4―17
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その後、ルート・ドライアードに案内されて、15分くらい移動した頃、泉が見えてきた。
湖にしては小さいが、泉にしては大きいという印象だ。
パッと見、円形に近いように見える。上空から見てみないと正確な形は分からないが、対岸までは、300メートルくらいありそうだ。
よく見ると、左のほうの対岸に人影が見える。
【テレスコープ】
視力を拡大してみる。
青く長い髪の女性たちが、全裸で水辺にたむろしていた。
僕は、双眼鏡でヌーディストビーチを覗いているような気分になる。
慌てて【テレスコープ】をオフにした。
ルート・ドライアードは、全裸の女性たちに向かって移動しているようだ。
泉の
僕たちは、飛行しているので、別に水の上を最短距離で移動してもいいのだが、もし、この泉が『ニンフ』にとって神聖な意味を持つ場所だったら問題なので、これで正解なのだろう。
程なくして、全裸の青髪の女性たちの前に辿り着いた。
『ニンフ』は、ストレートの青く長い髪をしている。ドライアードと同じようにエルフのような尖った耳をしているが、体つきはエルフほど華奢ではない。しかし、ドライアードのような豊満なボディではなく、スリムな体型をしている。ドライアードが30代の女性のような外見で、ニンフは僕より少し年上の10代後半といった感じだ。
身長は、ドライアードと同じくらいだろうか。見たところ165センチメートル前後くらいだと思う。胸はそれなりのサイズだが、フェリアの乳房よりは小さい。また、ドライアードのように垂れてもいない美乳だった。
ここにいるニンフ達もドライアードと同じように全員の外見がそっくりだ。
「あらっ、ドライアードにフェリスじゃない、それに、フェアリーにピクシー、見たことない人も居るわね」
「お久しぶりね」
フェリスが挨拶を返す。
「まぁ、フェリスったら、またあたしたちに可愛がって
「ち、違うわ」
「そんなことを言って、しょっちゅう私たちのところに通って来てる癖に」
「そ、それは……」
フェリスが動揺している。
「この間だって、泣いて
「あ、あれはっ……」
『何かエッチな会話だな……』
「こちらの方が君たちに用があるそうなので、案内してきた」
会話が途切れたタイミングでルート・ドライアードが僕を紹介した。
「どうも初めまして、ユーイチと言います」
「ユーイチ様の使い魔でフェリアと申します」
「へぇ、使い魔なんて持ってるんだぁ……ステキ……」
「私も
「
「なになに? そんなに凄いの? この人……?」
『この人たち、さっきまでと目つきが変わってて怖い……』
――話を変えて誤魔化そう……。
「あなた方の集落は、この近くなのですか?」
「あたしたちは、この泉に住んでるのよ?」
「それは、どういう……?」
「百聞は一見にしかずって言うでしょ、ついて来て」
ニンフ達は立ち上がり、僕たちの手を取って水の中へ連れ込もうとする。
『溺れないんだよな?』
フェリアによれば、この身体は呼吸の必要がないため溺れないそうだが、それほど泳ぎが達者というわけでもない僕は、少し尻込みをしてしまう。
「フェリア、どう思う?」
「はい、大丈夫でしょう」
【エアプロテクション】
水の中に引きずり込まれる前に【エアプロテクション】を発動した。
そういえば、この魔法は、水滴や体に付いた汚れを落とすことにしか使っていなかった。
ニンフに手を引かれて、泉の中へ入る。泉は透明度が高く、光をかなり深いところまで届けているようだ。
【フライ】の魔法をかけたままなので、水中でもバタ足をせずに推進力が得られる。
左横をみると、フェリスが裸で泳いでいた。
『何故……脱ぐ……?』
泉は中心部が思ったよりも深くなっていて、水深が20メートルくらいありそうだ。
泉というくらいなので、湧き水だろうから、水は冷たいのではないだろうか……?
