4―12
4―12
僕は、立ち上がり、湯船を出る。
【エアプロテクション】
身体に付いた水滴を飛ばして、脱衣場で着替える。
『装備2換装』
今回は、魔術師装備で行こう。
「そういえば、ドライアード達もトロール狩りに連れていくつもりなの?」
「はい」
「分かった、じゃあ、今回のトロール狩りの指揮をフェリアに任せるよ」
「僕を含めて、全員に作戦の指示をしてくれ」
「ご主人様に命令はできませんわ」
「それなら、提案する形ならいいだろ?」
「はい、畏まりました」
フェリアが脱衣所で作戦概要を説明する。
その内容は、だいたいこんな感じだった――。
―――――――――――――――――――――――――――――
全員でトロールの巣穴のある空洞へ行く。
まず、フェリアが囮となり、洞窟の中央まで行き、トロールを釣り出す。僕がフェリアを帰還、再召喚して、『妖精の国』側の入り口付近で戦う。具体的には、僕とフェリアがトロール達の足止めを行う。
ここまでは、前に僕たちが採った作戦とほぼ同じだ。
しかし、作戦目標が違った。トロールの殲滅が目的ではなく、ドライアード達を使い魔にすることが目的だったのだ。
そのため、一気に殲滅してしまう【ヘル・フレイムウォール】は使わずに【ファイアストーム】のような攻撃魔法や近接戦闘で倒していく。トロールクラスのモンスターなら比較的簡単に召喚魔法が使えるようになるとフェリアは考えているようだ。確かに僕もコボルト狩りで帰ってきたら召喚魔法が使えるようになっていた。コボルトに比べ、ずっと強いトロールなら確かに経験値も凄いだろう。経験値というパラメーターが存在するとしての話だが。
―――――――――――――――――――――――――――――
「ちょっと、待ってフェリア。ドライアードを全員連れていくってことは、その場でテイムする気なのかい?」
「その通りですわ」
「どういう手順で行うんだ?」
「はい、まずドライアード達は、ご主人様の使い魔になった者も含めて、全員、全裸で待機させます」
「はっ、裸で?」
「そのほうが都合が良いのです。最初のドライアードが召喚魔法を使えるようになったら、8人のドライアードに召喚魔法をかけて、使い魔にします。お母さんは、使い魔になったドライアード達に新しい刻印を付与してください」
「ええ、いいわよ。
妖精のようなエルフの顔に
「しかし、MPが持たないよね?」
「はい、ですから、ご主人様には、『回復の指輪』を新しく作ってドライアード達に渡してあげてほしいのです」
「何個くらい居るかな?」
「
「大丈夫だと思う。トロール狩りで900万ゴールド以上稼げたから」
「流石ですわ、ご主人様」
【商取引】→『素材購入』
『プラチナ鋼』74個と『魔法石』444個を買う。
【魔術作成】
『グレート・エレメンタルヒールの刻印石』を74個作成する。
【工房】→『装備作成』→『レシピから作成』
以前に作ったことがあるアイテムなので、そのレシピから『回復の指輪』を74個作成する。
作成した『回復の指輪』をフェリスとドライアードに渡す。フェリスには、73個渡しておく。新しく使い魔になったドライアードに渡すよう言いつける。
「他に何か必要な装備や魔法は無い?」
「はい、ご主人様と並んで戦えば、トロールなんて何時間でも足止めできますわ」
確かに中途半端な装備は、必要ないかもしれない。
僕は、前に作っておいた『アダマンタイトの打刀+100』が装備できるようになっているか試してみたが、やはりまだ装備できなかった。トロール数千匹くらいじゃ、そこまで成長しなかったようだ。そもそも、装備できるものなのだろうか……。仮にアダマンタイトのインゴットの重量が1キログラムとしたら、100キログラム以上の重量があることになる。
「フェリア、戦闘準備をしよう」
「ハッ!」
【グレーターダメージスキン】【グレート・リアクティブヒール】
この後のトロールとの戦いに備えて、回復系のセルフバフを行う。
『魔力回復薬』と『体力回復薬』のポーションも飲む。
見れば、フェリスもポーションを飲んでいた。
甲冑のドライアードは、飲んでいないようだったので、商取引で20本ずつ買って、そのうちの半分を渡す。
「『魔力回復薬』を一本、飲んでおくんだ」
「これは
『今のは、ちょっと侍っぽい言い回しだったな……』
【グレート・リアクティブヒール】で減ったMPは、トロールの巣までに回復しないだろうけど、大丈夫だろう。
囲まれなければ敵ではないので、それほどMPの消費は気にしなくても良い。
『――――!?』
僕は、
【魔術作成】→『改造』
【スリープ】を改造する。
『作れるだろうか?』
【スリープ】の『変更可能項目』は、『効果時間』のみだった。
とりあえず、効果時間は、10倍にする。
問題は、ここからだ。
『対象を広範囲エリアに変更』と念じてみる。
すると、円形や球形、四角形のエリアが思い浮かぶ。
『四角形で100×100×5メートル』と念じる。
『変更可能項目』に『サイズ』の項目が増える。
こうやって、改造することもできるようだ。
『本当にイマジネーションの世界なんだな……』
スペル名は、【エリア・スリープ】としておいた。
早速、フェリアに4つ刻んで、僕にも同じように4つ刻んでもらった。
「さぁ、トロール狩りに出かけよう」
「ハッ!」
「はいですわ」
「御意!」
使い魔たちが返事をした――。
―――――――――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます