11―22
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クリスティーナとレティシアに替わって、カーラとグレースが僕の前に並んだ。
カーラは黒の下着姿で、グレースはカーラと同じ下着の上に黒のネグリジェを着ている。
グレースのほうが着ている物が多いのに何故かカーラよりグレースのほうを見るのが恥ずかしかった。
カーラの下着姿は、彼女の性格によるものか、あまりいやらしさを感じない。
「カーラ、『アダマンタイトのロングスピア+8』を返して」
「分かったぜ」
カーラがトレードで『アダマンタイトのロングスピア+8』を返してきた。
僕は、それを受け取り【工房】のスキルを起動して分解する。
アダマンタイト鋼を買って、『アダマンタイトのロングスピア+15』をイメージした。
更に魔法石を使い『フレイム・シールドの刻印石』を作成して、『アダマンタイトのロングスピア+15』に追加する。
武器の名前は、『炎の槍』とした。
『トレード』→『カーラ』
『炎の槍』を渡す。
「『アダマンタイトのロングスピア+15』に【フレイム・シールド】の魔術を刻んだ武器だよ。クリスたちに渡した『炎の盾』と同様に武器に刻まれた魔術を起動すると炎が吹き出すから、状況に応じて使ってみて」
「おお! いい感じの武器じゃねーか!」
カーラは、そう言って僕を抱きしめた。
「ちょ……」
顔に胸をグリグリと押しつけられる。
男勝りな性格で女を感じさせないカーラだが、さすがにこの状況はマズいので、僕は彼女の腋の下に手を入れて引きはがした。
「ひゃわっ……」
「ふふっ……。カーラったら、面白い声を上げますのね」
グレースが隣でそう言った。
「ユーイチ!? いきなり腋は反則だぞ!」
「カーラがそんな格好で抱きつくから……」
「クリスたちと同じことをしただけだろ」
「全然違いますよ。クリスたちは、親愛のハグをしてくれたんです」
「そうですわ。
テーブルの反対側からレティシアがそう言った。
「どこが下品なんだよ!?」
「カーラは、ユーイチの顔を胸に押しつけていただけですわ」
「ユーイチは、そうされるほうが好きだよな?」
「いえ……」
「格好つけるなよ。男ならおっぱい好きだろ?」
「それは……」
「だろ?」
「あらあら、ユーイチくんは、おっぱいが好きなのですね」
『くっ……恥ずかしい……』
「もう、からかわないでよ。次は、グレースだけど……グレースは、後衛だから武器は強化する必要ないかな……」
グレースは、敵を直接攻撃したりはしないので、『筋力』は殆ど上がっていないだろう。
それなら、防具を造って渡せばいい。
僕は、【工房】のスキルを起動して『アダマンタイトの胸当て+5』を作成した。
『トレード』→『グレース』
『アダマンタイトの胸当て+5』を渡した。
「まぁ、ありがとうございますわ」
グレースは、そう言って、僕の前に移動して僕の頭を抱きしめた。
「わっ……」
『柔らかいなぁ……』
僕は、
「おい! ユーイチ! オレのときと態度が違うじゃねーか!?」
カーラがグレースに抱擁されている僕に文句を言っている。
「ふふっ、可愛いですわ」
僕は、頭を動かしグレースの抱擁から逃れようとする。
グレースは、あっさりと抱擁を解いてくれた。
「ふぅ……じゃあ、次はレリアとアリシア」
「
レリアが隣のテーブルからそう言った。
クリスティーナとレティシアは、僕が座っているテーブルの向かいの席に座っているが、レリアとアリシアは隣のテーブルに座っていた。
カーラとグレースも先ほどまでは、隣のテーブルに居た。
ちなみに僕の隣には、カチューシャが座っている。
テーブルは、6人掛けなので、全員が座れないのだ。
そのため、一つのテーブルに4人ずつ座ることが多かった。
これは、『プリティ・キャット』の4人掛けテーブルの影響かもしれない。
「まぁ、でも何か便利な魔法を封じた指輪を造るよ。レリアにだけ何もないのもアレだし……」
「そうか……」
カーラとグレースに替わり、レリアとアリシアが僕の前に来た。
【工房】→『付与』
僕は、【工房】を起動した。
『何の魔法を指輪に込めよう……?』
レリアは、精霊系魔術しか使えないので、魔力系か回復系の魔術から便利そうなものを思い浮かべる。
『…………そうだ!?【リザレクション】にしよう!』
パーティメンバーが仮死状態になったときに【リザレクション】を使えるメンバーが増えるのは良いことだと思う。
僕たちのパーティには、僕やカチューシャを除けば【リザレクション】を使えるメンバーが3人――グレース、クリスティーナ、レティシア――居るが、将来的に僕たちがパーティを抜けた場合、高レベルなレリアがいざというときに【リザレクション】を使えるのは、パーティの保険になるだろう。
僕は、魔法石に【リザレクション】を付与する。
『リザレクションの刻印石』が出来た。
それを魔力源である魔法石と一緒に装備品のプラチナリングに追加して『復活の指輪』という名前で作成した。
レリアは、回復系の魔術が使えないので、魔法石を追加しておかないと『復活の指輪』に込められた【リザレクション】の魔術を発動することができないのだ。
