ハロウィン魔王に任せなさいっ!
ミナトマチ
第1話 ハロウィン来ました(嘘)!
薄暗い部屋の中に一人の少年がパソコン画面の前に座っていた。
(もうすぐハロウィンか…何度か繰り返してもやっぱり嫌な時期だな)
そう思い少年はまたダラダラとパソコンに向かった。しかしその目は特にパソコンの内容に興味があるようではなかった。そんな最中急にスマホが鳴り出した。どうやらメールが来たようだ
(なんだろ?俺なにか頼んでたたかな?えーっと“
なんでこんなへんなメールが俺のところに?それよりもなんで俺の名前が?祐樹の頭はパニックまでそう時間を必要としなかった。
(落ち着け俺!取りあえず詐欺っぽいけどっていうか詐欺だよね?これ!一応請求とかは書かれてないし…どうしよう)
元々祐樹は冷静な判断を怠らない性格だ。だがこうして迷っているのは祐樹の好奇心旺盛な部分が押せよ押せよと邪魔をしているからで…
ええいままよ!
思い切って祐樹は押してみることにした。
すると数分もしないうちに見慣れない文字が綴られた大きな円が描かれ部屋の空気が変わったようだった。
(こ、これってあれか?もしかしてむっくんが言ってた《異世界召喚》ってやつなのか?俺全然アニメとかそういうの見ないから真剣に聞いてなかったけど…………)
むっくんとは祐樹のオタクの同級生のことだ。趣味も性格もまるで違うが、二人は昔から一緒でいわゆる親友というやつだ。
だが大分時間がたったはずなのに何も変化はなかった。祐樹が不思議そうに首を傾げていると、不意に玄関のベルがなった。
『は、はぁーい』
祐樹は返事をして慌てて階段を降りていった。ちなみに運命の会合まであと3秒。…………2……………1。
『はーい、すいません。えーとどちら様で…』
『ドォーモーー!もしかしてファンタジー展開予想シテ魔法陣の前でイヌみたいに待ってた感じデスカ?ざーんねーんあれはフェイクデシタッ。そう、このワタシがあなたの願いを叶えるためにやって来たその名もリー…』
ガチャリ、バタン。祐樹はおそらく今までの中で最速で家を訪ねて来た人を返した。
(ふ、ふふふふふふふふ、ははははははーっ分かっていたさ。分かっていたとも。どうせロクでもないことだってわかっちゃいたけど好奇心が、好奇心に勝てなかったッッ。俺どうしようこの先?これじゃ絶対詐欺とかに引っかかるよな。はぁぁ)
祐樹はその場で落胆していた。
(それにしても、ぱっとしか見えなかったけど、女の子だったよな?)
そんなこんなで第24回祐樹反省会が開かれている最中にドアの向こうでまた声がした。
『ごめんなさいデェェース。いやホントに出来心だったんデスよぉぉぉおおおおお!お願いデスから話だけでも聞いてくださいよぉぉぉおおっっっっ。』
少女は鼻声で叫んでいた。おそらく少し泣いているのだろう。家の前で叫ばれても困るので祐樹は家に入れてやることにした。
『ひっえっぐ、あの、本当にアリガトウゴザイマース。』
『あーそのもういいからさ。泣かないでくれよ?…えっとそれで名前は?あっ俺の名前は…あー知ってるんだっけ?嵐山祐樹です。』
祐樹は気まずそうに言った。まさか泣かれる
とは思わなかっだからだ。
歳は自分と同じか少し下だろうか。
少女は見事な金髪に青空のような澄んだ青い目、服はオレンジと黒といったハロウィンカラーで一見するとドレスのようなものを着ていた。
(それにこの帽子、なんかの魔女の帽子みたいに大きいな…あとなんか日本語胡散臭いし、コスプレ?かな?まぁなんせ変人全開って感じだな)
『はい。では5秒クダサイ切り替えマース。スゥーハァ〜スゥーハァ〜
ハイ、改めてハジメマシテ嵐山祐樹サン!ワタシは貴方の願いを叶えにやって来たハロウィン限定の妖精!リーナ・T・ハロルロードデース!イッェェェェェェェェェェェエエエイ!!!』
