11―52

11―52


「もう、お婿に行けない……」


 辛うじて童貞は失わなかったものの、人として大事なものを失った気分だった――。


 誰にも言えないような恥ずかしい行為を年上の女性たちに代わる代わる受けたのだ。

 彼女たちからしてみれば、年下の男の子に性教育をしてあげるような感覚だったのではないだろうか。

 実際、行為の最中さいちゅうにそれに近い発言をしている女性も居た。


「ふふっ、ご主人様……可愛かったですわ……」


 僕の上に跨ったフェリアがそう言った。

 カチューシャでは安心できなかったので、フェリアたちを召喚したのだ。


「最高でしたわ。ご主人サマ」


 フェリスは、僕に膝枕をしている。


 辺りはすっかり暗くなっていた。

 もう、夜の10時を過ぎている。


 あの後、カーラたちにマットの上に運ばれた僕は、裸の女性たちから性的な行為を受けた。

 最初は、カチューシャが仕切っていたのだが、行為がエスカレートしてきたので、マットの周囲にフェリアとフェリス、ルート・ドライアード、ルート・ニンフ、ユキコを召喚した。

 そして、フェリアに頼んで貞操を護ってもらったのだ。


 その後、クリスティーナなど他の女性たちも加わり、僕は天国のような地獄のような複雑な時間を過ごした。

 使い魔の他には、クリスティーナのパーティメンバー、マリエルのパーティメンバー、アンジェラのパーティメンバーとオフェーリア、オフィリスのホムンクルスたちも参加していた。ロボットのような存在とはいえ、フェリアやフェリスの似姿をしたホムンクルスたちだけ放置するのは、可哀想に感じたからだ。しかし、彼女たちのためというよりも僕が自分の良心を満足させるためだろう。


