咲妃:ま、こっちは被害無しな上にヘラクレス様からたっぷり貰えるわけだから逆にこっちが有難うだわ♪


 ミシェル:帰ったら奢るっスよ♪


 咲妃:楽しみにしてるわ♪

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