5―15
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レイコのパーティが座っているテーブルを見ると、反対側に座っている三人が顔を見合わせている。
誰が先に行くか決めかねているようだ。
「じゃあ、お姉さんが先に行かせてもらうわね」
そう言って、サユリが立ち上がった。
イリーナが装備を外し全裸に戻って自分の席へ帰って行った後、サユリが僕の前まで来た。
彼女も座らずに全裸で仁王立ちした後、両手を頭の後ろで組んだ。
「さぁ、好きなだけお姉さんの身体を見て……それから先に言っておくけど、敬語も止めてよね。よそよそしすぎてお姉さん、寂しくなっちゃうから」
お姉さんキャラというのがパーティ内での彼女の立ち位置なのかもしれない。
ミナやアズサなど若いメンバーの姉的存在ということも考えられた。
サユリの身体を見ると、それほど鍛えられた感じはしない。女性らしい柔らかそうな身体をしている。
贅肉が付いているという感じではないので、多少は運動をして絞っていた可能性はある。
ポニーテールを留めている髪留めは、装備品なのだろうか?
「サユリの髪留めも装備品なの?」
「いいえ、レイコさんみたいな装備品じゃないわ。普通にお店で買ったものよ」
「なるほど。じゃあ、どんな装備が必要か教えて」
「ええ」
そう言ってサユリが欲した装備は、以下のとおりだった――。
―――――――――――――――――――――――――――――
・素材にスチールを使った短めの槍
・素材にスチールを使ったラウンドシールド
・素材にスチールを使った胸当て
・素材にスチールを使った篭手
・素材にハードレザーを使ったヴァンブレイス
・素材にハードレザーを使ったキュイス
・素材にハードレザーを使った長ブーツ
・素材にソフトレザーを使ったボディアーマー
・素材にソフトレザーを使った丈の短いスカート
―――――――――――――――――――――――――――――
軽装戦士であるサユリの装備は、ミナよりも少しだけ重装備なようだ。
「では、お会計1710ゴールドとなります」
「あーっ、お金が足りないわぁ……」
「いつでもいいですよ」
「じゃあ、利子は身体で払うわね。お姉さんの身体を好きにして……」
そういって、サユリは裸体をくねらせた。
「…………」
僕は無視して、装備を作成開始した。
【工房】→『装備作成』
「無視しちゃいやぁ~んっ!」
そして、以下の装備を作った。
―――――――――――――――――――――――――――――
・鋼のショートスピア
・鋼のラウンドシールド
・鋼の胸当て
・鋼のガントレット
・革のヴァンブレイス
・革のキュイス
・革のブーツ
・革のボディアーマー
・革のミニスカート
―――――――――――――――――――――――――――――
『革のブーツ』は、膝まで隠れるロングブーツタイプだ。
『革のボディアーマー』は、ミナも装備しているインナーだ。このケースでは、鎧下に分類されるだろう。仮にこれを一番上に装備した場合は、質素なソフトレザーアーマーとなるのだろう。また、下着を着けていない場合は、下着としての機能も果たすはずだ。
『革のミニスカート』は、レイコと同じもので、ベルト付の黒で両側にスリットが入ったタイトスカートのようなデザインのものだ。
「じゃあ、渡すね」
『トレード』
僕は、サユリに装備を渡した。サユリは、2000ゴールドを渡してきた。金が無いというのは冗談だったようだ。
「じゃあ、装備してみて」
「ええ」
サユリは、白い光に包まれて軽装戦士風の姿になった。
胸当てと篭手が金属製で、その他は革鎧だ。ミナとの違いは、金属製の防具以外では、二の腕や太ももまで革鎧に覆われている点だ。
『鋼のショートスピア』は、
サユリは、レイコやイリーナのようにマントを装備していない。
「マントは装備しないの?」
「あたしの場合は、動きが制限されて邪魔になるのよねぇ」
「サユリは、軽装戦士の分類なんだよね?」
「ええ、そうよ。胸当てと篭手は金属製の防具を使ってるけどね」
「軽装戦士と重装戦士の明確な分類ってあるの?」
「装備もそうだけど、戦闘スタイルによって分類するのではないかしら?」