 辺りには、アンモニア臭が漂っている――。


 女性たちが失禁したためだ。

 刻印体の肛門は、アナルセックス用になっているらしいが、尿道口からは小便が出るようだ。『ウラジオストクの街』でグルフィヤが恐怖のあまり失禁したことを思い出す。

 女性たちは、小便以外にも何か透明な液体を吹いていたが……。


 その後、女性たちは他のマットへ運ばれ、今は眠っているか余韻にひたっているようだ。


「……フェリア、そろそろ『ロッジ』に戻ろう……」

「お待ちください。最後にもう一度だけ、わたくしにお恵みください……」

「あっ、フェリア。ずるいですわぁ……」


 僕は、フェリアたちから性的な奉仕を受けた――。


 ◇ ◇ ◇


「ふぅ……生き返るな……」


 ――パシャ……


「ユーイチ……?」


『ハーレム』の大浴場で独り言を呟いたら、近くに居たレティシアが反応した。


「何だよ? ユーイチ? そんなに嫌だったのか?」

「嫌というか……疲れたよ……」

「まっ……そりゃ、あれだけヤればな……」

わたくし、もうお嫁に行けませんわ……ユーイチ、責任を取ってくださいな」


 レティシアがそう言った。


「なーに言ってんだ? あんなによがり狂ってた癖に……小便まで漏らして」

「なっ、カーラ!?」

「それは、貴様もだろう?」

「うっ……」

「レリアもね」

「…………っ!? 不覚を取っただけだ……まさかあんなに……」

「あたくし、ユーイチくんの女にされてしまいましたわ。もう、他の殿方では満足できません……」

「また、そういう……」

「あら? 本当の話ですわよ?」

「グレース、今後はフェデリコたちに誘われても断るの?」


 クリスティーナがグレースにそう訊いた。


「ええ、勿論ですわ」

「フェデリコの奴もユーイチと比べられるなんて哀れだね」


 アンジェラがそう言った。

 彼女は、フェデリコ・パルマの従姉妹だ。


 ――ザバッ、ザバザバザバザバ……


 マリエルが湯船の中で立ち上がって僕の側にやって来た。

 そして、僕の前でひざまずく。


「ユーイチ殿……わたしも貴方の女にしてください……」

「え? 何言ってるんですか……?」

「ご主人様、使い魔にされては如何ですか?」


 ルート・ドライアードと共に僕の背後に控えていたフェリアがそう言った。


「彼女たちは、『ローマの街』の冒険者だから、今のところ使い魔にするつもりはないよ」

わたしなどがおこがましいですよね……?」


 マリエルがまた卑屈なことを言い出した。

 彼女は、真面目な性格で自分に自信が無いタイプのようだ。


「別にマリエルさんに不満があるわけじゃありませんよ? 前にも言いましたけど、美人だし僕なんかには勿体ないと思います」

「では……」

「ですが、もう少し待って貰えませんか?」

「……分かりました」

「マリエルさんたちが望むのであれば、クリスたちと一緒にサポートします。強くなれば、危険を回避できるでしょう?」


 彼女たちが求めているのは、僕の庇護下に入ることで迷宮の奥で行方不明になったり、オークに囚われたりすることがないようにということもあると思う。

 クリスティーナたちは、僕がPL――パワーレベリング――したことで、学園の冒険者としては十分過ぎるくらいに強くなった。

 彼女たちが簡単に死ぬようなことはないだろう。

 次は、マリエルのパーティを同じように強くしてあげればいい。


 ――ザバッ!