僕は、【エアプロテクション】のおかげで水にも触れていないし、寒くもない。この呪文は、適温の空気に包まれるもので、起動していると、暑くもなく寒くもないくらいの温度の空気に包まれる。おそらく、22~26度くらいではないだろうか。
ニンフと手を繋いだ部分からも水の流入はない。ニンフの手も【エアプロテクション】の効果範囲内となり、ニンフの手も乾いた状態になっているのだ。
泉の中央の底と思しき場所に洞穴が空いている。どうやら、この洞窟の先に『ニンフ』の住む集落があるのだろう。
僕たちは、ニンフに連れられて洞窟へと入った。洞窟は、少し進むと横に曲がっていて、水平の洞窟に続いていた。
奥に明かりが見える。
その明かりのところまでいくと、すぐに水面となっていた。
僕と手を繋いでいたニンフは、手を離し水面へ上がった。
水面に顔を出すと、中は人工物でできた空間が広がっていて、ドライアードの大浴場のような大理石みたいな石が使われている。
【レビテート】
僕は、【フライ】をオフにして【レビテート】に切り替える。
見ると、先に上がったニンフが僕に手を差し伸べている。ニンフは、全裸なのでいろいろと見えてしまって目のやり場に困る。
僕は手を取って、【レビテート】で浮かび上がった。
それを見たニンフは少し驚いたような顔をしたが、すぐに微笑む。
そして、僕の手を引いて腕に抱きつくようにしがみつきながら中へ誘っていく。
伝承で語られるニンフも、こうやって男を誘っていると考えられていたのだろうか……?
『強力な暗示魔法とか持ってないだろうな……?』
ドライアードが使えなかったのだから、ニンフも大丈夫だと思いたい。
そもそも、魅了の魔法はこの世界にあるのだろうか?
幻術はあるようだし、相手を眠らせることができる魔法もあるのだから、可能性はゼロではないかもしれないが、この身体にそんな魔法が効くとは思えない。
【グレート・マジックシールド】
それでも念のため、対抗魔法をオンにしておくことにした。音を遮断してしまう【エアプロテクション】はオフにする。
水底から上がった部屋から、少し歩くと低い階段があり、その階段を登ったところに扉があった。
前を進むニンフがその扉を開けて先へ進む。
扉を開けた先は廊下になっている。
廊下を進んだ途中に大きめの扉があり、ニンフは、そこに僕たちを案内した。
中から複数の女性の喘ぎ声のような音が聞こえてくる。
中に入ると、浅いプールのようなところの周りで、ニンフ達が嬌声を上げながら絡み合っていた。
「なっ……」
僕は慌てて顔を背けた。
「フフフ……ご主人サマ、驚いておられますのね」
フェリスが驚く僕に話しかけてくる。
「さぁ、こっちへ来て」
僕の手を引いてニンフが僕を中へ誘う。
どうやら、ヤる気マンマンのようだ……。
「待って、僕はそんなことしないから……」
「あら、どうして?」
「こういうことは、好きな人とするべきだから……」
「まぁ、可愛い……食べちゃいたい……」
ニンフがウットリとした表情で僕を見る。
そういうことに興味が無いわけではないが、ここでなし崩しにしてしまったら、この先は堕落した人生が待っているだろう……。
「フェリア、助けて!」
僕はフェリアに助けを求めた。
「ハッ! ニンフ達よ! ご主人様は困っておいでです。ご主人様の使い魔になりたい者は、こちらに並びなさい」
「それじゃ、あたしから使い魔にしてもらっちゃおうかな?」
僕と手をつないでいたニンフが僕の前に立った。
「さぁ、ご主人様。そのニンフの母乳を飲んで使い魔にしてあげてください」
僕は、差し出されたニンフの乳房を吸った。
『美味しい……』
やはり、ニンフの母乳も美味しかった。
僕は、それから3日の間ニンフ達の母乳を飲んで過ごした――。
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