『トレード』→『レリア』
『復活の指輪』を渡した。
「す、すまない……」
そう言って、ボディスーツ姿のレリアが恥ずかしそうに僕の前に来た。
「あの、別にハグは必要ないですよ?」
「いや、
レリアは、おそるおそる僕の頭を抱き寄せた。
そして、僕の顔にレリアの小ぶりな胸が押しつけられる。
「んっ……」
レリアは、少し震えていた。
『無理しなくてもいいのに……』
僕は、申し訳ない気分でレリアの抱擁を受けた。
暫くしてレリアは、抱擁を解いた。
「じゃあ、次はアリシアだね」
「ええ、お願い」
アリシアは、青色の下着姿だった。
黒色の下着姿のカーラとは、同じ下着姿でも印象が違う。
カーラの身に着けている下着のほうがアダルトな見た目だが、堂々と下着姿を見せつけてくるカーラは、あまりいやらしくは感じない。
逆に下着は清楚な感じでも、恥ずかしそうにしているアリシアのほうがドギマギしてしまう。
「『アダマンタイトのスティレット+10』を返して」
「はい、どうぞ」
アリシアは、トレードで2本の『アダマンタイトのスティレット+10』を渡してきた。
僕は、【工房】を起動してそれらを素材に分解した後、アダマンタイト鋼を購入して『アダマンタイトのスティレット+15』を2本作成する。
『トレード』→『アリシア』
アリシアに2本の『アダマンタイトのスティレット+15』を渡した。
「装備できる?」
「ええ、問題ないわ」
どちらかと言えば、後衛の仕事をすることが多かったアリシアは、『筋力』が成長しているか心配だったが、『+15』の金属武器を装備できる程度には『筋力』も成長していたようだ。
「ユーイチ……」
アリシアが僕の前に移動して僕の頭を抱きしめる。
僕は、アリシアの抱擁を受けた――。
◇ ◇ ◇
パーティメンバーへの装備の見直しが終わった後、朝食に『コーンクリームスープ』と『サンドイッチセット』を全員の席に出した。
――ガチャ
僕たちが朝食を摂っていると『ハーレム』の扉が開いて、レヴィア、ベリンダ、ダニエラが『ロッジ』に入ってきた。少し遅れて、アンジェラのパーティメンバーも『ロッジ』に入ってくる。
全員が白無垢姿だ。
昨夜、とりあえず着る物をと、下着と『魔布の白無垢』、『竜革の白草履』を渡しておいたのだ。『魔布のクローク+10』は、使い魔となったレヴィア、ベリンダ、ダニエラの3人にだけ渡した。
「おはようございます、ご主人様」
「「おはようございます」」
「おはよう」
使い魔たちと挨拶を交わす。
「おぅ、みんな、おはよ」
アンジェラも『ロッジ』に入ってきて挨拶をした。
「おはようございます、アンジェラ様」
「おはようございますわ」
「「おはようございます」」
「「おはよう」」
レヴィアたち3人は、パーティメンバーとは逆隣のテーブルに着いた。
アンジェラのパーティメンバーは、僕たちが座っているテーブルの奥のテーブルに着いた。
僕は、【料理】スキルを起動して『コーンクリームスープ』と『サンドイッチセット』をアンジェラのパーティメンバーに配った。
「ありがとう」
「「ありがとうございます」」
アンジェラとそのパーティメンバーから礼を言われた。
「いえ、お気になさらず」
「ユーイチには、報酬を出さないといけないわね」
「別にいいですよ。困ったときはお互い様ですし」
「そんなわけには行かないわ」
「気が済まないのでしたら、クリスと交渉してください」
「ええ。でも、ユーイチには個人的に御礼したいのよね……」
「あたしたちもね」
アンジェラのパーティのダリアがそう言った。
確か彼女は、軽装戦士だったはず。
「身体で払えばいい……」
エレナが抑揚のない口調でそう言った。
「ふふっ、そうね」
エルフのフレイヤが同意する。
「いえ、それは結構です」
「……断られると、結構ショックだな」
重装戦士のカルラがそう言った。
「女としての自信を失いますわね」
回復系魔術師のシモーヌも話に加わった。
「あなた方に魅力が無いというわけではないのです。僕には、心に決めた女性が居るので……」
「何人も女を侍らせているのにか?」
アンジェラがそうツッコミを入れる。
「使い魔たちとも関係は持っていませんよ……」
「ま、気が向いたらいつでも声を掛けとくれ。あたしたちがたっぷり可愛がってやるよ」
「は、はぁ……」
僕は、アンジェラのパーティが座るテーブルから離れ、使い魔たちの座るテーブルへ移動する。
【料理】スキルを起動して『コーンクリームスープ』と『サンドイッチセット』を配った。
「「ありがとうございます」」
「どうぞ」
「あの……?
レヴィアがそう言った。
「ここで待機していてください」
「あたしたちにも手伝えることがあれば、遠慮無くお使いくださいね」
ベリンダがそう言った。
「そうですわ。遠慮無くおっしゃってください」
ダニエラがベリンダに同意する。
「今のところはいいです。何かしてもらうにしても街に戻ってからですね」
「「分かりました」」
二人がハモる。
僕は、自分の席に戻った――。
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