「あたしたちも頼むわ」


 アンジェラが湯船の中で立ち上がってそう言った。


「ええ、勿論」

「ふふっ、報酬は身体で払うわね」

「アンジェラ、それは逆だろう」

「そうかもね……」

「いえ、別に報酬はいいです……それより、アンジェラさんたちは装備を失ったのですよね?」

「まぁね……これから装備を揃えないといけないと思うと頭が痛いわ」

「僕が【工房】で作りますよ」

「いいの!?」

「ええ、クリスたちの装備も僕が作ったのです」

「助けてもらった上にそこまでしてもらうのは気が引けるわね……でも、ユーイチになら全てを捧げる覚悟があるわ」

「そんな悲壮な覚悟をしてもらわなくても……」

「そんなんじゃないわ。あたしたちは、あなたについて行きたいのよ」

「アレを知っちまったら、他の男じゃ満足できなくなるよな。ユーイチ、やっぱりお前は童貞じゃないよ」


 カーラが茶化した。


「もう、カーラはもう少し空気を読んだほうがいいですわよ」

「マジな話だって。レティもユーイチは童貞じゃないって思うよな?」

「確かにそれは思いますけど……」

「レティまで何を言ってるんですか……?」

「ユーイチこそ、ご自分が置かれている状況をお考えになったほうがよろしくてよ?」

「そうだぜ。ユーイチ、お前はここに居る女たちに潮を吹かせて、失禁するまでイカせまくったんだからな?」

「そっ、そんなことしてませんよ!?」

「よく言うぜ……確かに最初のうちはオレたちもお前のことを甘く見ていたけどな……他の男とセックスするよりもずーっと気持ち良かったぜ?」

「ホント、可愛い顔して酷い男よね」


 アリシアがそう言った。


「ま、待ってください。あれは僕の意志じゃなくて、言われた通りにしただけで……」

「でも、ユーイチ。これで女の身体のことがいろいろと分かったでしょ?」


 クリスティーナがそんなことを訊いた。


「……そりゃ、いろいろと勉強にはなったけど……」

「ふふっ、次は更に成長したユーイチくんにイカされまくってしまいますのね……はあぁ……楽しみですわ……」

「当分しませんよ?」

「そんなぁ……」

「何だよ? 毎日やろうぜ?」

「こういったことは、たまにするから貴重なのよ」

「そうですわ」


 クリスティーナとレティシアが援護してくれた。


「ご主人様……?」


 フェリアが背後から囁くように僕を呼んだ。


「何?」

「他の使い魔たちにも同じことをしてあげていただきたいのですが……?」

「そうね。わたくしたちだけ、ご主人サマにして貰ったというのは悪いですわ」

「……分かった」


 時間を作って他の使い魔たちにも同じことをしないといけないようだ。


『でも、疲れるから一度に大人数を相手にするのではなく、分けてしよう……』


 そんなことを考えていたら、クリスティーナが話し掛けてきた。


「ユーイチが言っていた恋人というのは、フェリアさんのことだったのね?」


 フェリアたちは、マットプレイの最中に呼んだため、『ハーレム』の大浴場に来たときに簡単な紹介をしただけだった。


「恋人っていうか……」

わたくしは、ご主人様の奴隷です」

「彼女は、僕の命の恩人で今は使い魔なんだ……」

「命の恩人を奴隷にしちまうとは、ユーイチは鬼畜だな」

「あのホムンクルスの女性とそっくりですわ」

「オフェーリアとオフィリスは、フェリアとフェリスをもとに作ったからね」

「ああん、あのときのことを思い出すとゾクゾクしますわぁ……」


 フェリスが背後からそう言った。


『やっぱり、あれって汗じゃなかったんだ……フェリアも……』


 僕は、ホムンクルスを作るときに二人の身体を隅々まで見せてもらったことを思い出して、顔から火が出そうなくらい恥ずかしくなった。


【戦闘モード】


 一瞬、【戦闘モード】を起動して冷静になる。


「それにしても思い人とか言っておいて、自分の使い魔だったのかよ? そりゃ、浮気の心配はないわな……」

「ユーイチ、見損ないましたわ。恋人を奴隷にしてしまうなんて……」

わたくしが望んで奴隷になったのです」

「分かりますわぁ。あたくしもユーイチくんの奴隷になりたいですもの……」

「ユーイチ、貴方さえ良ければ、わたくしたちを使い魔にしてもいいのよ?」

「ごめん、クリス……。やっぱり、君たちを使い魔にするのは抵抗があるよ……」

わたくしたちは、もう貴方から離れることはできないわ……だから、気が変わったら、いつでもそうしてね」

「もう、ユーイチ無しじゃ生きていけない身体にされちまったからな」

「あたくしもそうですわ」

「ちょっと、待ってください。僕からは特に何もしてないでしょ?」

「あんな恥ずかしいことをしておいて、よく言いますわ……」


 レティシアがそう言った。


「えっと……そんな凄いことしましたっけ?」

「かーっ!? これだよ……? お前、浜辺のマットで何をしたか覚えてないのか?」

「覚えてますよ。でも、どちらかと言えば、僕のほうがされたような……?」

「ふふっ、ユーイチくんにいっぱいご奉仕いたしましたわ……」

「もう、この話は止めましょう……」


 クリスティーナがそう提案した。


「そうですわ」

「カーラ。貴様は、もっと慎みを持て」

「ホントよね」

「何だよ……みんなして……」


 パーティメンバーたちから駄目出しをされてカーラがしょげた。


『あっ、そうだ!?』


 僕は、前から検証してみたいと思っていたことを実行することにした。

 今の雰囲気なら自然に頼めるだろう。


「フェリス、レヴィア、僕の前に来て並んでくれる?」

「はいですわ!」

「ハッ!」


 ――ザバッ、ザバザバザバザバザバ……


 ――ザバッ、ザバザバザバザバザバ……


 二人が湯船の中で立ち上がって僕の前に来た。


「さぁ、ご主人サマ。心ゆくまで御覧くださいな」


 フェリスが両手を頭の後ろで組んで裸体を晒した。

 それを見たレヴィアも恥ずかしそうに両手を頭の後ろに持っていく。


「あ、別に両手は自由にしてていいよ」

「エルフとダークエルフを比較されるのでしょう? このほうが分かりやすいと思いますわ」


 フェリスが自分の行為を正当化するようにそう言った。


「では、わたしもフェリス殿にならいます」


 レヴィアも両手を頭の後ろで組んだ。


『まっ、いいか……』


 確かにフェリスが言ったようにこのほうが比較しやすいかもしれない。


 僕は、二人をエルフとダークエルフという異なった種族として見比べる――。


 エルフのフェリスは、華奢な身体つきで、痩せた女性でも見かけないくらいに細い。

 子供や小柄な女性ならこれくらいの肩幅の人も居るだろうけど、フェリスくらいの身長ではまずないと思う。


 また、フェリスの乳房は、エルフの中では大きいほうだ。身長もエルフの中では高いほうなので、フェリスの胸は、現存するエルフの中では最大級のサイズと言ってもいいのではないだろうか。

