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僕たちは、『組合』を出てから、適当な路地に入った。
周囲に
『ロッジ』
扉を開いて中に入った。
全員が入ったのを確認してから扉を閉めて帰還させる。
中を見ると、4人の娼婦たちがテーブルに座っていた。
「じゃあ、トモコたちは『
「畏まりました。ほら、あんた達も帰るよ」
「女将さん、大丈夫でしょうか?」
「心配いらないよ。『春夢亭』の娼婦は、全て旦那様のものになることが決まったんだよ」
「ホントですか?」
「嬉しい」
「良かった……」
娼婦たちは、嬉しそうだ。
「みなさんは、『春夢亭』に戻って荷物をまとめておいて下さい。明日にでも迎えに行きますので」
「あたしは、大事な荷物はないわ」
「
「私も」
「あたしもっ」
どうやら、娼婦たちは戻りたくないらしい。
「じゃあ、トモコだけ戻って。この人たちは、明日一緒に『春夢亭』に行って、その時に荷物を取ってくればいいし」
「分かりました。じゃあ、あんたたちは旦那様に可愛がってもらいな」
「「はいっ」」
『ロッジ』
『ロッジ』の扉を召喚した。
「では、旦那様。行ってまいります」
「気をつけてね」
「はい」
トモコが『ロッジ』の扉を開けて外へ出た。
僕は、扉が閉まったのを確認して『アイテムストレージ』へ戻す。
「じゃあ、『夢魔の館』へ戻ろう」
そう言って、『ロッジ』の中に召喚してあった、『夢魔の館・裏口』の扉から『夢魔の館』の地下にある食堂のような部屋へ移動する。
「
「
「「ご主人様!」」
「「お帰りなさいませ!」」
「ただいまー」
僕は、左前方のテーブルに行き、テーブルを背にして座った。
「フェリス」
「はいですわ」
フェリスが僕の前に来た。何故か裸で……。
「そこの4人に刻印をしてあげて」
「分かりましたわ。さぁ、服を脱いでこちらに来てくださいな」
そう言って、僕の座るテーブルの上に椅子を踏み台にして登った。
そんなフェリスたちを見ていたら、レイコが僕の前にやって来た。
ジロウの件が気になっているのだろう。
『トレード』
僕は、レイコに500万ゴールドを渡した。
「なっ!? 主様、さすがにこんなにいただくわけにはまいりません」
「『春夢亭』の娼婦を全員引き取ることになったから、入り用になると思うんだよね」
「そうなのですか?」
「うん。必要経費だから取っておいて」
「分かりました。それで、ジロウの件はどうなりました」
「ヤマモト家は、解体されるそうだよ」
「それは……重い罰ですな……」
僕は、手短に今日起きたヤマモト家にまつわる出来事を話した――。
◇ ◇ ◇
「なるほど……。そうでしたか……」
話を聞き終えたレイコがそう言った。
「組合長の話によれば、他の街でも『組合』に
「確かにあり得ない話ではないでしょうな。『組合』には逆らえませんから」
仮に『組合』が「この家の者には刻印を刻まない」と宣言したら、その商家は終わりだろう。
少なくとも『組合』に睨まれたら、商売は続けていけなくなるのではないかと思う。
他の商家は、ライバルが減って喜ぶ立場なので助けてはくれないだろうし。
「レイコ、上の部屋に娼婦希望者がかなり居たけど、『レビテートの指輪』は渡していないの?」
「まだ、主様の奴隷になっていない者をここに入れても良いものかと考えておりました」
「刻印を刻んだ人は、気にせず『レビテートの指輪』を渡してここに入れてあげて。あの部屋は基本的に刻印を刻んでいない普通の人のためにあるのだから」
「分かりました」
「『レビテートの指輪』が足りなかったら、どんどん作ってくれていいから。お金をケチる必要はないよ」
「ハッ!」
「じゃあ、娼婦希望者の人を連れてきて」
「ハッ! 行ってまいります」
レイコが部屋の入り口へ向かった後、フェリスと4人の娼婦たちが僕の前に並んだ。5人とも全裸だ。
「どうしたの?」
「ご主人サマに挨拶したいそうですわ」
一人の女の人が前に出た。
身長は、160センチメートルくらいだろうか。髪型はショートカットで胸は割と大きいが巨乳というほどではなかった。
「ユミと言います。歳は二十二です。よろしくお願いします」
「ユーイチです。こちらこそよろしくです」
次に165センチメートルくらいのセミロングの髪型の女性が前に出た。胸は、大きくも小さくもない美乳だ。
元は商家の出かと思うくらい上品な印象の女性だ。
「
「ユーイチです。よろしく」
次も165センチメートルくらいでセミロングの髪型の女性だった。胸は、小さく慎ましい。
「ミキコと言います。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
最後に胸の大きな女性が前に出た。160センチメートルくらいで髪型はショートカットだ。
「あたしの名前は、ナナコです。ご主人様、可愛がってくださいね。でも、ご主人様のほうが年下みたいだから、あたしが可愛がってあげますね」
「えっと、それは……」
「可愛い……」
ナナコは、僕の前に来て僕の頭を抱えて抱きしめた。
「うぷっ」
「あっ、ズルイですわ」
「交代ね」
「そうしましょう」
そうして、4人の娼婦に交代で抱きしめられた。何故か最後にフェリスが同じことをしてきたが……。
「フェリス、ルート・ドライアード」
娼婦たちを解散させてフェリスとルート・ドライアードを呼んだ。
「はいですわ」
「お呼びですか? 主殿」
「ちょっと待ってて……」
「分かりましたわ」
「御意のままに」
【工房】→『レシピから作成』
僕は、目を閉じて装備の作成に取り掛かった――。
◇ ◇ ◇
【工房】で『回復の指輪』を304個作成した。
『トレード』
目を開けてフェリスに『回復の指輪』を渡した。
「2人は、これからトロール討伐に行ってくれ。フェリスはエルフ達に現地で『回復の指輪』を渡して。ドライアード達は、他の任務にあたっているから、二人の他にはエルフ達だけで戦って」
「分かりましたわ」
「御意!」
『密談部屋3』
僕は、壁際に『密談部屋3』の扉を召喚した。フェリスとルート・ドライアードが中に入った。
「主様」
レイコが帰ってきた。
後ろに10人くらいの女性を連れている。
「お帰り」
僕は立ち上がった。
「じゃあ、風呂に入ろう」
そう言って、大浴場の扉に向かう。
「ハッ!」
レイコ達や他の使い魔たちが僕の後に続く。
扉を開けて中に入った。
『装備8換装』
裸になり、【フライ】で湯船の真ん中辺りまで飛行して湯船に降りる。
湯船に腰を下ろした。
「ふぅーっ」
今日は、いろいろあったので、疲れを癒したい。
『そういえば、人を殺したのは初めてだな……』
ゾンビを殺したことはある。
それにフェリアやルート・ドライアードが昼に暗殺部隊の者たちを殺したのだから、
今さら善人ぶるつもりはないが、やはり直接手を下して人――といっても刻印を刻んだ者だが――を殺したというのは重く感じた――。
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