『っておい!切り替え早すぎんだろ!』
(この子本格的にヤバイな……)
不意にさっきとは180度違って叫ぶ少女に祐樹は不安の色を隠せなかった。
『っていうか妖精ってどういうことなんだよ?もーその設定とかいいから本当のこと教えてよ?』
『設定?ハハ何イッテンデスカ祐樹サン?ワタシは本当に妖精デスよ?』
祐樹は頭を押さえていた。ついでにリーナに対する怒りも抑えていた。
『っこの、…じゃ、じゃあ証拠。証拠見せたみろよ!妖精なら何か説明のできないことできるんだろ?』
(ベタだがこれしかないな。今たまたま二人がスーパーの福引で当たったハロウィン旅行に行ってたから良かったものの………出来れば早く帰って貰おう。まぁどうせすぐに帰るだろ…)
祐樹は両親と現在三人暮らしだ。姉が一人いるが大学生で都心の方の大学に通っており家にはいない。
『…分かりマシタ。じゃあ証拠見せマース!』
『えっ!?』
『そーデスねぇ〜じゃあ取りあえずワタシの【従者】でも喚びマース。それで祐樹サンもきっと信じマスよ!』
(どういうことだ?喚ぶって召喚?いやでもそんなはずハッタリか?うわ、でもなんか物々言ってるよ…)
するとボウっと音がしてリビングが煙に包まれたかと思うと少しして祐樹の前には何かが立っていた。
そうそれは俗に言う
だがしっかりと執事服なようなものを着ておりそのせいか2mを超える身体の?骨の?大きさからは自然と威圧感は無かった。
『お呼びに預かり参上いたしました。あの、もしやこちらの方が?』
『そうデース』
骸骨はそうなぜか確認を取ると静かに祐樹に対峙した。
『申し遅れました。
そう言ってクロウはまたも静かにしかししっかりと上品に頭を下げ祐樹に挨拶した。
『えっあ、はいこちらこそよろしくお願い致します。』
(思わずかしこまっちゃったけど、骸骨ってこんなにも紳士な性格なのか?)
『どうデスか?信じる気になりマシタか?いやでもこの状況で信じないほうが逆におかしいデスけどねぇ〜〜』
リーナはそうニタニタしながら祐樹に言った。
『ぐっ、正論だけどなんか腹立つな。わかったよ信じますよ!』
『よろしい。ほめてつかわす!』
『だからなんでいちいちそんなに態度でかいんだ?』
ひとまず一息つくためにお茶にすることひした。(なぜか俺の家なのに客人のクロウさんがお茶を淹れていた。)
一息ついたところであらためて祐樹が口を開いた。
『それで?さっき言ってた“願いを叶える”っていうのは?』
『それもそのままの意味デース。ワタシが相手つまり祐樹サンの願いをハロウィンの日に叶えマース。ワタシが妖精だと分かったのでヤボなことは聞かないでクダサイネ?別に願いは願望でなくてもイイんデスヨ?後悔しそうなことを阻止するとかデモ。』
そう言ってリーナは祐樹を見た。今までとは違うどこか覇気のある眼だった。
『………………………………。』
祐樹はずっと黙ったいた。そしてあらためて目の前にいるのがただの人間でないことを理解した。
『でも俺が願いを叶えてもらうかを判断するにはまだ時間があるようだな?』
『えっ…はいマァ強制ではナイノデ。でもハロウィンの日限定デスよ?』
少し残念そうで、それでいて不思議そうにリーナは確認してきた。
『そう、そこだよ。リーナはもしかしたら勘違いしてるかもしれないけど……』
『ハロウィンの日ってそもそも2日後だよ?』
申し訳なさそうに帰っていくクロウと恥ずかしさとか色々なもので放心状態のリーナを祐樹はとても見ていられなかった。
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