 それでも人間と比較すれば慎ましいと言える大きさだが……。


 エルフは、人間と比べて個体差が少ないので、飛び抜けて大きいエルフや小さいエルフは存在しない。

 概ね160センチメートル前後の身長だった。

 これは、女性のエルフの話で、男性のエルフはもう少し長身だったようだ。

 男性のエルフは、『東の大陸』では絶滅していたので、僕は見たことがなかった。

 しかし、この世界の何処かには、存在しているかもしれない。

『エドの街』から『ローマの街』まで旅をしてきたが、僕が見た場所なんてこの世界のほんの一部でしかないのだ。


 他にもエルフの特徴としては、輝くような金髪に長い耳、エメラルドグリーンの瞳と、妖精のような姿をしている。

 髪型は、エルフによって様々だがサラサラのロングヘアが多い印象だ。

 フェリスの髪型もそうだった。


「ハァハァハァハァハァハァ……」


 フェリスが荒い息を吐きながら身体をくねらせている。

 僕が呆れて見ると、フェリスが身体をビクッと痙攣させた。


「ヒィックゥーッ!」

「お母さん!?」


 フェリアが僕の背後から注意した。


「ご、ごめんなさいね、フェリア……先ほどのことを思い出しちゃって我慢できなかったの……見られているだけで……わたくし……はぁああぁぁ……ご主人サマぁ……」


 フェリスは、ガクガクと身体を震えさせている。


【戦闘モード】


 僕は、【戦闘モード】を一瞬だけ起動して、フェリスから視線を外してレヴィアを見る。


「んんっ!……フェリス殿が視線だけで達してしまったのも頷けます……す、凄いぃ……」


 レヴィアの身長は、170センチメートルくらいで、僕と同じくらいか少し背が高い。彼女もダークエルフの女性の中では長身なほうらしい。

 つまり、ダークエルフの女性は、エルフの女性に比べて5センチくらい長身ということだ。

 体格は、人間として見れば華奢なほうだが、女性ならこれくらいの体格の人は居てもおかしくないという感じだ。

 エルフと違うのは、体格だけではなく胸がかなり大きいという点だ。身体が華奢なので、余計に大きく見えるということもあると思う。

 レヴィアの胸が特別に大きいのかと思ったが、ダークエルフの中には、彼女よりも大きな胸をした者も居たらしい。

 つまり、ダークエルフは巨乳が多い種族ということだ。


 ダークエルフの肌の色は日焼けサロンで焼いたような小麦色で銀髪に赤い瞳をしている。

 僕は、最初、人間で言えば、エルフが白人でダークエルフが黒人みたいなものなのかと思っていたが、こうして比較してみると、全く違う種族だということが分かる。

 それとも、昔はエルフだったが、人間の血が混じり、ハーフエルフに近い人種として今に至るということだろうか?

 しかし、それだと銀髪や赤い瞳の説明がつかない。ダークエルフの瞳の色や髪の色は、人間のDNAの影響とは思えないような色合いなのだ。

 例えば、ドライアードの緑の髪やニンフの青い髪は、人間ではあり得ない。それと同じような感じだった。


「はぁああーっ……ごしゅじんさまぁ……」


 僕の視線を受けてレヴィアが裸体をくねらせている。


【戦闘モード】


「ありがとう、もういいよ」


 僕は、【戦闘モード】を一瞬だけ起動してからそう言った。


「そんなぁ……これじゃ、へびの生殺しですわぁ……」

「そうです。ご主人様。わたし、もう我慢できませぬ……」


 二人が僕のほうへにじり寄ってきた。


 僕は、付き合ってくれた御礼に二人を満足させることにした――。


―――――――――――――――――――――――――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る