「つまり?」
「あたしやミナみたいに動きやすさを重視しているのが軽装戦士で、カオリみたいにどっしり構えて敵を迎え撃つのが重装戦士だと、あたしは考えてるわ」
「なるほど」
回避を重視して動きを制限されない防具で固めているのが軽装戦士で、防具の防御力任せでどっしり構えて敵と戦うのが重装戦士というわけだ。
どちらも一長一短があるだろう。軽装戦士は、回避し損なって被弾したらダメージが大きいし、重装戦士は重い防具を装備できるだけの筋力が必要で、装備品に使用する素材も良いもののほうが安全だ。つまり、お金がかかる。
「では、次の方どうぞ」
「ええっ? お姉さんの出番はもう終わり?」
「終わりです。席へお戻りください……」
「いやぁ~んっ」
そう言いながらもサユリは、席へ帰って行った。
「では、
そう言って、カオリが立ち上がった。
胸と股間を隠しながら歩いて来て、僕の前に立つ。
恥ずかしいのか、顔を横に背けている。
『こういう態度のほうが、かえって意識しちゃうな……』
僕は変な気分になってきたので、【戦闘モード】一瞬起動して発情を止めた。
「あの、恥ずかしいのでしたら、隣に座っていただいても構いませんよ?」
「いいえ、お気遣いなく。
僕はカオリを見る。小顔で上品な印象ではあるが、女性にしては背が高い。しかし、レイコのようにガッチリとした体格はしておらず、少し華奢な印象だ。筋肉質でもなく、女性らしい優美な曲線をしている。
先ほど、食事をしているときにチェックした限りでは、胸は大きくも小さくもなく、形が整った美乳だった。
「……っ……んっ」
カオリが羞恥の声を漏らす。
調子に乗って見過ぎたようだ……。
「……では、カオリさん。欲しい装備を教えてください」
「はい……」
そう言ってカオリが求めたのは、以下の装備だった――。
―――――――――――――――――――――――――――――
・素材にスチールを使ったショートソード
・素材にスチールを使ったヒーターシールド
・素材にスチールを使った胸当て
・素材にスチールを使った兜
・素材にスチールを使った篭手
・素材にスチールを使った鎖帷子
・素材にスチールを使った腰鎧
・素材にスチールを使ったヴァンブレイス
・素材にスチールを使ったキュイス
・素材にスチールを使ったグリーブ
・素材にスチールを使ったブーツ
・素材にソフトレザーを使ったマント
―――――――――――――――――――――――――――――
腰鎧は、日本の甲冑では
「では、材料費が3130ゴールドかかりますが、よろしいですか?」
「構いませんわ」
【工房】→『装備作成』
以下の装備を作った。
―――――――――――――――――――――――――――――
・鋼のショートソード
・鋼のヒーターシールド
・鋼の胸当て
・鋼の兜
・鋼のガントレット
・鋼の鎖帷子
・鋼の腰鎧
・鋼のヴァンブレイス
・鋼のキュイス
・鋼のグリーブ
・鋼のブーツ
・革のマント
―――――――――――――――――――――――――――――
『トレード』
僕は、カオリに装備を渡した。
すると、彼女は5000ゴールドを渡してきた。
イリーナのときよりも利益が高い。
「よろしいのですか?」
「どうぞ、お納めください」
僕は、遠慮無く受け取ることにした。
おそらく、オークに囚われた状態から救い出した謝礼も兼ねているのだろうと思ったからだ。
「では、装備してみて下さい」
「畏まりました」
カオリの裸体が白い光に包まれて、フル装備と言った印象の金属鎧に包まれた。
材質は違うが、兜を被っているし、腰も革のスカートではなく、金属製の腰鎧とレイコよりも重装備に見える。
このパーティの中でレイコだけが、高価なプラチナの装備を使っているのは、財力のせいだろうか。冒険者パーティのリーダーをやるような人間は、家の格が他のメンバーよりも上という場合が多いという話だ。
名家という虎の威を借りているようで、あまり好きになれない慣習だが、有力な家の出身者が社会的に発言力が高いというのは、元の世界でもままあることなので、世の中そういうものなのだろう。元の世界の二世議員なども親から引き継がれたものが大きい。
歴史を
レイコの場合は、家柄だけではなく、実力があるのも確かだ。このパーティの中で唯一のコンボクラスなのだ。能力の高さは折り紙付きだろう。
「カオリさんも下着は履かない派なの?」
「んっ……それは、この装備なら必要ないと思いまして……」
「でも、転けて脚を開いたら見えちゃいますよ?」
「ああっ……そのようなことはおっしゃらないで……」
カオリは、股間を押さえて僕を恨めしそうに見る。
『余計なお世話だったか……』
「では、次の方どうぞ」
これ以上、嫌われないうちにカオリを返してしまうことにした。
カオリは、装備を戻して裸になって席へ戻っていく。帰りは、身体を隠していなかった。
「…………」
装備を持っているミナを除けば、最後の一人のアズサが黙って席を立った。
胸と股間を手で隠しながら、こちらへやって来る。
僕の前で止まった。
「…………」
無言のまま、恥ずかしそうに俯いている。
さすがに僕より年下に見える少女の身体をジロジロ見るのは、いろいろと不味いので、僕はサッサと本題に入った。
「アズサさんは、どんな装備が必要ですか?」
「……あの……」
アズサはボソボソと欲しい装備を語りだした――。
―――――――――――――――――――――――――――――
・素材にスチールを使ったメイス
・素材にスチールを使ったスモールシールド
・素材にスチールを使った篭手
・素材にスチールを使った鎖帷子
・素材にスチールを使ったグリーブ
・素材にスチールを使ったブーツ
・素材にソフトレザーを使った丈の短いスカート
・素材にソフトレザーを使ったマント
・素材にコットンを使ったボディスーツ
―――――――――――――――――――――――――――――
スモールシールドは、ラウンドシールドよりも小さい円形の盾だ。デフォルトの形状が円形というだけで、必ずしも円形である必要はないのかもしれない。
ボディスーツは、フェリアも鎧下や下着として着用している装備だ。肩紐の無いストラップレスタイプなのだが、薄い胸のアズサには、それで大丈夫なのか少し心配になる。
アズサの場合、鎖帷子が一番上に来るので、インナーとしてボディスーツを使っているようだ。素肌の上に直接、鎖帷子を装備すると、おそらく透けてしまい、いろいろと見えてはいけない部分が見えてしまうだろう。着心地も悪いだろうし。
「素材は、全部で1553ゴールドになるけど、いいかな?」
「コクリ……」
「じゃあ、作りますね」
【工房】→『装備作成』
以下の装備を作った。
―――――――――――――――――――――――――――――
・鋼のメイス
・鋼のスモールシールド
・鋼のガントレット
・鋼の鎖帷子
・鋼のグリーブ
・鋼のブーツ
・革のミニスカート
・革のマント
・木綿のボディスーツ
―――――――――――――――――――――――――――――
『トレード』
アズサに装備を渡すと、同時に2000ゴールドを渡された。
「ありがと」
「……こちらこそ……」
「着てみて」
「コクリ……」
白い光に包まれた裸のアズサが神官のような姿になる。
『チェインメイルにメイスを持っていると神官っぽく見えるんだな……』
本来は、こういうのをゲーム脳というのではないだろうか?
昔、テレビゲームが脳に悪影響を及ぼすという全く論理的ではないトンデモ理論が話題になったことがあるようだが、ゲームのやり過ぎで何でもゲームで得たイメージに見えてしまう現象を指すのなら納得が行く。
「うん、似合ってる」
「…………」
アズサは、僕の言葉に少し照れたようだ。
「じゃあ、席に戻って」
「コクリ……」
頭を下げて、装備を外して裸に戻った後、アズサは席へ戻っていく。
『律儀に裸にならなくてもいいのに……』
「じゃあ、皆さんは明日の朝まで睡眠でも取ってください」
僕は立ち上がって、レイコのパーティメンバーにそう言った。
「待ってくれ、ユーイチ殿!」
「待つでござる!」
そう言って、レイコとイリーナが立ち上がった――。
―――――――――――――――――――――――――――――
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